幻の……

幻とは「実体がないのにあるかのように見えるもの」もしくは「実在が確かめられないもの」(大辞林第二版より)です。
しかし、幻の酒という場合はもっぱら「需要と供給のバランスが崩れ、普通ではなかなか購入できない銘柄」といった意味で使われています。
幻のといわれる銘柄、焼酎なら「森伊蔵」「魔王」「村尾」、泡盛なら「泡波」、日本酒ですと「十四代」あたりでしょうか?
ほとんどが小さな蔵で生産量はあまり多くありません。
それが全国レベルで有名になり需要が出てくれば、品薄になるのは当然ですね。
で、例外なくオークションサイトやディスカウントショップ(???)ですっごいプレミアムが上乗せされて売っています。
(プレミアムのお話は04.プレミアム森伊蔵のページに書いてあるので割愛。)

これらの銘柄、確かにおいしいと思います。
一定レベル以上の品質はあります。
ただし、飛び抜けてこれらのお酒が良いかというと、そうでもありません。
おいしいけれど、他にもおいしいお酒はたくさんあります。
特定の銘柄がこれほど取り上げられる理由の大部分はマスコミにあると思います。
たとえば、「有名人が名指しでおいしいと評価」→「メディアがこぞって取り上げる」→「知名度が上がり、飲んでみたい人急増」→「生産量が少ないから品薄状態が続く」→「幻の……と更に噂が広まる」とか。

名に「幻の」と冠されたお酒がはたして幸せかどうかはよくわかりません。
売れても頑なに品質を守り更に高まっていくものもあれば、『売れる』コトに溺れ堕ちていくものもあります。また、品質は変わらずとも、気まぐれな消費者たちに飽きられていくものもあります。
マスコミに踊らされ、そして見捨てられたかつての人気銘柄は悲しさを漂わせているように思えます。
「幻の……」という言葉は業界の活性化にはそれなりに貢献しますが、その銘柄にとって必ずしもプラスではありません。

稀少という価値は魅力的だと思います。
もし、まだおいしいお酒と出会ったことのないお友達がいらっしゃれば、そして、適正な価格で提供している居酒屋でみつけたら「おいしい」ってすすめてみてはいかがでしょう。
稀少価値は焼酎や日本酒のマイナスイメージ(!)を相殺する魔力を持っています。
ミーハーで邪道な入り方とは思いますが、それがきっかけとなっておいしいお酒に出会えるのであれば、それもまた良いと思います。

ただし、いつまでも「誰かがおいしいと言っていたものが最高」という価値を持ち続けるのは幼いと思います。
きっかけは「幻の……」でも、もう一歩踏み出して、自分がおいしいと思うお酒との出会いを楽しめるようになるとステキです♪

Notes の目次 トップページ