2000年2月

2000年2月5日(土)

昼は外食して満腹になったので夕食は軽く済ませることにした。

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。フライパンにEVオリーブオイルをひいて、中心の芯を抜いて3、4片に裂いたニンニクを一かけ、唐辛子を丸ごと一本投げ込む。火を着け、弱火を保ちオイルに味を移す。

別の鍋に湯を沸かし塩を適量混ぜ、pezzulloの1.7mmを茹でる。茹で汁を大さじ2杯ほどを掬ってオイルに混ぜる。その際にオイルの温度が高いとバチバチと水分がはねるので、味付きEVオリーブオイルは一度火を止めておき、茹で汁を加えてから再度火を付けた方が良いであろう。わたしは台所中を油まみれにして初めてこの教訓を得た。

そこで大事なのはオイルを乳化させることである。乳化とは何かというと、オイルと酢が分離したドレッシングをシャカシャカ振ることによって、オイルを細かい粒状のものにして水と馴染むようにする、あれのことである。さて、ではここで乳化させるためには何をすればいいのか。簡単である。弱火をつけたフライパンをゆっくり揺すっていれば良い。油の底の水分が温められることによって泡になり、ジュワーっという音がしてくると、油と水の層の区別が付かなくなり、液体が白濁してくる。この状態が乳化である。この乳化した状態の液体とゆでたてのパスタを絡める。但し、この際にフライパンに火を入れておいてはいけない。このことについては先月述べたのでここでは述べない。

そして塩胡椒をして出来上がり。

パクパク。食べる。うむ、良くできている。少しニンニクを焦がしたが。本日は乳化の極意をマスターした。評価★★★ 教訓:熱い油に水(湯)を入れてはいけない。油を冷ましてから入れよ。

 

2000年2月6日(日)

本日も休日。午前中図書館に行った帰りに、スーパーに立ち寄った。その際に妙に安い牛肉を見つけた。100グラムあたり40円という安さ。パックには「牛すじ肉」と書いてある。一度も自分で料理したことはないが、きっと煮込んだら食べられるだろうと思い、500グラム強を購入してきた。

家に帰り様々なレシピをひっくり返してみるが、「すじ肉」を使ったものは見つからなかった。仕方がないので「牛頬肉の赤ワイン煮」のレシピに沿って「牛すじ肉の赤ワイン煮」を作ることにした。

まずニンジン、タマネギ、セロリを適度な大きさに切りそろえて、EVオリーブオイルで炒める。本日はこの後煮込むので、それほど長時間炒めることはしなかった。これを圧力鍋に移しておく。ついでにジャガイモも適度な大きさに切って放り込んでおく。

次にすじ肉に表面が変色するくらい熱湯をかけ、生臭さを消す。肉を調理用ハサミで一口大に切り刻み(包丁では歯が立たないくらいにすじは固いのだ)表面に塩胡椒し小麦粉をはたいた後、フライパンにサラダ油をひいて熱し、表面に焼き目が付くくらいまで火を通す。

焼き目の付いた肉を先程の野菜の入っている圧力鍋に入れたところで、赤ワイン(本日はキャンティーを使用)を300ccほど投入し、強火で熱しアルコール分を飛ばす。アルコールが飛んだら、圧力鍋の蓋を閉じて25分ほど弱火で煮込む。本来のレシピではただ、肉を煮込むとだけ書いてあり圧力鍋を使えとは書いてないのであるが、この固い肉を食べられるものにするにはただ煮込むだけでは不安だったので圧力鍋を用いた。圧力鍋のおかげでさすがのすじ肉も何とか噛み切れるくらいの堅さになった。

最後にトマトの水煮缶を加え、塩胡椒で味を調えできあがり。

さて、食べてみよう。

まず、スープから。圧力鍋で煮込んだせいでジャガイモやニンジンは溶けて小さくなっている。タマネギやセロリについては全く姿が見えなくなっている。これら野菜が溶け込んだスープに肉のだしが出て、トマトの酸味とコクが絡み合ってかなり上等な味になっている。

肉を食してみる。初めに食べたのはすじ肉の中でも肉に近い部分。医学的にいうと横紋筋の部分である。ここはうまい。レストランで食べるビーフシチューといった貫禄のある味。ただ、一口大に切ってあるのでボリューム感というのは無いのだけれど。

