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January-June,2004
 フォアグラの夜  2004/9/12
舞花が「絹子の大好物、パリでバーゲンしてたし買ってきたよ。」と緑のリボンがかけられたランド産フォアグラの 瓶詰めを私にプレゼントしてくれた。独特の黄色い油に包まれて、蓋を開けると柔らかい香り。缶詰めでは この香りは望めない。私は完全に瓶派なのだ。
折角なのでソーテルヌの白でも合わせたら王道なのだろうが、甘いものがあまり得意でない私はフォアグラの 力を持ってしても甘口ワインを飲み切る自信がない。結局傍らには果実味溢れる赤ワインを用意してしまった。
どっしりとナイフに絡み付いてくる重さに期待は一気に高まり、溶ける瞬間に思わず目を閉じて至福を味わう。 湖面に広がる波紋のように静かに私の中に感動が生まれる。美食は精神に働きかけて心をしっとり潤してくれる。
フォアグラが紡ぎ出す贅沢に浸る、初秋の夜。
 京の美味しさ  2004/8/12
京都に遊びに来てくれる友人に何が食べたいかと尋ねると殆どが「京都らしいもの」と答える。
「京都らしさ」を醸し出すのは何も豆腐や湯葉や生麩といった素材だけではない。 お店に辿り着くまでの過程からして京都らしい美味しさは始まっている。 石畳を踏んで細い路地の風情に溶け込んだり、艶やかに拵えた舞妓さんと至極普通に擦れ違ったり、厳粛な歴史を 凛と抱えた町屋の戸を引いたり、、、そのような景色を経て頂くお料理は何倍も京都だ。
満足そうな友人の笑顔を見て私は京都が心底誇らしく悦に入っていると今度は「京都らしいもの」を 買いたいと言う。お漬物や七味や宇治茶や色々あるのだけれど、生もので良ければと私が是非に勧めるのは 京都のおべんと。はんなり雅で京の街並みそのもののように美しく彩り豊かに味わえる。
遠くに住む大切な人に土産話を添えながら、もしくは 旅の名残を惜しみながら帰りの新幹線の中で、蓋を開けた途端歓声が聞こえてきそうな趣向凝らしたおべんと、 どうどすか?
 降下する雷鳴  2004/8/7
夕立は美麗を自覚している。
その威厳に満ちた狂わしい乱舞を前にすれば自然の全てが身を折って憧憬を抱く。
喋ろうと努めながら消失させた言葉、表面に浮かばせる前に握り潰してしまう気持ちの一端。泥のような鬱積を、暴風が、 豪雨が、涙に濁りを作らないように激流でもって透明にしてくれる。
乾いた日差しが差し込む前に心は澄みゆく。
雷鳴に秘匿される私の想い。
 依存と存在の温かい関係  2004/7/24
存在の証明は、物によっては成されない。弾く様に脈打つ生命だけが私に訴える。
鼓動が温かくて心になる。呼吸の膨らみは感情への繋がり。
互いの視界に姿を求め合い、どちらがどちらに依って存するに必要なのか見極めが出来なくなる。
想う以前に既に瞳は同じ焦点を持っている。手を差し伸べるより先に温度はそこにある。
雪の薫りに包まれた遠い日、手の平サイズだった君がゴムボールのように跳ねながら 私の部屋に転がり込んできた。あの時から今まで迂回を重ねて築き上げた関係。
君の依存が私の存在。私の依存もまたきっと。

 特別な人の特別な日の特別な企み  2004/7/9

トマトのフロマージュ仕立て。友人に教えてもらった水切り ヨーグルトを使ってドライトマトと組ませてみました。カリフラワーのピュレを敷いて更に柔らかく。

鱧とフォアグラのミルフィーユ。マリネした後にフュメで煮た鱧、フォン・ド・ヴォライユで 軽く火を通したフォアグラをジュレ寄せに。トマトとバルサミコのソース。

とうもろこしと男爵の冷製スープ。フォンをゼラチンで固めて浮かせ、男爵の ニョッキを三つ配置し胡椒でアクセントを。試作を重ねたレシピはここ

マスカルポーネとクレソンと海老のラヴィオリ。セモリナ粉だけを使って手打ち( すりこぎ棒使って!)しました。大きい海老でプリプリに。レシピはここ

ソイのポワレ・ヴァンムスー風味。ベシャメルもどきとクレソンソースを 。付合せのマッシュドポテトもオーブンで焼いて香ばしく。レシピはここ

鴨とフォアグラのロティ・トリュフのソース。トリュフをふんだんに使って風味豊かに。 鴨は浅い角度で切り、ロゼ部分の色合いを際立たせてみました。

レアチーズケーキ。小さなココット型にゼラチンで固めてロウソクを。甘いものは 得意でないけれど、誕生日にはやはりロウソクの灯りがロマンティック。

久々のチョコクリームでの文字書きは緊張。「t」の横線を忘れて後から爪楊枝で引き伸ばすなど 小技(?)も駆使。お皿ごと冷蔵庫で冷やしました。
ある程度のコースの流れを頭の中で組み立てた後、ワインを厳選したら、心は凛と張り詰める。 直前になって思いついたものもあれば何週間も前から構想を練り上げて試作し改良したものも あり、そして私は閃きや熟考の過程の興奮を全て堪能し尽す。味わいの余韻を大切に反省したり満足したりするのも 好きな時間。
私はまたいつか全力で集中に浸るのだ。

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