2000年4月

2000年4月1日(土)

夕食にカポナータを作る。タマネギ小1個、ナス2本、ニンジン1本、セロリ1本、ほうれん草半束を使用。アーリオ・オーリオで上記野菜を適当な大きさに切ったものを炒める。炒まったらトマト水煮缶と水を加え煮込む。ニンジンが軟らかくなったら塩、コショウで味付けをして出来上がり。そうそう、パルミジャーノをたくさん振りかけておくのを忘れずに。

本日は茹でたペンネにこれをかけ、イタリアの白ワインと一緒に食した。

野菜がおいしい。パルミジャーノはあれほどたくさん入れたのに、くどくなく、トマトの薄い酸味が爽やかでまるで梅雨明けから初夏にかけての気候を思わせる。白ワインを飲みながら食べると、あれほど水のように薄かったワインの味わいに深みが出てくる。

少しカポナータとワインが余ったので、カポナータにワインを入れてもう一度火を入れる。アルコール分を飛ばすように強火で鍋をあおる。

さて、味を見よう。うむ、確かに白ワインが入ると味にうま味成分が一つ増えるけれど、これが絶妙だったそれまでの味のバランスを崩してしまっている。白ワインの味や風味が、あ、こりゃまた失礼いたしましたの植木等のような存在として感じられてしまうのである。うま味はあればあった方がうまいにきまっている、という考え方は間違いであることがよく分かった。評価★★★★ 教訓:うまさのバランスっていう問題が今回崩してみてよく分かった。

2000年4月2日(日)

昼食に春キャベツと豚肉のアーリオ・オーリオ。洗った春キャベツを一口大にちぎる。豚肉を一口大に切りそろえる。アーリオ・オーリオで豚肉を炒める。よく炒まったところで、キャベツを入れる。キャベツが少ししんなりしたらアンチョビペーストを少量加え、塩、コショウで味を調える。

本日使用したパスタはBarillaのスパゲティー、1.7mm。ゆでたてを、具の入ったフライパンに放り込み、軽く鍋をあおって味を行き渡らせる。その際に勿論火は入れてない。

さあて、稲妻のように食べなくては。

ハグハグ。

こ・れ・は、う・ま・い。

まず、バリラの歯ごたえに驚かされる。すごいブリブリ感。歯ごたえというのか、噛み切ったときに口の中に感じられる麺の切断面が歯の裏側と歯茎の裏側をこすっていく感じ。心地よい。他のスパゲティーのアルデンテとはひと味もふた味も違う。今までに食べたことのないアルデンテ。少しやり過ぎで、あざとい印象はあるが、それはそれで悪いとは思わない。他と違って、それでいておいしいなんてそれ以上のことはないのだから。

具の方も文句なし。春キャベツの甘みと歯触り。豚肉のコクと甘み。アンチョビーの潮の香り。オリーブオイルの香しさ。塩加減が完璧で、全ての味を完全にまとめ上げている。完全なる調和。一糸乱れぬ、といった表現を思い出してしまう。ただ、唯一の難点はパスタ選びとしてAGNESIにした方が更においしかったかもしれないなという点。この塩味と合わせるのであれば噛み締めて穀物の持つ独特の旨みが強いパスタの方がベターかもしれない。評価★★★★★ 教訓:トマトソースは苦手だけれど、オイル系ソースは得意なんだよなあ、昔から。

夕食のためにラグー(ミートソース)を作った。本日はソフリットの素材を微塵切りではなくて擦りおろしてみた。タマネギ小二個、ニンジン一本、セロリ一本をおろし器で擦りおろす。ああ、フードプロセッサーが欲しい。やっとの事で擦りおろすこと約30分。アーリオ・オーリオにこのソフリットの元を注ぎ込む。火を入れて水分を飛ばす。黄色いペースト状のものになったところで味見。げっ、ものすごく苦い。ど、どうしてだ。神様、なぜ、わたしにばかりいろいろな試練をお与えになるのですか。

結局、原因が分からないまま勿体ないのでこのままこの苦いソフリットを用いることにした。いつもの100グラム50円の激安牛豚挽肉に塩、コショウをしてフライパンでよく焼き、水分と油が出きったところでソフリットをフライパンに戻し、よく混ぜ、火を強火にしてフライパンの周囲から昨日の残った白ワインを注ぐ。そのまま強火でアルコール分を飛ばし、水分がなくなってきたらトマトの水煮缶2缶分と水を1リットルくらい加える。トマトは手で小さく潰した。それからローレルの葉を2枚、ロースマリーの枝を一本、それから昆布を一枚入れてみる。

