第21回 文章の達人 審査結果

1位 石井さん
今回のデータを無駄とは言わない、しかし、伝えようとする内容が薄くデータ提供者の意をふんでいるデータであるかどうかは疑わしいとわたくしは考える。理由として、日本と諸外国間の比較を行っていても項目に一貫性のないことが挙げられる。図1において、比較する国としてアメリカやイギリスといった先進国がある一方、メキシコや中国といった国も存在し、主要国の定義が明確でない。表1でも国土面積を単位とした指標として掲げられた人口密度、GDP、都市廃棄物、自動車保有台数に共通項を見つけるのは至難の業だ。表2でも同様に、諸外国と比較を行っていても表題が書かれていないことが残念に思う。これでは伝えようとする努力を無にしてしまうのではないだろうか。それでもデータからは、日本は国土面積の小ささにもかかわらずGDPが高く、そこでの交通事情は比較的満足できるものであると読み取れるが、このデータが本当に実証しているのかという疑問は晴れることはないのだ。
2位 江草君
交通環境は一般的に、都市部と農村部では大きく異なる。表1や表2に出てくる値は、全体を総面積や総人口で割った国としての平均値であり、そのことを全く考慮に入れていない。交通という地域間格差が激しい分野において、全体の平均値が、交通問題を議論する際にはたして役に立つのでろうか。面積も人口も全く異なる日本とアメリカの両国の平均値を比較しても、どちらの交通渋滞が深刻だとか、どちらの国の交通政策が望ましいかなど見えてくるはずもない。図2からは、アメリカの交通事故死亡者数が他国と比べて飛び抜けて多いことが分かる。しかし、分母となる総人口が各国間で明らかに違うため、ここから交通政策について論じることはできない。今回出そろったのは、『社会調査のウソ』に出てきそうなデータばかりである。データ提供者は、データとするものの母体や、割合で比較する際の分母に、もっと注意を払うべきである。
3位 桑原君
図1では、面積は小さいけれどもGDPが比較的高い国が5つあることに気がつく。日本を始めとするドイツ・イギリス・フランス・イタリアの先進国である。この国々では、経済的には生活水準が高い、ということが言える。しかし、表1の都市廃棄物の項目に注目するとき、単に経済的な生活水準の高さだけに満足していることはできないことに気がつくだろう。この項目では、5ヶ国全てが10位以内にランク・インしているからである。経済面では生活水準が高いとは言え、自然環境面では住みにくい国々と言えるのかもしれない。また、この都市廃棄物の項目は、もう1つ興味深いインフォメーションを示してくれる。人口密度・GDP・自動車保有台数の項目では全て1位にランク・インしたシンガポールが、都市廃棄物の項目ではランク外なのである。先の5ヶ国の自然環境面での生活水準改善のためにも、シンガポールの環境政策について検討してみるのはどうだろうか。
4位 江崎君
図1と、表1は軸にともに国土面積をともにもってきており、一見すると二つの図と表から何かを得るべきかと考えられるが、如何せん、図1に示されている国と表位置に示されている国が違うのでこれらからは分析しがたいといえる。
表2はG7とスウェーデン、オランダ、オーストラリアを加えた表であるが、私が気になったのは、人口一人当たりの自動車保有台数である。表を見てイタリアを除いたヨーロッパ勢が低いのが見て取れる。これはヨーロッパ(特にオランダやスウェーデン)が環境先進国であり、それにともない自動車台数をある程度抑制しているのではないかと思う。ただ、環境先進国のドイツが若干高いのは車の生産が国内主要産業であるからであろう。また、表2と図2も死者数を軸にしたものが見られるが、表2では「〜あたりの死者数」となっており、これでは図2と比較するのは困難だ。図2を生かすためにも表2には総人口を入れるべきであると思う。
5位 山田さん
表2に注目したい。人口1人当たり自動車保有台数はアメリカがトップで、2位がオーストラリアである。国土が大きな国は、移動距離も大きいので自動車が必要になると言いたいが、そのためには自動車以外の交通網の発達具合のデータが必要である。一方、表1の国土面積を単位とした自動車保有台数を見ると、国土面積の小さなシンガポールが圧倒的に1位であり、アメリカは10位である。人口密度が高いということはあるにしろ、なぜ移動距離が少ないはずのシンガポールが1位なのかは今回の資料からは読み取れない。図1では、主要国のGDPと面積の関係を表したものであるが、これには何ら相関関係がなく、資料提供者がこの図を使って何を言いたいのか分からない。表3に関しても、交通事故死者の推移に大きな変化は見られない。表1で、シンガポールが数値的に、非常に特異な存在であるのだから、図1、表2、図2にも、シンガポールについてのデータを載せて欲しかった。
