(那覇市辻2−5−10)

(以下、2006年の訪問記録です。すでに閉店しました。)
ある小説家が昭和45年に書いた沖縄の旅行記を読んでいると、10年前に比べてずいぶんと沖縄らしさがなくなってしまった
と書いてあった。琉装の人はすっかり姿を消し、頭の上に物を乗せて運ぶ習慣は薄らいでいき、東京で2、3千円はするような
ビーフステーキを、二十代の若者がパクついていると書かれてある。当時琉大卒の初任給は100ドル(3万6千円)程になり、
国際通りではジョニ黒がバナナの叩き売りのように山積みにされ、埃を被っているとある。その頃から沖縄は大きく変わって
いたと思われるが、そこに描かれている十年前(昭和35年頃)の古き良き沖縄の姿が、この店にはまだ残っているのである。

店内に入ると昭和30年代の空気が支配する独特の空間。米軍接収時の米軍のお墨つきだったAクラスの標章が棚の上にある。
店内中央にはジュークボックスが置かれ、本土復帰前の沖縄の雰囲気が息づいている。近年ついに沖縄にもファミレスが上陸し、
全国チェーンの飲食店やコンビニも多数出来てしまったが、まだまだこの店には本土にはない沖縄らしさが残っているのである。

そしてこの店の良さは、その雰囲気だけではない。肝心のステーキの質や値段も魅力的なのである。この店で最上級の
ヒレを使ったテンダーロインステーキ(別名ジョウトウステーキ)は260グラムのボリュームがありながら1500円という安さ。
サーロインのニューヨークステーキも260グラムで1250円である。いずれもパンまたはライス、スープ、サラダが付く。
豪州産牛肉を使用していると店内に大々的に書かれてあるが、これは昨今の米国産の問題により変わったわけではない。
冒頭に書いた本土復帰前から、沖縄には豪州産の牛肉が安く輸入されていたというから安心して食べられるのである。

沖縄のステーキ店に定着しているランチはA、B、Cとあるが、Cランチが450円というのも嬉しい。それもトンカツ、ハンバーグに
スープまでちゃんと付いたボリュームある内容。沖縄にあるステーキハウスのランチは昼だけでなく開店から閉店まで注文できる。
他には沖縄独特のメニューだが、「スキヤキ」もある。英語メニューのある中華料理店でおなじみのいわゆる「チョプスイ」のような
もので、野菜炒めというかうま煮であるが、ステーキ店だけに上質の牛肉のチョップステーキ入りである。沖縄では具の中に春雨が
入り、これに目玉焼きが乗るものが正統派のスキヤキらしい。沖縄でのちゃんぽんもこの路線の玉子の乗った野菜料理である。

今回の私の沖縄の旅で、最も沖縄らしかったのはこのステーツサイズだろう。沖縄旅行には欠かせない店と言ってしまおう。
場所は歓楽街のある波の上の近く。古くからこの一角にはステーキ店が並んでいたそうで、深夜まで営業しているので有難い。
(2006年7月11日更新)