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コーヒーがうつ病リスク下げる!? --- 2011/11/7の朝日新聞web版やさしい医学リポート
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坪野吉孝 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》

カフェインは、中枢神経を刺激する成分のなかでも世界でもっとも多く摂取されており、その約80%はコーヒーから摂取される。
コーヒーを多く飲むとうつ病のリスクが下がるという論文が、内科学アーカイブスに9月掲載された。

調査の対象は、うつ病や重度のうつ症状がない米国の女性看護師50,739人(平均63歳)。質問票を使って、ふだんどのくらい
カフェイン入りコーヒーを飲むかをたずねた。10年間の追跡調査で、2,607人が新たに医師からうつ病と診断され、定期的に
抗うつ薬の服用を始めた。

週1杯未満しかコーヒーを飲まないグループと比べた場合のうつ病発症のリスクを調べたところ、週2〜6杯のグループは
1.00倍、一日1杯のグループは0.92倍と、誤差範囲に留まる結果だった。

ところが、一日2〜3杯のグループでは0.85倍、一日4杯以上のグループは0.80倍とリスクの低下を認めた。紅茶などコーヒー
以外の飲食物から摂取するカフェイン量の大小で調べた分析でも、カフェインの摂取量が多いグループの方がうつ病発症の
リスクが低かった。

いっぽう、カフェイン抜きのコーヒーの摂取量で調べると、飲む杯数が多くなってもうつ病のリスクは下がらなかった。

飲むコーヒーの量とうつ病のリスク
(「週1杯未満」のリスクを1とした場合)

著者らによると、コーヒーとうつの関係を調べた追跡調査は、これまでフィンランドの男性を対象にした小規模な研究(2,232人で
うつが49例)が1件あるのみという。この研究でも、コーヒーを多く飲むグループの方が、うつ病を発症するリスクが低かった。

研究の問題点の一つとして著者らは、コーヒーを多く飲むことが原因となってうつ病のリスク低下という結果が生じたのではなく、
反対に、もともとうつ症状があることが原因となって、不眠などを避けるためにコーヒーを飲む量を減らす結果になった可能性を、
完全には否定できないと考察している。その上で、うつに対するコーヒーの予防効果や治療効果を確認するために、
さらに研究が必要と結論している。

はじめての大規模な追跡調査により、コーヒーでうつ病のリスクが下がる可能性を示した点が、今回の研究の意義だろう。
今後は別の集団で追跡調査や臨床試験を行うなどして、コーヒーにうつを予防する効果が本当にあるかを確かめることが必要だ。
日本人が多く摂取する緑茶とうつの関係を調べることも興味深いだろう。