2000年12月
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2000年12月9日(土)
夕食に
スチームボード風水炊きを作った。スチームボードとは東南アジアでよく出されるしゃぶしゃぶのようなもの。材料は白菜、椎茸、えのき茸、平茸、謎の青菜、豚肉。鍋に湯を沸かし、ホタテエキス、日本酒を少々垂らす。そこに上記の材料を適当に切って、入れて煮立ったら出来上がり。タレとして唐辛子ペースト、醤油、日本酒、胡麻油を水炊きのスープで伸ばしたものを作った。さてさて食べてみよう。
ううむ。やはり冬は鍋物であるな。ハフハフいいながら白菜を口の中に入れると、ジュッとうま味の汁がわき出る。キノコもどれもおいしいけれど、椎茸の軸の部分の歯ごたえと香りには参った。これを噛み締める以上の幸せはあるのかといった感じであった。
評価
★★★★ 教訓:唐辛子と胡麻油を使った味付をすると何でも東南アジア風の味付けになるのは面白い。それにしても、あの常夏の国で食べるのものを日本の冬に食べてもうまいのはどういうことなんだろう。
2000年12月10日(日)
朝御飯。昨日の水炊きの汁が残っている。野菜やキノコ、肉のエキス一杯のだし汁である。こんな宝の液体を捨ててしまっては勿体ない。これを使って
リゾットを作ってみることにした。まず、だし汁を熱する。別のフライパンにアブラをしいて米を少し炒める。このとき米は洗わないでそのまま炒めるのがポイント。そこに温まっただし汁を少量ずつ投入する。しるけが飛んだらまた、だし汁を足す。こうしてなるべくかき回さないように(かき回すと米の粘りが出てしまうので)米にだしを煮含ませていく。最後に少し芯が残るくらいのところでコショウを振り、塩で味を決めて出来上がり。
ふーふー。あつあつを食べよう。
うわー、口の中で広がるだしのうま味。うまく残った米の芯が良い歯ごたえとなって咀嚼のリズムが楽しい。噛み締めていると米のデンプン質の甘みが加わって、至極の世界に。永谷園のお茶漬けのCMがあるがあんな感じの朝食であった。
評価
★★★★★ 教訓:現代人は固いものを食べないとよく言われるが、リゾットをときどき食べればかなり咀嚼の力が鍛えられると思う。昼は
フィデウア風なものを作った。EVオリーブオイルを火にかけニンニクを転がし香りを立たせる。玉葱を炒めて少しばかりしんなりさせる。そこにパキパキと3から5センチメートルくらいに折っておいたスパゲティーを投入し少しの時間炒める。そしてそこにまだ残っていた宝のだし汁をいれて煮込む。水分が蒸発して水気が足りなくなったら水を足す。卵を二個ほど割入れ、炒り卵状態にし、食べてみて少しパスタに芯が残っているくらいでできあがり。そのときに鍋にパスタのお焦げがこびりつくくらいに水分を調節しておくのがポイント。最後にコショウ、塩で味を調えできあがり。食べてみよう。パリパリ、フグフグ。
焦げたところがうまーい。なんだか、炒飯やミーゴレンといったアジアを彷彿させる味。多分卵を入れたせいだ。元のパスタから想像するのとはまったく異なった食べ物になっているのが不思議である。
評価
★★★★ 評価:フィデウアの味は鍋焼きうどんに通じる。関西の味と言ってもいいかもしれない。これは多分売り出したら、関西で大ヒットすると思うのだけれどなあ。
2000年12月16日(土)
ボーナスが出て気が大きくなってスキレットなるものを購入してしまった。スキレットとは鋳鉄製のフライパンのこと。一緒にスキレット用の蓋も買った。インターネットでこんなものまで買えるなんて便利な世の中になったものだ。
取り出してみると何とも重い。鉄がものすごく厚いのである。スキレット本体だけとか、蓋だけなら片手で何とか持つことは可能であるが、その二つが組合わさった状態のものを片手で持つというのは、少しばかりきつい。しかし、ものの本によればこの重さが大事なのだと。それならば仕方がないか。
料理に取りかかる前にまず、馴らしをしなくてはいけないらしい。スキレットとその蓋にまんべんなくEVオリーブオイルを塗りつけ、ガスレンジで熱する。すると、鉄色だった表面が黒く年季の入った色に変わっていく。これは何となく嬉しい。これを数回繰り返したのち、屑野菜を数回炒めて馴らしは終了。さて、さっそく調理をすることにしよう。
こけら落としとして
リブロースと野菜の焼いたものを作ってみた。リブロースは沸騰した湯に数分通してくさみ抜きをした。湯通ししたリブロースに塩コショウをして乾燥ローズマリーをまぶす。スキレットに火を入れ、温まってきたらEVオリーブオイルをしいてリブロースの表面に焼き目を付ける。肉の表面がうまそうな色に変わってきたら、皮付きニンニク、たまねぎとのザク切り、レンコンの輪切り、ジャガイモのさいの目切りを肉の下に敷くように入れて、蓋をして弱火で約30分くらいそのまま放っておく。30分後、蓋を開けて見ると、う、うまそう。早速そのままスキレットを食卓に移して食べてみる。
