詩集 四旬四句 狐の手袋 時は巡りて翡翠の色に 萌ゆるは緑の芽だけにあらず 風を纏うて踊るは桜 ただ荘厳に咲き誇る 縁と絆の結び糸 紡ぎて繋ぐは言の葉か 鮮やかに、華やかに 踊り躍りて狂い咲け 此処へと集う誰かのために 時は止まりて記憶の中に 残るは笑顔の絵だけにあらず 風を纏うて散り逝く桜 ただ幽玄に立ち尽くす 縁と絆を裁つ鋏 手に取り振るうは言の葉か 鮮やかに、華やかに 踊り躍りて狂い散れ 此処から去り行く誰かのために 時は巡りて常葉の色に 茂るは緑の葉だけにあらず 光を纏うて浴びるは桜 ただ荘厳に生い茂る 木陰を求めし人の子を 遮り護るは誰の葉か 穏やかに、ただ静かに 立ちて見守る緑の廂 此処へと集う誰かのために 時は止まりて記憶の中に 残るは笑顔の絵だけにあらず 光を纏うて浴びるは桜 ただ幽玄に生い茂る 夜闇を彩る火の華に 照らされ光るは誰の葉か 穏やかに、ただ静かに 立ちて見送る緑の廂 此処から去り行く誰かのために 時は巡りて茜の色に 染まるは散り行く葉だけにあらず 風を纏うて踊るは木の葉 ただ緩々と流れ行く 回りて積もり吹きて散る 巡り廻るは誰の葉か 艶やかに、軽やかに 踊り躍りて舞い踊れ 此処へと集う誰かのために 時は止まりて記憶の中に 残るは笑顔の絵のみにあらず 風に抗い残るは木の葉 ただ轟々と鳴り響く いずれは散り行く定めと知るも 巡るを拒むは誰の葉か 淑やかに、緩やかに 舞いて別れて躍り散れ 此処から去り行く誰かのために 時は巡りて真白き色に 染まるは眠りし樹だけにあらず 光を纏うて照らすは大樹 ただ静謐に聳え立つ 想いを集め夜闇を照らす 紡がれたのは誰の葉か 賑やかに、華やかに 照らして彩り舞い上がれ 此処へと集う誰かのために 時は止まりて記憶の中に 残るは笑顔の絵のみにあらず 夜闇を纏うて眠るは大樹 ただ昏々と立ち尽くす 想いは散りて夜闇に消える 零れ落ちるは誰の葉か 淑やかに、ただ静かに 積もり閉ざして舞い降りろ 此処から去り行く誰かのために |