2000年10月
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2000年10月9日(月)
本日は体育の日で休み。先日夏休みでマレーシアに行って以来、何となく食に対する欲望が薄れている。何故だかは分からないが。この辺で何かガツンと一発、調子を元に戻したい。という思いを込めて「強烈」をテーマに夕食を作った。一つは「強烈」にうま味を湛えた
餃子。もう一つは「強烈」に酸っぱい野菜の煮物である。餃子は豚挽肉、生椎茸の微塵切り、チンして微塵切りにした白菜、ショウガ、ニンニク、塩、胡椒、醤油、紹興酒、ゴマ油、そして先日購入してきたホタテパウダーとオイスターソースも加えてみた。これを市販の皮に包んでフライパンで焼いた。
もう一つは野菜の煮物。エリンギを適当に裂いて、EVオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪で炒める。そこにニンジン、セロリ、生椎茸、ズッキーニを適当に切ったものを加えて更に炒める。インゲン、白菜を最後に加え、レモン汁を3ヶ分搾って、そのまま鍋に蓋をして煮込む。ニンジンが柔らかくなったら塩胡椒で味を調えてできあがり。
まず餃子から味を見よう。たしかにうま味は満載。けれども、うま味のブラウン運動。おいしさがあちらこちらを向いていて、味の一貫性がない。具体的に言うとこの場合、豚肉の味が首謀者としてこの餃子を引っ張って行かねばならないのに、脇役の椎茸や、白菜の量が多すぎたようだ。調理の世界も主役、脇役をはっきりさせておかないと、味わうときに戸惑ってしまう。まあ、総花的になりすぎたということである。
次いで、野菜の煮込みを食す。確かに強烈である。酸味と辛みで脳天が揺さぶられる感じ。でもこれだったら、レモン汁と鷹の爪だけでスープでも作った方がよかったかもしれない。中身の野菜が生きていないのだ。とにかくすっぱ辛くて野菜の味が分からない。なんだか非常に勿体ない野菜の食べ方であった。たくさん余ってしまったし。でも、翌日も食べたし……。
というわけで久々においしくないものを作ってしまい、大反省の巻だった。評価
★ 教訓:大量の食材を使うときは冒険は避けよう。2000年10月15日(日)
昼食にパスタを作った。
カキのアーリオ・オーリオのスパゲティー。まず、カキをよく洗って、片栗粉をまぶしておく。フライパンにEVオリーブオイル、ニンニクを火にかけ、細切りのセロリを炒める。そこにカキを放り込んでカキに火が通ったら、それは取り出す。スパゲティーが茹であがったら、先程のカキのエキスが出たフライパンに放り込んでソースとよく絡める。それを皿に盛ってできあがり。喰う。ガウガウ。
カキは噛み締めたときに口の中に広がるミルキーな感じ。うま味が溢れている。片栗粉をまぶしてカラッと表面に焼き目を付けるつもりであったのであるが、水気が多かったためか片栗粉自体のとろみが発揮され、余計にミルキーさが強調されている。麺に絡んでいるソースにもカキのエキスが含まれ、具がなくても十分に楽しめるくらいの強いうま味。そして使ったスパゲティーがAGNESIで、またこの粉の味が最高なのだ。普段は昼食につくるパスタというと春の微風のような割と軽いものが多かったが、本日のこれは熱帯低気圧並みのうま味に満ちた、強烈な贅沢な味だった。評価
★★★★ 教訓:やはり、カキの表面をカリッと焼きたかった。外はカリッ、中はトロッ。夕食にはワインを開けた。それに合わせて
豚肉を焼いたものを作った。EVオリーブオイル、ニンニクを弱火にかけ乾燥ローズマリーも一緒に振りかける。ハーブは生が最良だけれどローズマリーに関しては乾燥ものでも結構いけると思う。そこに少し厚めに切られた「生姜焼き用」と銘打たれた豚肉を加えて、中火で焼く。今日の豚肉は100グラム168円という、我が家としては超贅沢クラスの肉。肉の表面がキツネ色に色づいたら、塩コショウして肉は皿にあげる。ガス台の火を消し、残ったアブラにバルサミコを3、4滴垂らしてフライパンを回す。余熱でバルサミコがアブラと乳化したら、それを肉にかけ戻してできあがり。作るのは非常に簡単。さて食べてみる。
うむ、うーむ。
すぐには言葉がでてこない。とにかく凄まじくうまいのである。塩コショウして焼いただけでも豚肉はおいしいのにバルサミコのカラメル香が豚肉の持つ自然の甘みにからまり、そのわずかな酸味がアクセントとなり、得も言われぬ味となっている。その上、EVオリーブオイルと肉からでた脂が渾然一体となってソースを形作っているのであるが、いつもの超安肉ではないためか、豚の脂の香りが非常に香しく感じられる。
これと同じものを以前妻が作ったのであるが、そのときはもっと薄い肉(ロース薄切り肉)でつくり、このときは非常にご飯に合うよきお総菜と言った印象であった。今日のように少し厚めの肉で作ると酒のツマミとして非常によい感じになる。多分、トンカツを作るくらいの分厚い肉で作ると大層なごちそうになるであろう。