次の一切れは完全にすじの部分。医学的いうと腱の部分である。生の状態で観察すると白くて銀色に光っていて、筋状の線維がたくさん一方向に走っている、あそこの部分である。ここは圧力鍋で煮込むことによって、全く違うものになっていた。少し透明がかった飴色を呈しており、プルンプルンとしている。口の中に入れて噛んでみると、グニュっという食感。グミな感じ。この食感とこのトマトソースの味が何とも相容れない。端的に言うとおいしくない。この、グミな食感を制御するにはトマトソースでは弱いのである。

結局、すじだけを取り出してスープだけを楽しむことにした。確かにスープはおいしいのだ。そして取り出したすじは表面のソースを洗って取り除き、更に小さく切り刻み、砂糖と酒、醤油で煮込み、「コロ」にした。これは関西では一般的な惣菜で、お好み焼きにかけたり(コロ焼きというらしい)、ご飯の上にのせて食べたりするものだとのこと。「コロ」は妻が担当したのでわたしが作ったのではないが、味見をしてみたらこれは確かにおいしかった。

本日の評価★★★ 教訓:適材適所。すじ肉には醤油の味付けが一番である。

 

2000年2月12日(土)

遅い朝御飯の付け合わせに、ジャガイモのローストを作ってみた。

ジャガイモの皮を剥き、角切りにする。これをドンブリに入れて電子レンジで5分間チン。ジャガイモに火が通ると少し透き通った感じになるのでそれと分かる。EVオリーブオイル、塩、胡椒を加えよく混ぜる。ローズマリー(本来は生のものが良いのだろうが、手に入らないので近くのスーパーで買ったフリーズドライ製品)を香り付けの意味で少し振りかけておく。そしてトースターレンジのトースター機能を使って10分くらい表面に焼きを入れて(これもオーブンがあればいいのであるが、ないのでこれで代用)出来上がり。

さあて、食べてみよう。見た目は少し火の入りが足りないかな、というくらいの薄いきつね色。はぐっ、一口、口に含む。ローズマリーの香りがまず飛び込んでくる。そしてEVオリーブオイルの香りがかすかに続く。火を入れたために、香りがかなり飛んでしまったようだ。最後に少しだけでも香り付けのオイルを足せば良かった。

噛み締める。塩胡椒の加減は悪くない。イモ独特のホクホク感も楽しめる。しかし悲しいことに、ジャガイモそのものの味がしない。これはただのデンプンの塊だ。

昨年、イタリア旅行でステーキの付け合わせとしてこの料理を食べた時には非常に感動した。肉よりも記憶に残っているくらいである。あのときの味とどうしても比べてしまうのである。多分ジャガイモの種類が違うことが最大の理由なのであろうが、あちらで食べたジャガイモは確かに土のにおいと味がした。大地を食らうとはこの様なことをいうのだと一人納得したことをよく覚えている。また、懐かしいと感じたのも事実である。昔のジャガイモはこの様な味だったような気がする。

本日のこのジャガイモは味や香りに関してはスカスカである。このジャガイモが特にそうだというわけではなく最近食べた野菜の中で、それ自体が感動するくらいうまかったものは思い浮かばない。野菜なんてそれ自体が美味しいわけはなくて、肉や魚のうま味を吸収するスポンジのようなものだとして認識していたが、昨年のイタリアでの経験でジャガイモや野菜だけでも十分に美味しいということを知ってしまった。知ることは悲しみの始まりという言葉を実感する今日この頃である。ああ、おいしい野菜が食べたい。評価★★ 教訓:うまい肉や魚はある程度のお金を出せば手に入るが、うまい野菜はどうしたら手に入るのであろうか?

2000年2月13日(日)

昼に上海風焼きそばが食べたくなったのでつくってみた。

まず買い出しから。近所のスーパーで中華麺を購入。永楽の伊府炒麺(イーフーチャーメン)というフェットチーネの様な潰れた少し太いタイプのもの。330グラム入り440円で購入。それから冷凍シーフードミックスも手に入れ帰宅した。

まず、湯を沸かし麺を半分取り出して茹でる。一分くらいで湯から上げ、よく水を切る。中華鍋に油を熱し、鍋が温まってきたところで麺を投入。「ジャー」焼きそばの音。レシピには、麺は焼いているうちに一塊となって固まってくるので、その両面によく焼き目を付けると書いてある。しかし、今わたしの目の前の焼きそばはパラパラと非常によくほぐされた状態を保っており、一塊になどなってくれそうもない。仕方がないので鍋の周囲に胡麻油を回し入れ、火を少し弱くして暫くじっと焼き付けていたら、少しだけ、焼き目がついた。しかし、鍋からは煙が出てきており、これ以上の焼き付けは焦げを発生させ、危険と判断。一旦ここで皿にあげた。