6位 金子さん
図2を見ると、アメリカの事故死者数が他国と比べ著しく高く、アメリカにおいて車社会は相当進んでいるのだろうと予測がつく。表2を見ると、人口1人当たり自動車保有台数、人口10万人当たり死者数、自動車1万台当たり死者数のどの数値も他国と比べ高く、やはり車社会が世界で最も進んでいる国と考えられる。
ここで図1を見ると、アメリカは国土面積もGDPも世界N0.1の位置にいる。国土が広いことが車社会発達の一因になっているかもしれないが、ロシアや中国が車社会になっていることはどの表からも読み取れないので、車社会と国土面積には相関関係はないと考えて良いだろう。逆にGDPが高い国は表1の自動車保有台数の多い国名に全て登場するように、深い関係があると考えられる。  このことから私は脱車社会の研究を行うならば、各国のGDPのデータと、人口一人当たり自動車保有台数等の車社会の発達の程度を示すデータを、時系列を追って見比べる必要があると思う。
7位 加瀬さん
各国の人口のデータが不明であることなどから、図2には重要性が感じられず、よって表1、2で考えることにする。表2の死者数とは、交通事故での死者数であろうか?そうであれば、日本の自動車走行1億q当たり死者数は注目に値するものといえよう。アメリカと比較してみよう。人口10万人あたり、自動車1万台当たりの死者数は日本やその他諸国に比べ多いのに、走行1億q当たりの数値は0.99と低い。一方日本のこの数値は1.36であり、ドイツの1.27とあわせて各国とは異なる様子を見せている。表1からわかるように、日本は小さな国土の中に沢山の人々がいて、高い付加価値を生み出す経済活動を営んでいるのだ。それは自動車のようなものを人々が使いこなすようになって、さらに活発になったのだろう。しかしその弊害は、決して簡単に数値には現れない部分にも存在する。自動車が道路を走る時、どのようなことが起こっているのか、もう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。
8位 石田君
今回のデータは、各所に〜当たりの数値が載っているのであるが、合計の数値が
掲載されていないものが多い。例えば表1は1平方キロメートル当たりの各指標が出されている。そのため当然、シンガポールや日本といった国土面積が小さい国が上位にくる。合計総数ではなくてわざわざ面積あたりに直しているところに、作為的なものを感じるのは私だけであろうか?例えば、GDPであるならば、一人当たりで換算するのが筋である。ただ単純に一番左にある人口密度とすべて同じ単位にそろえようと考えたのであれば、それはセンスがないと言わざるを得ない。
またGDP・都市廃棄物量・総自動車保有台数量はアメリカが一番多いのは表1をじっくり見れば分かることであるが、面積単位だと下位になる。私が穿った見方をすれば、アメリカは都市廃棄物、自動車保有台数はイメージよりは少ないんだ、ということを言いたいがためにあえて面積当たりで表したのではないか、と考えた。
9位 高木君
今回の資料は一体何を表しているのだろうか。映りが悪く判別しにくい部分(アメリカとドイツ)があったので、4つ目の資料は無いものとして考えさせてもらう。また、平成14年度版交通安全白書より作成された表2は、一つ目の項目である「人口1人当たり自動車保有台数(台)」以外は全く意味の無いものとなっている。「一人当たり自動車保有台数」では、いかにその国の国民が自動車に依存しているか、どれほどのニーズがあるのかが見てとれる。しかし、他の項目では各国の道路状況・地形・交通に関する法律を一切無視したものであり、同じ物差しでは計れないものではないだろうか。例えば、日本でも都心と田舎では平均的な法廷速度は異なってくるし、日本とドイツの高速道路の道路整備状況は天と地ほどの差があると言ってもいいだろう。では残った図と表から読み取れる事は何か。国土面積とGDPや自動車保有台数の割合を示す表があるがあまりにもナンセンスなものではないだろうか。これらのような表を与えられても、私は欠点を見つけることしか出来ない