ティラミス〜『Ferrara』

 わたしはカフェについて書こうと思ったときに、この店のことを書きたいと思っていた。いやそう思っている店は今も私の頭の中に数多くあるのだが、その中でも印象に残っている店のひとつである。

 1994年1月、ニューヨーク。私にとって3度目の滞在だった。ニューヨークが初めてだった妹を連れ極寒のマンハッタンを歩き回っていた。チャイナタウンで飲茶を食べ(ここも本当にうまかった!!)、すさんだ感じのあるリトルイタリーを歩きこの『フェラーラ』を見つけた。ガイドブックにも載っている老舗である。寒さに耐えかねて、また食後のデザートに誘われて、私と妹は店の中へ入っていった。

 イタリアのデザートといえば『ティラミス』。日本でも十分ブームになり、当時でもそのブームは去った感があったが、私はそんなに食べ慣れていたわけでもないので紅茶とティラミスをオーダーした。妹は何か・・・紅茶か、コーヒーか。とにかくティラミスはひとつしかオーダーしなかった。しばらくしてウェイターがオーダーしたものを並べたが、ひとつしかオーダーしなかったティラミスは真ん中に置かれ、ふたつのスプーン(フォークだったかな?)が添えられていた。・・・当然のことかもしれないけれど、私と妹はそれがとにかくうれしかったのだ。しかもいっしょに並べられた紅茶は変わった器に入っていた。扱い方がわからなかった私は恐る恐るその使い方を尋ねると呆れた顔もせずに親切に教えてくれた。

さすが『老舗』

 単純な私たちは、それで舞い上がってしまった。残念ながらそのウェイターに関してはかなり前のことでもあり、あまりよく憶えていない。しかし彼の親切に触れたことにより、1892年創業のティラミスの味はさらにおいしくかんじられた。今でもカフェに立ち寄りウェイター(まあギャルソンでもいいのだが)のマナーをきにしなければいけない光景に出くわすたびに、彼のことが思い出される。

        

イタリアン・デザートといえば?

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