2000年8月

2000年8月3日(木)

夕食にスパゲティー・ボロネーゼを作る。買ってきたのはいつもの超安合い挽き肉。塩コショウをして少し置いておく。

EVオリーブオイルとニンニクを火にかけ、ニンジン、タマネギ、セロリを大量に使ってソフリットを作る。ちなみにセロリやニンジンは買ってきたときに一気に微塵切りにしてしまい、使わない分は冷凍保存しておくと便利である。

別のフライパンにEVオリーブオイルをひいて超安挽肉を焼く。その際にとにかくあまりさわらないのがコツ。フライパンに焦げ付きそうになったらこそぎ落とすくらいはするけれど、それ以外は肉に触らない。表面に焦げ目が付いてきたら、周囲から赤ワイン(コル・ディ・サッソ)を垂らす。今での経験上、ワインは味の濃いものが良い。ワインの水分が飛んできたらソフリットにそれを加え、トマト缶を入れて煮込む。本日のトマトは味のエッジがくっきりと立っている。これは出来上がりが期待できる。熱量でトマトの水分が飛んだら塩コショウで味付けをしてできあがり。

次いで、パスタを茹でる。本日用いたのはVoielloのスパゲティー。近くのスーパーで廉価で購入。慎重に茹でて、パスタを絡める。

皿に盛ったらよーいどんで食べはじめる。

いやー、今日のはなんだかいつものと違う。いつものとレベルが違うのである。自分で作ったのであるがなんでこんなに旨いのかが分からない。

まず、ソースが絶妙である。まず初めに口に含んだときに喫茶店で食べるナポリタンを彷彿させるトマトケチャップのような甘い香り。これによって郷愁の念が生じる。そして肉の旨みと肉の中に封じ込まれたワインのコクのハーモニー。そしてトマトのうま味と酸味が裏方として味を支えている。

Voielloはこのソースでも裏切らない。パスタの周りに沢山のソースをまとわりつかせるのはさすが表面ザラザラなパスタならではである。前回と同じようにパスタの一本いっぽんがそれぞれ自己主張する。咀嚼したときの歯触りがなんだかとても幸せな気分をもたらせてくれる。ラグーとの相性もとてもよい。とにかくオールラウンドに使える優良パスタである。

評価★★★★★ Voielloとラグーとの相性★★★★★ 教訓:半人前調理人は自分で作った料理のうまさの謎が解けない。

 

2000年8月4日(金)

昨日の残りのラグーを食べる。使用パスタはPosillipoのスパゲティー。

食べ比べると昨日のVoielloとの違いがよく分かる。普通、スパゲティー・ミートソースは翌日食べた方がおいしくなるけれど、今日に限っては昨日食べた方がおいしかった。麺のせいだ。

Posillipoは歯ごたえがモチモチ系で今まで食べた中ではママーに近い食べ応え。まずくはないけれど特にその他の取り柄もない印象。Voielloと食べ比べるのは酷か。

評価★★★★ Posillipoのトマト系との相性★★★ 教訓:旨いラグーが出来たときには、おいしいパスタを使え 

 

2000年8月6日(日)

昼にスパゲティー・アラビアータを作った。

作り方はアーリオ・オーリオ・ペペロンチーニにトマト缶をぶち込んで煮込むだけ。パスタはVoielloを使用。

出来たてを食べる。

うーむ、辛くて旨い。暑い夏の昼食に最適。Voielloも相変わらずの仕事ぶり。何と合わせても最良の相性を見せてくれる。しかし、アラビアータとしては今まで食べたなかで一番旨かった沼津のレストランサジオで出てきたものには全然追いつかない。何がどう違っているのか。評価★★★★ 教訓:とにかくVoielloはすごいパスタである。

追加:夕食にタコバジルを食した。これは自分で作ったものではないが旨かったので記しておく。アーリオ・オーリオにぶつ切りにしたゆでだこを放り込んで、ふたをして強火で熱す。タコに火が通ったら(2分くらい)ちぎったバジルの葉をたっぷりと振りかける。火を止めて、塩コショウを軽くしてできあがり。非常に簡単な料理。