何かアクのようなものが浮いてくるのですくっては捨てる、これを繰り返す。そしてじっくり煮込む。ここでもう一度味を見てみる。何と、苦みは消えている。アクと共に去りぬ、か。よく分からないが取りあえず良かった。しかし、アクと一緒に油分も捨ててしまったらしい。なんだかパサパサした味である。そこで、EVオリーブオイルをつぎ足す。うむ、コクが出てきた。最後にフリーズドライのバジルを振りかけできあがり。味見をすると、なんだか肉が弱い。いつものラグーの「肉です」といった押し出しが感じられない。ワインが白だからなのか。トマトも調味料に徹していて奥に隠れている感じで酸味も強くない。なんだか全ての味が奥に隠れているような印象。これはこれでバランスが良いというのだろうか。うま味が少ないのでパルミジャーノを加えることにした。ご飯茶碗一杯くらいの量を擦りおろし、振りかける。もう一度味見する。確かにおいしくはなったけれども、パルミジャーノの味しかしない。自分で考えて作った味が、パルミジャーノ一つでそれに染まってしまうのはなんだか悲しい。プロがパルミジャーノの使用を怖れるわけが少し分かった気がする。

パスタはDivellaのNo.9(1.6mm)を使用。袋の裏に「イタリア消費者協会がイタリアでNo1に選んだパスタ」とかいてある。確かにおいしい。バリラほどではないがプリプリ感もあるし、粉のうま味も感じられる。ただ、きょうのラグーとは絡みにくいのが難点であった。評価★★★ 教訓:下手な料理人はパルミジャーノを使うとうまくなるけれど、その料理はパルミジャーノの味しかしなくなる。

 

2000年4月7日(金)

昼に結婚式に出た後、夜中に小腹が空いてスパゲティーを茹でた。アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。パスタにはBarillaの1.7mmを使った。

出来立てをすぐ食す。つるつる、ハグハグ。

ううむ、本日の茹で具合は今一つだったようだ。Barillaの持ち味の前歯で噛みきったときのぷりっ、シャキッ、っといった歯切れのいい感じが少し失われている。茹でる時間が長すぎたのか、もしくは茹でるときの火力が強すぎたのかどちらかだと思う。

これくらいの少しもっさりとしている茹で加減の方がおいしいという人もいるかもしれない。でも、そちらの方面を狙うのなら、例えばAGNESIのほうが「穀物の粉のうま味」をうまく引き出していると思うし、Barillaをつかったなら、ブリブリ感を楽しまないと意味がないと思う。評価★★★★ 教訓:各パスタメーカーによっていろいろな味の特徴があるけれど、それも茹で方一つで変わってしまう。恐ろしいことだ。

 

2000年4月15日(土)

例によってラグーを作る。EVオリーブオイルとニンニクを火にかけ、タマネギ、ニンジン、セロリの微塵切りを炒める。軟らかくなったら一旦皿にあげておく。次にフライパンに合い挽き肉300グラム(本日は特売100グラム68円のお買い得肉)を入れ、強火で焼く。肉がカラカラにひからびる感じになるまで焼き付けるのがポイント。挽肉がよく焼けたらソフリットをフライパンに戻し、火を強火にする。ここで赤ワイン(本日はフランスのピノ・ノワールを使用)を投入。熱量でアルコールを一気に飛ばす。ここでフランベしても良いのかもしれないけれど怖いのでやったことはない。ワインがグジュッとしてきたら火を弱めて、トマトの水煮缶を入れる。その際に手指を用いてトマトを出来るだけ細かくすることは言うまでもない。後は月桂樹の葉を一枚落とし、ゆっくりと煮込むだけである。

さあて、出来た。塩をして味見してみる。うむ、肉が多かったせいか、トマトが一缶だけでは足りないようだ。肉はうまいが、回りからそれを引き立てる筈のトマト味が足りなくて、肉の味だけが孤立してしまって困っているといった印象。そのため、もう一缶トマトを足して煮込んだ。もう一度塩をし直して味見。ふうん、まずくはないけれど何となく今一つ。何が足りないかは分からないけれど、今一つなのである。

