(田川伊田駅前)

田川伊田の駅前に、筑豊の盛衰を見届けたであろう生き証人のような食堂があります。
黒いダイヤとして石炭による筑豊の繁栄のときから今日に至るまで、静かにこの地に佇んでいた
ことでしょう。引き戸も窓枠も木製で、藍色に白ののれんがいい雰囲気を醸し出しています。
晩秋のこの時期らしく、2階の窓には干し柿が下がっているのがまたいい情景となってます。
横には鳥居と石段があり、見事なロケーションで駅前とは思えません。

店内はおばあちゃんひとりで切り盛りされているようです。店内では他のお客さんが、きのうの
オートレースの優勝戦の話などをしています。おばあちゃんもそれなりに応酬しています。
「人気の浦田選手が落てて穴になったけ、獲りきらんやった」というお客さんに、
「配当はいくら位ついたと?」などと相槌を打っています。その後、パチンコの話にもついていく
おばあちゃんは、さすがに人生経験豊富。長い間商いを続けてきた頼もしさを感じます。
カウンターにはおでんの湯気が立ち込め、その奥には懐かしい大きなお釜が見えてます。

壁には達筆な筆書きでメニューが掛かっています。「おかず」とあるのは木製のケースの中から
好きなおかずを選びます。とりあえず「大盛そば」を注文。他のお客さんは、みんなうどんをメインに
めしやおかずを追加していました。
小倉の食堂みなみと同じく、こちらも箸は丸箸です。そもそも割箸はよそ者に対して出すもので、
仲間うちには自前の箸を出すのが礼儀だったらしいですが、そのならわしの名残でしょうか。
醤油は地元のローカルブランドのものでした。中身が容器と同じブランドかは不明でしたが。

出来上がったそばはとろろこんぶとかまぼこの乗った、西日本風の薄味のそば。
家庭で出てくるそばにそっくりでした。
この後再訪したときにうどんを食べましたが、麺が平たくてなかなか美味しかったです。
ごぼう天と厚揚げのおでんもいい味出してました。

残念ながら2006年11月、閉店との情報をいただきました。現在店舗はありません。
(2002年11月21日作成)
(2003年10月23日 2006年12月3日更新)