食べてみると、見た目のしょぼさとは全く違う印象。

まず、感じるのはソースの潮の香り。自分が昔、海から来たものだったということを思い出させてくれる。絶妙の塩味が自分の五臓六腑に染みわたっていく感じ。タコは固すぎずコリコリ、しこしこと心地よい歯触り。また、タコのうま味がソースに染み出て、それがたっぷりのオイルと乳化して、もうどうにでもしてっていうくらいに旨い。タコのうま味とバジルの清涼感溢れる香りとの相性も抜群。最後に余ったソースをご飯にかけて食べてみたけれど、もうこれはタコのリゾットとしてどこかのリストランテで出てきても良いくらいの美味。褒めまくっているけれど、本当に簡単でおいしいので、新鮮なタコを見つけたら是非皆様も作って下さいませ。評価★★★★★ 教訓:イタリア料理を作る際にはEVオリーブオイルをケチらずにふんだんに使うこと。これがおいしい一つのコツだと思う。

 

2000年8月12日(土)

夕食にタコのラグーを作った。先日のタコバジルにかなり感動したため、これにトマトを加えたら更に旨かろうと思ったのである。

いつものようにEVオリーブオイルとニンニクを火にかけ、タマネギとセロリを炒める。しんなりしたら赤ワインを加えて煮込む。本当は白ワインが合うと思うのであるが、余ったワインがこれしかないので仕方がない。今日はいつもラグーを作るときに使っている肉と違うので、この時点でまだタコは入れない。ワインの水分が少なくなったところでトマト缶を入れる。ここでガスの火を出来るだけ弱火にしてタコを加えて、じっくりと煮込む。この弱火がポイント。沸騰させるとたちまちタコは固くなってしまう。

1時間くらいに込んで、バジルの葉を細かく指でちぎって、パラパラと振りかけてできあがり。使用パスタはPosillipo。

食べてみる。口に広がる、潮の香り。タコのうま味とトマトのうま味と酸味。このふたつ、打ち消し合うほど相性が悪くはないが、単に1たす1が2という感じ。タコとトマトを一緒にする意義が感じられない。

Posillipoは本日は上手く茹でることが出来た。表面はモチモチと粘稠度の高い歯ごたえ、内部はプリッとBarillaのような切れ味のよい歯ごたえ。層状に食感が異なる変わったスパゲティーだ。

評価★★★ 教訓:単なるタコバジルのほうがおいしかった。

2000年8月13日(日)

朝食に昨日の残りのラグー。パスタはPezzullo。

昨日よりもタコにトマトソースの味がしみているけれど、そのことが特においしく感じられない。やはり、タコとトマトもの相性はあまり良いものではないようである。Pezzulloはブリブリとプリプリの中間くらいの歯触り。口の中でヴォリューム感を主張する。このようなラグーにも対応できる万能系のパスタである。評価★★★★ パスタとラグーとの相性★★★★ 教訓:タコのラグーは味がしみてもあまりおいしくはならない。

2000年8月20日(日)

昼飯にパスタを茹でる際にある実験をしてみた。

Pezzulloを2種類の方法で茹でてみる。一つ目はグラグラに沸騰した湯で、もう一つはときどきポコリンと気泡が上がってくる程度の温度の湯で。

条件に差がないように、茹で汁の塩加減は同じ程度になるようにし、味付けはオリーブオイルと塩胡椒だけとした。

まず、グラグラ組がアルデンテに入った。素早く湯から上げて皿に盛り、味を付ける。その2分くらい後にポコリン組がアルデンテに入った。同じく皿に盛り、味を付けた。

さて、食べ比べてみる。

ふうむ。グラグラ組はいつもの味。上手に茹であがっている。歯ごたえはプリプリと楽しい。麺を奥歯で噛み締めると粉の滋味が口の中に広がってくる。

ポコリン組はすこし歯ごたえのプリプリ感が損なわれている。少し茹ですぎか?そしてどういう訳かいくら噛み締めても、粉のうま味、風味が感じられない。これはどういうことなのだろうか。

これに関して以下のように考えた。まず、小麦粉の風味というのは熱で変性していない、茹でる前の状態のパスタが最も有しているのではないか。しかし、茹でないと乾パスタは固くて食べられない。アルデンテとはこのふたつの状態が最高にバランスがとれたところを言うのであろうと。

また、グラグラ組とポコリン組を比べて思ったのは、グラグラ組のパスタの茹であがりの状態が層状になっているということ。つまり、外側と内側の硬さに差が感じられるのである。外側からは噛んだ瞬間の好ましい歯ごたえが生まれ、内側からは噛み締めたときの粉のうま味が沸き上がってくる。ポコリン組のパスタにはそのような硬さの勾配が感じられない。多分、ゆっくり火を通すために中に火が通りすぎて粉のうま味がとんでしまうのだと思う。

