ケン

ケンは先日亡くなった祖母が飼っていた犬だ。
この祖母が住む山は、猟師がくる。
・・・といっても、流行のハンターだ。
そのハンター達が、テレビなどでも話題になっているが、
獲物をわざと放して撃つ。
では、なく。
犬を置いて帰ってしまう。

昔、まだ私が小さかった頃、
やはり、野良犬が沢山いた。
真っ黒いやせ細った犬とか、牙を剥きだしにして
よだれを垂らす犬など。
最初は人間を警戒する。
でも、餌を与えると今度は、ず〜ず〜しく、家の中に
勝手に入ってくる。
ハッキリ言ってこれらの犬は怖かった・・・

ケンもそうなのか、いつの間にか飼われていた。

ケンは夕方頃から、戦いに出る。
朝見ると、一つまた一つ。
新しい傷が増えている。
戦いに勝っているのか負けているのか・・・
痛々しい。

さて!戦いの相手とは・・・
生前、祖母が戦っていた相手である。
かなり強敵!!

私はさながら、ガキ大将のように
木の棒を持ち、焚き物をしていた。
焚き物は、田んぼで何でもアリのように、
生ゴミからペットボトルまで燃やしていた。
ダイオキシンもへったくれもない。

そんななか、ケンは私の傍らで何やら発見したらしく
目を盗んでは食べていた。
見てみると、イカサキだった。
昨夜のつまみの残り・・・
そしたら、ケンがいきなり走り出した。
そりゃ〜もうビックリするほど早い。
しかも、吠えながら。
何か変なもの食べてあたった?
イヤ、違った。
戦いに行っていた。
祖母と散々一緒に戦ったのであろう。
相手は猪・・・

筍などの山菜とかを狙うらしい。
叔父曰く・・・
山菜を売るつもりなら、猪を捕まえて売った方が高く付く。
なのに、祖母は猪退治のためにお金を使っていたらしい・・・
それを、おかしいと、笑っていた叔父の方がおもしろい♪

そんなケン・・・
祖母が亡くなり、叔父と私で霊柩車に乗り祖母に付き添って
家に帰ってきたとき、ケンが車に駆け寄ってきた。
ケンは祖母を迎えにきたのか、私はそんなケンを見て
涙が出た。
葬儀のために再び、斎場に向かう為
祖母を、車へ・・・
その時もケンは淋しげに見送ってくれた。
分かっているのかな・・・?
ケンには・・・

利口なケン。
長生きしてね・・