評価
★★★★★ 教訓:これほど簡単かつおいしくできるおかずをわたしは他に知らない。ちなみに、そのまま舐めて酸味が強すぎるバルサミコの場合、半分くらいに煮つめてから使うと酸味も適度に飛んで、味も凝縮されて良いと思う。
2000年10月19日(木)
夕食に
フィデウアを食す。フィデウアとは前にも書いたが米の代わりに短い麺を用いたパエリアのこと。スペインのある地方で熱狂的に食べられているものらしい。これはパエリアと同じく、鍋に張り付いたお焦げの部分がごちそうなのだ。焦げた部分をゴリゴリ剥がし、ムシャムシャかじり付いていると幸せな気分になってくる。今日は、麺以外にはニンニク、タマネギ、ニンジン、インゲン豆、豚肉が入っている。
似たような素材を使っても、イタリアのパスタ料理とはまったく別の方角を向いていることが非常に興味深い。なんとなく、パスタ料理はシンプルに作っても洗練された印象があり、フィデウアには鈍くさくあか抜けない感じが漂う。この印象はなぜ生じるのか。
一つにはイタリア料理でパスタを使うときに麺を茹でる鍋と、ソースを絡めたりする調理に使う鍋が別である点があると思う。つまり、パスタを茹でた汁は普通、料理に使わない。しかし、フィデウアの場合は茹で汁ごと調理されることになる。この辺の余剰な小麦粉の存在が、こうしたあか抜けなさを醸し出すのかもしれない。
もう一つは、こげの存在である。イタリア料理のパスタでは普通、麺にこげをつけることはしない。麺の表面ががパサパサしてしまって、ソースは乗らなくなるし、食感は落ちるしで百害あって一利無し。それと比べて、フィデウアはおこげが命。この「こげ」のせいでB級感が拭えないのだとおもうのだ。
評価
★★★★ 教訓:焦げイコールB級感という図式としては関西のファーストフードに当てはまるものが多い。たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、フィデウア、どれもキーワードはコナ、コゲ、アブラである。
2000年10月22日(日)
夕飯に
スパゲティー・アーリオ・オーリオ、豚肉とブロッコリーの炒め物を作った。スパゲティーはいつもと同じように作った。使用麺はAGNESI。出来立てをすかさず食べる。ふむふむ、いつ食べてもAGNESIの粉のうま味は最高。非常に好みである。これだけシンプルなものがなんでこれだけおいしくて感動させるのだろうなんて思ってしまう。
豚肉とブロッコリーの炒め物もシンプルに作ってみた。フライパンにEVオリーブオイルをごく少量しき、塩胡椒をした豚肉を炒める。今日は100グラム68円の安豚細切れ肉を使用。焼いていると肉の脂身が溶けだして、豚特有の臭みが少々漂ってくる。
その間にブロッコリーを茹でておく(スパゲティーと一緒に茹でた)。ブロッコリーの緑色が濃くなってきたところで湯から上げてフライパンの中に入れて炒める。豚肉の臭み消しとして少量の紹興酒を加える。味わいアップのためにオイスターソースをタラタラとたらし、最後に塩で味を決めてできあがり。
これも食べてみよう。ガツガツ。
ブロッコリーがコリコリ、歯触りがよい。ブロッコリーの周りにからんだソースが絶妙のバランスを見せている。EVオリーブオイル、豚からでた脂、オイスターソース。これらを上手にまとめているのは紹興酒の香りである。これらがスクラムを組んで、うまさへまっしぐらといった印象。おかずとしてのあり方としては非常に正しいかたちである。
最近、自分の作るべき料理像が見えてきた。シンプルだけれどこの上なくおいしい普通のおかず。素材にこだわりすぎることなく、そこら辺の安売りスーパーで買ってきた肉や野菜で作るというのがポイント。毎日食べるものにこだわり過ぎると精神的にも経済的にも余裕がなくなってしまうだろうから。
評価:スパゲティー
★★★★ 豚肉とブロッコリーの炒め物★★★★★教訓:出来るだけシンプルに作り、おいしく仕上げる。これ以上の調理人としての楽しみはない。
2000年10月25日(水)
また、
フィデウアを喰う。本日使用のパスタは米型パスタ。色も形も大きさも、まったく米に似せて作ってあるパスタを手に入れた。これを使って作ったフィデウアなのである。
元々、米で作る筈のパエリアを、短く切ったパスタを使うことでフィデウアとして発展してきたものを、また米の形のパスタを使うということで、できあがったこれは一体なんだろうか。何がなんだかわからなくなってしまった。
大脳を使うと混迷の渦に巻き込まれそうなので、本能だけを使って食べる。
ううむ、なかなかのもの。食感は米とは違う。米の持つ噛み締めたときの粘り気がないからである。非常にパラパラ、サラサラしていて一時期輸入されていたタイ米に近いかもしれない。
こげるとそこが少し固くなり過ぎるきらいはあるが、それでもお焦げはうまい。
評価
★★★★ 教訓:一度本場のフィデウアを食べてみたいものである。