そういえば今まで同じパスタを使っても、噛み締めて粉のうま味が出たり出なかったりするのはゆで加減のせいだったのか。なんだかすごくためになる実験だった。

評価 グラグラ★★★★ ポコリン★★★ 評価:パスタはグラグラの湯で茹でよ。

 

2000年8月26日(土)

夕食に鰯のマリネのアーリオ・オーリオスパゲティー・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノを作った。鰯のマリネは昨日、妻が作った夕食の残り。鰯をワインビネガーと赤ワインでしめて、EVオリーブオイルでマリネしてある。これはこのまま食べて十分おいしい。これを、フライパンにニンニク、鷹の爪、EVオリーブオイルを熱したところに入れるだけ。最後にベランダから、もいできたバジルの葉を一緒にフライパンに投入して出来上がり。

スパゲティーはPezzulloを使用。オイルは先程の鰯を焼いたものをそのまま使った。バジルを微塵切りにしてアオノリのようにしてオイルの中に散らす。茹で汁を大さじ5杯くらいオイルの入ったフライパンの中に入れて熱し、ソースを乳化させる。ここにゆでたてのスパゲティーを投入し、ソースを絡めてできあがり。

まず、マリネ炒めから。青魚を酢漬けにしたときに感じる、あの独特のモヤーとした口の中に広がる生臭い印象がない。表面がパリパリで酸味が身の中まで浸みていて唾液がジュワーと分泌される。付け合わせのバジルがカリカリに揚がっていて清涼な香りと軽い食感のバランスが楽しい。

パスタはなんだか今まで経験したことがない味。鰯の香りがEVオリーブオイルに乗り移り、バジルは炒められてアオノリのようにしんなりしている。バジルの香り自体はとんでしまったのかあまりしない。Pezzulloは上手く茹であがっていて、プリプリの食感は相変わらず楽しい。

一粒で二度おいしい料理であった。

評価:いわし★★★★  スパゲティー★★★★ 教訓:漬けたものを焼くとおいしい。

 

2000年8月27日(日)

朝食。昨日作っておいたラグーでスパゲティー・ボロネーゼ。パスタはAGNESIのNO.3を使った。太さ約1.8mmと書いてあり普段、うちが好んで使用しているNO.2(1.6mm)よりも少し太い。

ラグーはいつもの通り超安合い挽き肉とソフリット、赤ワイン、トマト缶で昨日の夜のうちに作っておいたもの。一晩寝かせておいた。

パスタを強火でゆで、温めたラグーと絡める。

食べる。ムグムグ。いつものAGNESIと違う印象。太さが違うだけでこれだけ印象が違うなんて、驚きである。まるでDE CECCOを頬張ったときのようなボリューム感。しかし、それ以外にあまりたいした印象を与えない。なんだかつまらない味。いつものAGNESIで強く感じられる「粉の味」がしない。今日は茹で方も間違っていない筈なのに……。

やはり、ラグーとは合わないのであろうか……

ラグー自体の味はまずまず。だけれども、目からウロコが落ちるというほどのレベルでもなかった。

評価★★★★ AGNESIとラグーの相性★★ 教訓:スパゲティーとラグーを合わせるのはかなり難しい

 

昼食にはこれぞ夏、ってかんじでスパゲティ・ジェノベーゼにした。

ニンニクを二かけら、松の実40個くらい、ベランダからもいできたバジルの葉15枚くらい(小さいもの)をフードプロセッサーにかけて細かく砕く。これに削ったパルミジャーノ・レッジャーノを大さじ2杯くらい、EVオリーブオイルを大さじ2杯くらい加えてよく混ぜて胡椒を振りかけできあがり。塩味はパルミジャーノが入っているので足りなければ加える。

パスタはAGNESIのNO.3。茹であがったら、ペーストを絡める。

食べる。うーん。

うまい、うまい。

これは久々のホームラン。生のニンニクとバジルのスパイシーな爽快感。これにEVオリーブオイルの青い香りがよくマッチする。松の実とパルミジャーノのコクのあるアブラの味。これらが一緒くたになってパスタに絡んでいる。このオイル系のソースとAGNESIは非常によく合っている。これは朝食べたのと同じパスタ?って思うくらいにこのソースと合わせるとはつらつとした印象を与える。

わたしの好みのど真ん中の味だった。評価★★★★★ AGNESIとオイル系の相性★★★★ 教訓:夏はやっぱりジェノベーゼ。