【少年の笑顔】

「う◯んアイス」なるものが出来たらしい。

その日、私はたまたま「道の駅・滝の宮」の近くを通った。日曜ということもあり、結構混んでいたが、「う◯んアイス」のニュースを聞いて素通りする訳にはイカんだろう。

めざす「う◯んアイス」は、売店にあった。「さっぱり」と「こってり」の2つのタイプがある、と書いてあったが、すでに「さっぱり」は売り切れていて、「こってり」はチャレンジャー向きとある。

イヤな予感がした。

「こってり」を注文、おばちゃんが「いりこ入りといりこ無しがある」と言う。益々、イヤな予感。しかし、ここはチャレンジャー!いりこ入りを頂く。
小さい方のコーンで150円。白いアイスに、黒っぽい粒々、、。これがアイスと相性ピッタリのチョコチップであろうはずは…、無い。

近くのカップルが、吐き捨てるように「何じゃー、こりゃー!」と言っている。
再び、アイスを凝視する。予感は確信へと変った。

一口、かじる。・・・、言葉が出ない。
広がるいりこの香り。アイスの甘さ・・・。
アイスが溶けた後に残る、黒っぽい粒を噛む。まぎれもなくいりこの味がする。

甘〜いヴァニラアイスに包まれて、粉砕された粒とはいいながら、塩味のいりこがその存在を強烈に主張している。ベルリンフィルハーモニー管弦楽団をバックに、ジャイアンがオリジナル曲を歌っている、と思って頂ければ良い。

二口目をかじる。口に異様な感触が入って来た。1センチ前後の白い物体。うどんである。柔らかくは無い。アイスの中でしっかり冷凍されている。噛んでみると何とも表現しにくい食感・・・。

しかし、うどん好きとして、讃岐人として、断じてうどんを残すとか、捨ててしまう訳にはいかん。私は半泣きになりながら、もくもくとアイスを食べた。
やがて、コーンの部分になった。一緒にかじる。
おや?再びコーンと一緒にかじる。おお!コーンの香ばしさが、いりこの香りを消してしまい、普通に食べられるではないか!
しかし、それに「う◯んアイス」として何の意味があるのだろうか、と考えると、再び憂鬱になる。

とぼとぼと、コーンの紙を捨てに行く。
そこには多くの「う◯んアイス」の残骸があった。

私のそばを、5才くらいの男の子の手を引いた父親が通った。
「ゆうちゃん、う◯んのアイスがあるらしいきん、食べてみるか?」
「うんっ!食べる!」
少年は満面の笑顔で答えた。
「あ、ちょっと…」
と言いかけて、私は言葉を飲み込む。私には合わなくても、あの親子には好みかも知れないではないか、と無理矢理な理屈を思いながら、私は帰路に着いた。すでに太陽は西に傾き始めていた。

ゆうちゃんと呼ばれた少年は、今も笑顔でいるのだろうか。
 
 
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