次にもう一度中華鍋に油を引いて熱し、千切りにした白菜を炒めた。その後冷凍シーフードミックスも加える。全体に炒まったところで、塩胡椒をし紹興酒を鍋の縁から回し入れる。水分が飛んだところで先程焼いておいた麺を戻して加えて、具と合わせながら更に炒めていく。塩で味を調え、最後に胡麻油を鍋の縁から回し入れ、すぐに火を止めできあがり。

さてさて、出来立てをすぐに食べよう。はぐ、はぐ。麺がうまい。塩とのバランスがよろしい。胡麻油の香ばしさが味を支える。炭水化物と塩と油によって生み出される「うま味のトライアングル」は偉大だなあ。具はそれほどおいしくはなかった。それなりの味。本当は干し貝柱とか、干しエビとかXO醤などのうま味の塊のような素材を使いたいのであったが、家にそのようなものはなかったので仕方がない。

ところで油の量が少な目に感じるけれど、炒めるときあれほど使用した油はいったいどこに消えたのだろうか。多分麺に吸収されてしまったのであろうが、意外に麺という奴は油を吸うものなのであるなあ。

それから、やはりお焦げの部分がないと物足りない。特に上海風焼きそばの場合はそれが大きなポイントなのでもう少し粘って、焦げをつけた方がより大きな満足が得られたと思う。評価★★★★ 教訓:うまい麺を選んで買うこと。麺を焦がすのは怖いがそこを粘ってお焦げを作れ

 

夕食にはうまい餃子をつくって前回の汚名を返上しよう。

前回は非常にまずい餃子を作ってしまった。しかし、逆にいろいろ学習できたこともある。本日はそれを生かしていきたい。

まず、白菜を茹でる。前回はというか脇屋レシピでは肉と白菜が同量使用するように指定されている。しかしながら肉が多い方が美味しいに違いないと思い、白菜の量を肉の半分くらいに抑えた。茹であがったらみじんに切ってよく水を絞っておく。

それから前回入れなかった、ニンニク、ショウガを一片ずつ擦りおろした。脇屋さんは「肉のうまみを生かすために香味野菜は入れない」と述べているが、本日使用するのはグラム70円也の特売豚挽肉。肉のうまみが云々という逸品ではない。しかも、我々はこれらの香味野菜の味と香りに目がないときている。やはり、家庭で作るそれなりの肉を使った餃子にはこれらの香味野菜は欠かすことが出来ない。

特売豚肉300グラムを加え、塩胡椒少々、醤油を大さじ4杯ほど足して、胡麻油、紹興酒を香付けにそれぞれ大さじ3杯くらいずつ加える。そのうち半分は冷凍庫で保存。半分を餃子の皮で包んだ。

サラダ油を引いて弱火でフライパンを熱する。皮に焼き目がついたら水を回し入れ、蓋をして蒸し焼きにする。最後に、ピーナツオイルを香付けのために回し入れてできあがり。

食べてみよう。かぶりつくと中からジュワッと肉汁。とってもジューシー。ニンニクやショウガ、紹興酒などの香りも自己主張が激しすぎなくてちょうどいい加減。白菜のサクサクとした食感と肉のジュワッとした感じ、そして皮がモチモチしているのだけれども焼き目のところがパリパリしている感じ。いろいろな食感が同時に楽しめるこの幸せよ。醤油をつけないでそれだけ頬張っても十分おいしい。下味を十分につけたためである。

前回の餃子とは大きく異なり、本日は雪辱なったというところであった。評価★★★★ 教訓:餃子にはニンニク、ショウガを欠かすな。

 

2000年2月20日(日) 

本日はここのレシピに沿ってハンバーグを作ろうと思っていたのである。しかし、スーパーの精肉コーナーの前に立ち、「えーと、ハンバーグを400グラム作るとして、牛肉は400グラムの7割だから280グラム、豚肉を400グラムの3割だから120グラム必要だと。でも、二人で400グラムは多いかなあ。でも、多ければ冷凍すればいいか……」等と考えていると、「安いよ安いよー、今日は鶏肉の安売りだー」の声。精肉コーナーに仕掛けられているエンドレステープからであった。

「丁度、牛肉の280グラムのパックというのが売っているから、牛肉に関してはこれを買えばいいけど、豚肉は120グラムのパックなんてこんな少量のものは売ってないなあ。ああ、そうか、大きいのを買って使わない分は冷凍しておけばいいか……」

