『Billy Goats Tubern』
この季節になるとマイク・ロイコのこの『クリスマス・コラム』 を読む。(メニューにあるHAPPY CHRISTMAS参照)数年前に偶然本屋で手にしたコラム集の中のひとつだが、今ではマイク・ロイコは私の中のベスト・コラムニストである。ここであげた『クリスマス・コラム』は寒い夜のホット・バタード・ラムのような温もりのあるコラムだが、本来の彼のコラムはもっと辛口で、私にいわせるならキリッと冷えたドライ・マティーニのようなものだ。私は以前マティーニを『人を寄せつけない味』と表現したことがあったが、彼のコラムはまさにそのものである。媚びない。流されない。そのような彼の姿勢がとても魅力的でやめられないのである。13歳のことからバーテンダーとして働いていたというマイク・ロイコは酒好きの私のツボなどとうに知り尽くしているとみえる。
彼の働いていたシカゴ・トリビューンの近くに彼や新聞社仲間が集う店がある。『BILLY GOATS TUBERN』。彼に憧れていた私はシカゴを訪れた際その店に立ち寄った。そこで私は彼が数年前に亡くなっていたことを知った。壁には新聞記者らのポートレートやサイン、記事が貼られている。この店の名物は『チーズ・ボーガー(CHEESE BORGER)』。そして“ペプシではなく”『コーク(Coke)』。明るいコックが次々とオーダーをたずねてパテをひっくりがえす。私はチーズ・ボーガーとコークを頼んでかつてマイクが座っていただろうカウンターをながめながらチーズ・ボーガーをほおばった。マイクとスラッツはここで毎晩のように辛口をたたきあったのだろうか。洒落たバーというよりダイナーといった風情のビリー・ゴーツ・タバーンは彼のコラムによく登場する。マイク・ロイコはピューリッツァー賞もとったことのあるアメリカでは有名なコラムニストだ。私のようなファンがいたのも当然だろうし、常連客の中には『あんたの今日のコラム読んだけど・・・』と酒を片手にマイクに話しかけていたものもいただろう。
今宵はクリスマス・イブ。本来ならばクリスマスにぴったりなカクテルを紹介するべきなのだろうが、一年前からこの季節にはマイク・ロイコのコラムと『Billy Goats Tubern』を紹介したいと考えていた。残念ながら店の写真が探せず今回は紹介できないが近いうちにここに載せる予定である。さて、そろそろ私もクリスマスのディナーにありつきたいので今宵はこのへんにさせていただこうと思う。このページを皆さんが読む頃には私はモエを開けている(空けている?)はずである。