はぐはぐ。
何という、うまさ。タマネギはあめ色タマネギになり、ジャガイモは肉汁を吸っている。特筆すべきはレンコンの相性。他の野菜から出たうま味エキスを纏ったレンコンはサクサク、シャリシャリしかも少しねっとりして食感も楽しく何ともうまい食べ物になっていた。リブロースは骨までしゃぶり尽くした。
評価:
★★★★★ 教訓:スキレットの偉さは放っておいても勝手に調理をしてくれる点。オーブンを持っていない人向けのガス台で使えるオーブンというコンセプトなのだろうけれど、熱の伝わり方が均一なフライパンとしても使えるので、今後の使い道がいろいろ考えられて楽しみである。
2000年12月17日(日)
おやつにスキレットで
焼き芋を作ってみた。サツマイモを洗う。スキレットに入れて蓋をして、火を着ける。そのまま45分間、中弱火で蒸し焼く。それだけである。さあて、味見だ。
あっ、甘い。水分が飛ぶせいか味が凝縮する感じ。子供の頃よく蒸したサツマイモを食べたけれど、色が違う。二つに割ったときの断面が黄金色なのだ。皮が少々焦げて香ばしい香りがつくのも焼き芋ならではである。あの「イシヤキーイモ」のおじさんが売っているあれと同じ味であった。
評価:
★★★★ 教訓:手間いらずで、これだけの味が出ると料理するってなんだろうって思ってしまう。夕食には
スズキの焼いたものを作った。スズキなんて高級魚を使って料理したのは初めてだけれど、近所のスーパーで切り身が二切れで298円と結構庶民的なお値段。ちなみに北米産と書いてあった。スキレットにEVオリーブオイルをしいて、塩、コショウをしておいたスズキの表面に焼き目を付ける。薄く焦げ目がついたら皮付きニンニク、シメジ、ニンジン、タマネギ、レンコンを適度な大きさに切ってスキレットに放り込む。これでまた30分くらい弱火で蒸し焼きにしてできあがり。最後に日本酒少々、醤油少々たらっと垂らして、塩コショウで味を調えできあがり。さて、急いで食べてみよう。
ふむ、スズキがふっくらと焼けている。野菜に火が十分に通ってクタッとして自然の甘みが十分出ている。野菜とスズキと酒と醤油のソースが最高。スズキの淡泊な味にこのソースを絡めて食べれば、もうレストランなんていらないってかんじ。神様、ありがとう。こんなおいしいものを食べさせてくれて。
評価
★★★★★ 教訓:このスキレットは「焼く」ということに関しては抜群の能力を持っている。ちなみにスキレットを使ったレシピ本についてはアクア・パッツアの日高さんが書いているので、興味のある方はぜひ一読を。ちなみにわたしは立ち読みだけして、買ってはいない。
2000年12月23日(土)
クリスマスは家でするに限る。我が家の二人が大好きなアンチパストを並べて宴会にする事にした。朝から準備に入る。
カポナータ、焼きナスのEVオリーブオイル漬け、ドライトマトのEVオリーブオイル漬け、パルマ産プロシュット(生ハム)、干しイチジク、松の実、アンデルセンの赤ワインパン、ゆで野菜(インゲン豆、ニンジン、レンコン)、ジャガイモのロースト、クリスマスケーキ。そしてCAVA(スペイン産のスパーリングワイン)のハーフボトル
を開けた。カポナータはEVオリーブオイルでニンニクを炒め、タマネギ、ニンジン、ナス、をザク切りにしたものを放り込んで、火が通ったらトマト缶を入れて、30分くらい煮込む。塩コショウで味を調え出来上がり。
焼きナスのEVオリーブオイル漬けは、まず、ナスを切って塩をする。出てきた水分をキッチンペーパーで拭ってフライパンで焼き目を付ける。その後に軽く塩コショウをしてEVオリーブオイルでマリネする。
ドライトマトのEVオリーブオイル漬けはドライトマトを少量の水で蒸すような感じで戻す。その後EVオリーブオイルでマリネしておくだけ。
ジャガイモのローストはスキレットにEVオリーブオイルと皮がついたままのニンニク、そして皮を剥いてさいの目切りにしたジャガイモを放り込んで、蓋をして20分くらいそのままにしておくだけ。
メリー・クリスマス。シュポッ。CAVAの細かい泡が弾ける。
アンチパストはどれもいい感じにできあがったけれど、本日の一押しはジャガイモのロースト。スキレットに入れて蓋をして蒸し焼きみたいにするのだけれど、最後に蓋を外して水分を飛ばすように焼くと、ジャガイモの表面がキツネ色になって、表面はカリッ、中身はホクホクという食感にできあがる。これは至福の味。上手に油っけが飛んで揚がったフライド・ポテトという感じ。
評価
