(閉店しました)

JR小倉駅南口を出て、シロヤという地元では有名なパン屋さんの前の道を進み、アーケードが
切れた先の右側に大衆食堂みなみはあります。店の前にはメニューがずらりと書き並べてあり、
その良心的な値段を道行く人々に提示してあります。何十年も風雪に耐えたであろう、
その店構えも貫禄十分です。


中に入ると、何十年もの歴史の重みを感じます。まさしく大衆食堂といった雰囲気。
木製のカウンターや丸椅子がいい味出してます。店内の面積はこじんまりとしていますが、
テーブル席のほかに座敷席もあります。

店はおばちゃんと、その娘さんと思われる女性のふたりで切り盛りされているようです。
店に来るたびにふたりの姿しか見かけません。この店の厨房に男の影は見えません。
それがまた、昔ながらの食堂らしいスタイルを造りあげているのかもしれません。

座敷も古き良きムードです。折りたたみテーブルもいい感じ。座布団はいぐさ仕様の物でまた
いいコントラスト。店内には大きく品書きがペイントされてます。品数も豊富で迷ってしまうほど。
大衆食堂で定番のラインナップはひととおり揃っているよう。他のお客さんに人気なのは意外
にもうどんのようで、丼くらいの大きさの鍋に入ったうどんを食べている人をよく見かけます。
そういえば入口ののれんにも「うどん」と書かれていましたっけ。

びっしりと書かれた品書きの中で私が心を奪われたのは、やはりビフテキです。他の品が
5〜600円であるのに、ビフテキ定食は何と1100円です。早速注文しましたが、非情にも
店のおばちゃんからは「牛肉は今やってません」との答え。たしかにこのご時世
「ビフテキ」なるものが生息している確率も低いわけですが、おばちゃんの言葉の言外に、
表向きは狂牛病の影響という含みも感じられましたが、どうも長らくビフテキのオーダーが
ないので、仕入れをやめてしまったとも考えられます。これだけのメニューをこなすため
には、仕入れも冷蔵庫内の在庫管理も大変でしょうし。というわけで、ビフテキに
心を奪われながらも、断腸の思いでトンカツ定食に変更するのでした。


さて、トンカツ定食がやってきました。銀の器に三角ナプキンは涙ものです。まだ洋食が珍しく
貴重だったころのような、気品に満ちた姿です。盛りつけも素晴らしく、カツがキャベツを背中に
しっかりと立ててあります。ご飯には福神漬けが添えられていて、炊き具合も洋食にぴったりの
柔らかさです。ビフテキには出会えなかったけれど、大満足のひとときでした。
残念ながら、2007年閉店を確認しました。思い出の店となってしまいました。