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コーヒーを多く飲むほど総死亡率が低下 --- 2012/5/17ニューイングランド医学誌
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コーヒーを多く飲むほど総死亡率が低下 坪野吉孝 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》

コーヒーを多く飲むほど、総死亡率が低いという論文が、
ニューイングランド医学誌5月17日号に公表された。

対象者は、米国の50〜71歳の男性229,119人と女性173,141人。
1995〜96年にかけて、コーヒーの飲用杯数をはじめとする生活習慣を調べた。
2008年末まで最長14年の追跡調査を行い、男性33,731人、女性18,784人の死亡を確認した。

コーヒーを多く飲むグループは、少なく飲むグループと比べて、生活習慣が「不健康」な傾向があった。
具体的には、喫煙者の割合が高く、多量飲酒者の割合が高く、牛肉や豚肉の摂取量が多く、
野菜や果物の摂取量が少なかった。

このため、喫煙などの影響を統計的に除去せずに分析を行うと、コーヒーを多く飲むグループの方が
総死亡率は高かった。

ところが、喫煙などの影響を統計的に除去した分析では、コーヒーを飲む杯数が多くなるにつれて、
総死亡率もしだいに低くなる傾向が見られた。

具体的には、コーヒーを飲まないグループの総死亡率を1とした場合、1日1杯未満、1杯、2〜3杯、
4〜5杯、6杯以上のグループの総死亡率は、男性では、それぞれ0.99倍、0.94倍、0.90倍、0.88倍、
0.90倍。女性では、それぞれ1.01倍、0.95倍、0.87倍、0.84倍、0.85倍だった。

また死因別に見ると、コーヒーを多く飲むグループでは、心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、外傷や事故、
糖尿病、感染症による死亡リスクが低かった。一方、がんによる死亡リスクは低くなかった。

著者らによると、コーヒーと総死亡率の関係を調べた追跡調査としては、今回の研究が最大規模。
40万人という大規模な集団に対して最長14年という長期間にわたる追跡調査を行い、
コーヒーを多く飲む(1日6杯以上)グループでは、総死亡率が男性で10%程度(0.90倍)、
女性で15%程度(0.85倍)の小さな低下がある可能性を示した点に、今回の研究の意義があるだろう。

もっとも「小さな低下」といっても、ひとつの病気ではなく全ての死因を合わせた総死亡率が10〜15%
下がるのが事実だとすれば、コーヒーが広く飲まれていることも考え合わせると、集団としてみたときの
効用は大きなものになる。

コーヒーには、炎症を抑えたり、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きやすさを改善したりする
作用が報告されていると、著者らは言及している。

ただし著者らは今回の結果について、コーヒーを飲むことが原因となって総死亡率の低下という結果が
生ずるという真の「因果関係」を示しているのか、あるいは、もともと健康で総死亡のリスクが低い
グループがコーヒーを多く飲むなどして、見かけ上の「相関関係」を示しているだけなのか、
今回のデータからは判断できないと留保している。

今回と同様の大規模な追跡調査での検討が、さらに待たれるところだ。