「安いよ安いよー、きょうは鶏肉の安売りだー」

「ここに牛豚合い挽き肉というのが売っているぞ。これを買えばわざわざ別々に買わなくても良いから便利だよなあ」

「安いよ安いよー、きょうは鶏肉の安売りだー」

「でも、このレシピでは牛肉7に対して豚肉を3加えろと書いてあって、これが一番旨いと支持されたらしいから、やっぱりこの黄金比で作った方が……」

「安いよ安いよー、きょうは鶏肉の安売りだー」

「ここに置いてある挽肉の値段を考えると、豚肉はグラム100円で、牛肉はグラム160円、そして合い挽き肉はグラム100円。単純に数学的に考えると、合い挽き肉に牛肉は含まれないことになるが……」

「安いよ安いよー、きょうは鶏肉の安売りだー」

「今日は鶏肉にしよっと」

耳元で繰り返すという宣伝方法(連呼)について、その効果には常々疑問を持っていたが(特に選挙期間に)意外に洗脳効果があることに気付かされた。

そんなこんなで手羽先を購入してきた。さて、これをどうして食べようか。いろいろ考えたがカレーにすることにした。

フライパンに油を引き、ニンニク、タマネギ、ニンジン、セロリの微塵切りをしんなりするまで炒める。それを一度、皿に移しておく。次に、新たに油をひいたフライパンに小麦粉を大さじ4杯くらい入れ、弱火でゆっくりとキツネ色になるまで火を通す。よい色になってきたらカレー粉大さじ一杯を加え、更に加熱する。これも別の器に移しておく。

次に塩胡椒しておいた手羽先を取り出し、表面に軽く小麦粉をはたき、油をひいたフライパンで表面に焦げ目がつくまで中火で加熱する。ここに水を加え、先程下拵えしておいた香味野菜たちを一緒に入れ、固形のスープを加える。ここで味見をしてみる。うげっ、油がきつい。炒めたときの油が多すぎたようだ。浮いている油を掬って、外に出した。再度味見をしてみる。やはりなんだか、油臭い。まわった油、という感じの臭いなのである。何故こうなったかは分からないけれど、カレーを入れたら大丈夫であろう。カレーは全ての困った味を消し去る(誤魔化す)素晴らしく万能な、ジョーカー的というか最後の切り札的な調理法なのだから。

暫く鶏肉を煮こんだ後、小麦粉とカレー粉の混じった粉をゆっくり混ぜていった。だまを作らないように少量ずつ、溶かしていくのかポイントである。溶けた後はまたしばらくグツグツと弱火で煮込む。

さて、そろそろいいかな。味見をしてみる。うーむ、まわった油の味がどうしても抜けない。醤油を加える。だめだった。中濃ソースを加える。だめだった。カラシや胡椒を足しても、だめだった。塩を加える。味は少し良くなったが、油の感じは変わらない。リンゴを擦りおろしてみる、うま味は増したけれども、油臭さは変わらない。もう、これ以上どうしようもない。

ごはんが炊けたので、ご飯と供に食べてみる。

味は悪くない。普通のカレーの味。しかし、香りが悪すぎる。まわった油の臭いが食欲を減退させるのだ。今までこれほどまずいカレーって食べたことがない。小学校のキャンプで作った焦げてしまい失敗したカレーでさえ、これよりはおいしかったさ。生まれて初めて、カレーを食べてお代わりをしなかった。

妻に感想を聞いた。多分「手羽の臭み消しをしなかったせい」だろうと。調理する前に熱湯をかけるか、下茹でをしておけばこんなことにはならなかったとのこと。なるほどそうかもしれない。それにしても、前回の牛筋肉とか今回の手羽先肉とか、使いにくい食材を買ってきて、まずいものを作って勝手に苦しんでいるわたしって、学習効果ゼロ?

結局、そのカレーにトマトの水煮缶をぶち込んで油の臭みはなんとか治まったのだった。トマトには油の臭みを吸収する力があるようだ。以前、グラム50円の超安売り合い挽き肉でミートソースを作ったときも、肉の臭みは感じなかったし(同じ肉で餃子を作ったときは肉が臭くて食べられなかったのであるが)、逆に肉から出た油がおいしく感じたくらいである。いろいろな食材にいろいろな特長があるものであるなあ。評価★ 教訓:手羽には臭み消しが必要。臭い肉にはトマトをぶち込め