★★★★ 教訓:クリスマス料理を店屋で食べると、普段は作らない豪華特別メニューが出てくるのはいいのだけれど、店側が作り慣れないからおいしくない可能性がある。それに混雑するし、その日を当て込んで店も暴利を貪ろうとするのが許せない。やはりクリスマスは家でするに限る。
2000年12月24日(日)
やはりクリスマスは鶏であろう。
鶏のローストを作ろう。ボーナスも入ったということで大奮発して100グラム680円もする比内鳥を買ってきた。ちなみにここに書いてある「半人前調理人修行編」で出てくる食べ物の材料の殆どはわたしの小遣いからまかなわれている。ここに書いている以外にも、帰宅途中でミカン、バナナ、ケーキ、その他のドルチェ類を買ってきたりするのも、わたしの担当なので、わたしの小遣いにおけるエンゲル係数は、世の中のオトーサンがたに比べてとてつもなく高いと思う。鶏のローストの話であった。
鶏に塩コショウをして、EVオリーブオイルをしいたスキレットに入れ火をつける。乾燥ローズマリーをパラパラと振りかけそのまま焼く。ときどきひっくり返して30分くらいでできあがり。
皿に盛ってレモンを振りかける。白ワインと一緒にいただきます。
うむ。素材については文句がない。そこらで買ってくる鶏肉とは全く異なった肉である。身がしっかりしていて歯ごたえも十分。咀嚼したときに沸き上がってくる肉の旨み。レモン汁の酸味がアクセントになっている。
しかし、思っていたものとはちと違うのだ。イメージしていたのはイタリア料理の「鶏の悪魔風」pollo alla diavolaだったのである。レシピを見てみるとどれも鶏の皮をパリッと焼くのがミソと書いてある。というわけで皮の部分が十分に焼けるように時間をかけて焼いていたのであるがうまくいかなかった。もう一度良くレシピを見ると、皮の部分がよく焼けるように肉の上に重しをして焼くのだそうだ。なるほど、そうであったか。また、次回への課題ができた。
評価
★★★★ 教訓:diavola(ディアボラ)は押しつけて焼け。
2000年12月30日(土)
年末だ。保存食を作らなくては。
豚ロースのロースト、里芋の煮物を作った。豚肉はロースかたまり肉、特売でグラム85円の品、500グラムくらいの大きさのものを購入。肉に15カ所くらい細い穴を開け、そこに細く切ったニンニク、ローズマリーを詰め込む。スキレットをガスレンジにかけ、薄くEVオリーブオイルをしく。スキレットが温まってきたらそこに肉塊を入れ、転がして表面にまんべんなく焼き目を付ける。肉の全面に焼き目がついたら、表面にもう少々EVオリーブオイルを振り足し、蓋をしてグリルする。15分に一度くらいひっくり返して1時間くらいでできあがり。
里芋は皮を剥いて、塩を振りかけてよく揉んでぬめりを取る。下茹でをしてアクを抜いておく。下拵えが終わったら、もう一度鍋に水を張って火にかける。昆布を一かけら入れておく。沸騰してきたら昆布は取り出す。鰹節(削り節)を二摘みくらい加える。次いで砂糖を加える。砂糖は少々多めな気持ちで加える。そして塩、日本酒、を加える。最後に醤油で味を決める。少し薄いくらいのほうが味が上品だと思う。
両者とも翌日に食べた。
里芋の煮物はレンジで煮汁ごとチン。里芋のホックリした感じとほんのりの甘み、だしの香り、醤油の風味。どれも控えめだけれど十分に感じられ、どれも突出したりしていなくてバランスがよい。初めて作った和食としては合格点であろう。ふうむ、和食も以外に簡単であるな。芋を向くのは結構面倒であったが。
肉塊は薄く包丁で削ぎ切って、皿に並べてオーブン・トースターでチン。フランスパンの上にのせて赤ワイン(ラ・スピネッタのバルバレスコ)とともに味わう。
至福至福。これぞ極楽という味。豚の脂がうまい。肉の周囲がカリカリに焼けていて水分が飛んだ感じになっていて、噛み締めると凝縮していた旨みが放出されて、うほほ〜と言葉にならない言葉が自然に出てきてしまう。また赤ワインと味わうと、肉の油の甘みとワインの果実のような甘みが、絡んだスパイラルのようにどこまでもどこまでも伸びていくようで、異次元に連れ込まれそうになる。イタリア料理でいつも思うことだけれど、この料理も「なんでこんなに単純に作って、見た目もしょぼいのに、食べるとなんでこんなにうまいんだろう」と感じた。
評価 里芋の煮物
★★★★ 豚肉のロースト★★★★★ 教訓:この豚肉のローストはイタリア・トスカーナで「アリスタ」と呼ばれている料理らしいが、その由来として次のようにいわれている。15世紀のトスカーナの僧院でギリシアから来た僧侶にこの料理をご馳走したときに「アリストス(aristos:最高の意味)」という言葉を得、それ以来アリスタと呼ばれるようになった、と。このギリシアからきたこの僧侶の気持ちがよく分かるなあ。