このラグーでバリラのペンネを食べた。バリラのスパゲティーを初めて食べたときは、そのブリブリな食感に非常に驚かされたけれども、ペンネはそれほど際だった特徴はなかった。他のペンネに比べるとそれでも少し歯切れのいい感じはするけれど、その分、噛み締めたときのじわっと来る粉のうま味に欠ける気がする。評価★★★★ 教訓:うまく行かなかったときに理由が分からないと次回にフィードバックできなくて困ってしまう。

 

2000年4月16日(日)

昼御飯として昨日の残りのラグーを食す。ペンネを茹でラグーに和え、モッツァレラ・チーズをちぎってのせ、オーブントースターでよく焼く。

出来立てをフーフー言いながら口に運ぶ。パクパク。これはかなり、う・ま・い。

表面が香ばしく焼けて、溶けてツーとよく伸びるモッツァレラのおいしさ。そして昨日はあれほど凡庸だったラグーが本日は別人のように実力を発揮している。肉が肉としてのうまさを誇示し、トマトが全体のまとめ役として良いバランスで酸味とうま味を醸し出している。塩加減も文句ない。ソフリットから出たうま味と甘みも隠し味としてよく効いている。

昨日足りなかったものが分かった。時間である。毎回同じことを言っている気もするが、煮る料理は熱と時間に任せろと。煮物は冷めているときに味が馴染んでいく。逆に言うとじたばたしても、時間が来なければ煮物はうまく行かないということだ。 評価★★★★ 教訓:ラグーは最低一日おいてから使いたいものだ

 

夕食に豚肉のリゾットを作った。アーリオ・オーリオを作り、豚肉を炒める。少し焦げるくらいまで火が通ったら、油だけそのままにして豚肉とニンニクを一度フライパンから出しておく。次に同じフライパンの中に米を入れ中火で熱す。米はとがずにそのまま使う。米が焦げないようにかき混ぜたり、フライパンを揺すったりする。米の表面に火が通ったと思ったら、あらかじめ沸かしておいた湯を少量ずつ加えていく。冷たい水を加えると米がベチャッとしてしまうらしいので注意。何度かに分けて湯を入れ更に米を炊いていく。米を試食してみて、少し芯が残ったくらいのところで豚肉とニンニクを戻して、塩、コショウで味を付けてできあがり。

さて、食べてみよう。

フンフン。これはまずまずの出来。米が少しふっくらとし過ぎてはいるが、米のうま味、甘み、豚肉のうまみとそれらをすべてまとめ上げる塩味。そしてときどきピリッと来るコショウのアクセント。良いバランスであった。評価★★★★ 教訓:欲を言えば青み野菜が欲しかった。チンゲン菜とかネギや高菜みたいなものが合う気がした。

 

2000年4月23日(日)

近所のスーパーでしおれたバジルが捨て値で売られていたので、これを救出。休日の昼、スパゲティー・トマトソースになった。

EVオリーブオイルとニンニクを火にかけ、その中にトマトの水煮を潰さずに入れる。お玉の縁で荒くトマトを潰して、バジルの葉をむしって入れ、中火で10分弱くらい水分量が3分の2になるくらいまで火にかける。塩、コショウで味付けしてできあがり。パスタはBarillaの1.7mmを使用した。

本日は今まで得た教訓を生かし、うんと酸っぱいトマトソースを作るようにしたつもりである。トマトは細かくしない。煮る時間はなるべく短くする。塩味は少し薄めに。以上、酸味を際だたせるポイントと思っている。

さて、食べてみよう。あれ、あまり酸っぱくない。塩が思ったよりも多く入ったようで、あまり酸味がとがって感じない。今日は少し暑かったので、わざと酸っぱいソースにしようと思ったのに。

しかし、食べ続けているうちに、少しずつ酸味が増してきた。後半は、もう許して下さい、って言いたいくらいに酸っぱくなってきた。生のバジルの青くて清涼な香りが、またこの酸味を更に尖らせる。さすが酸っぱい指を持つ男である。力一杯酸っぱかった。評価★★★★ 教訓:食べている間に味が変わってくるのはこれ如何に?