【好き嫌いの狭間】
昼1時近く、日の出製麺をチラリと覗くと数名の客、まだ食べられそうだったが、今日の目的地は日の出ではない。その先、未訪問の「リカーショップ木田」へ。
うどんののぼり、手書きの看板というかポスターが、なにげに怪しい。店に入ると、先客のおじさんがビールを飲み終え、仕上げにパック入りのバラ寿司と、うどんを食べている。
かけ小を注文。少し遅かったか!ちくわ天もかき揚げもない。かと言って、何も取らないのも悪いので、タコ天を頂く。
私は以前からタコが好きなのだ。
但し、ここでは一番小さい奴を選ぶ。
タコ天に限って言えば、この選択は初めての店では常套手段である。だって堅いかも知れないではないか。噛み切れないタコと、悪戦苦闘はしたくない。この店のタコ天は柔らかいと解れば、次回にでっかい奴を取ればいい。私はそこまで計算している。
なのに、それを見た先客のおじさん、
「兄ちゃん、こっちの方がおっきいでー。こっちにしなー」
「あ、いや、僕は…」
うわー、変えられたがな!2倍位あるやん!
恐る恐る噛んでみる。…堅いやん!噛み切れんやん!まるでタイヤのゴムやん!もっともタイヤを食べたことはないが、たぶん…。
やがて、うどんが来た。具は三角の薄焼き玉子と赤板。麺は時間が経っているからこんなもんだろう。ダシはやや塩味が強いものの、すっきりしている。
私はタコと格闘していた。
すると、そこへ2人のおばちゃんが入って来た。
客のおばちゃん「おうどん、もらお」
店のおばちゃん「ごめん、切れたんやー」
何っ!すると、今食べてるのが最後の一玉?危なかったということか。
これはラッキー、ふっふっふ。
ところが、おばちゃん達、うどん玉が切れたと聞いても帰る様子はない。おでんを取り、私の向かいに座り、パック入りのいなり寿司を食べ始めた。なるほど、こいつは盲点だったぞ。何もうどん屋だからといって(ここは酒屋だ)、必ずしもうどんを食べなければならない決まりはない。ましてや玉切れだというならなおさらだ。おでんといなり寿司。りっぱに客と呼べるだろう。
私はタコと格闘していた。
やがておっちゃんらしき人が…、うどん玉を持ってきたがな!そうか、追加仕入れアリなのねー。
しかも、向かいのおばちゃん達の麺!透明感あるがな!
麺が言うてます。
「今、上がったばっかりや。ああ、ええ湯やった〜」
そうなのだ。仕入れ先の日の出製麺まで、徒歩2分という立地。しかも先程、まだ茹でていることをこの目で確認したばっかりではないか。何ということだ!麺通団のお笑いネタを、自分自身がやってしまった。
私はタコと格闘していた。
噛めども噛めども、ゴムであった。おまけにタコの皮が歯に挟まったようだ。経験上、これは妻楊枝をもってしてもなかなか取れない。いたずらに時間だけを消費し、とうとう仕事に復帰しなければならなくなった。
アゴの筋肉もすっかり疲れている。さくべえはまた次の機会にするしかなさそうだ。
ところで、前言を撤回したい。私は今日からタコ嫌いだ。
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