民事訴訟において手続が公開されない場合について説明せよ。 |
一 手続を公開する必要性
1 「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行」わなけ
ればならない(憲82T)。このことを公開主義といい、民
事訴訟の諸原則のうちの1つである。
公開主義の趣旨は、裁判の過程を一般国民の目にさら
すことで、裁判の公正を担保し、もって国民の裁判を受
ける権利(憲32)を実質的に保障する点にある。
2 もっとも、裁判の公開は絶対的なものではない。なぜ
なら、@公開することで社会秩序を害する場合や、A公
開することが逆に裁判を受ける者の権利を害する場合、
B裁判を公開する要請が低い場合もあるからである。
以下、検討する。
二 手続が公開されない場合
1 憲法82条2項本文は、「裁判官の全員一致で、公の秩序
又は善良な風俗を害する虞があると決した場合には、対
審は、公開しないでこれを行うことができる」として、
例外としての非公開を規定する。これは、公開を停止し
て社会秩序という公益を維持する目的である。
これに対し、民事訴訟法上は、公開について規定した
一般的な規定は存在しない。もっとも、公開することが
公序良俗を害する場合には、上記憲法の要請を受けて、
裁判長はその訴訟指揮権(148)に基づき、裁判を非公開と
することができる。91条も「公開を禁止した口頭弁論」と
して、そのことを予定している。
2 また、裁判を公開することが当事者のプライバシーや
営業秘密を侵害する場合にも、裁判長は訴訟指揮権に基
づき、裁判を非公開とすることができると考えられる。
文書提出命令におけるインカメラ手続(223Y)もこれと
同様の趣旨に出た規定である。
3 最後に、弁論準備手続は原則として非公開とされ(169
U)、書面による準備手続(175)は完全に非公開である。
これらはあくまでも準備手続であり、その後の口頭弁論
が公開されることから、この段階では公開の要請が低い
ために非公開とされるものである。
以上