雑文No.51〜55
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No.51 我が家の法則 その6
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我が家の法則 その6 寒い夜には風防を使え
今、住んでいるのは分譲タイプを賃貸契約しているマンションである。駅から近くて、利便性は高いのであるが、何しろ築年が昭和40年代の前半なので古い。
廊下側にDKがあって、窓側に二部屋ある。この間取りではこの窓際の部屋を寝室にするしかないのであるが、サッシも昭和40年代製ということで、困るのは窓際の部屋のすきま風である。特に冬。風が強い夜などは肩口がスースーして寒くて夜中に何度も目覚めてしまうこともある。そこで考えた。
風防を作ろう。
そしてできたのがその名も「流線型'00」
2000年の正月に、そう2000年問題対策のために買い揃えたミネラルウォーターの入っていた段ボールを切り開いて、折り曲げて、折り曲がったままの状態を保つようにガムテープで固定する。そしてそれを枕元にセットするだけ。

流線型'00がセットとされると頭の上に衝立が立った状態になるのであるが、こんなものが意外に防風効果が高い。特に寒い夜などでは顔の鼻筋の上のあたりを冷たい空気が足下のほうへ流れていくのが分かる。これを使ってからは夜中に目覚めることもなくなった。
同じことで悩んでいる方、是非お試しあれ。
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No.52 外食考
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「外食」という言葉には何か贅沢な響きを感じる。少なくとも子供の頃はそうだった。
給料日後の月末の休日。「今日は外食しようか」「わーい」
家族揃って電車で、もしくは車に乗り込んで、出かけていく。みんなうきうきしていた。たとえ向かう先が食べ放題の焼き肉屋だったり、回転寿司だったとしてもだ。何がそんなに嬉しかったのか、今となっては具体的には思い出せないけれど、お祭りに行くときのような高揚感があったことは確かである。「ハレ」と「ケ」という概念があるが、そのころの感覚では外食する事はそれ自体が「ハレ」である行為、つまり非日常でおめでたい出来事なのであった。
今となっては外食も日常茶飯事とまでは行かないけれど、外で食べる毎日の昼飯や飲み会なども含めて外食と呼んでも差し支えなければ、かなり日常に近くなってしまった。そして昔のようにドキドキする代物ではなくなってしまった。
香港では逆に外食が「ケ」、つまり日常なのだそうだ。外食産業が非常に発達し、またその数がおびただしいため競争が生じた結果、家で作るよりも外で食べたほうが安く済むということが起きているらしい。朝から、いつものあの店でお粥を食べて……、というのが当たり前だというのだから驚いてしまう。
日本においては「中食」という言葉が最近使われている。これは、外で購入した食べ物を家の中で食べるということである。家の中で作って家で食べることを内食、家の外で作られたものを家の外で食べるのを外食といい、その中間だから中食と呼ぶらしい。コンビニエンス・ストアーが普及し、この食事の形態が増加してきている。わたしも独身の頃はほとんど中食ですませていた。手間から考えて内食(自炊)する気分には、休日以外にはならなかったというのが理由である。手間だけではなく、おそらくコストの点からいっても一人暮らしであったら中食のほうが安くつくと思う。
日本でも女性の社会進出がもっともっと進むようになると、外食産業が更に日常へ近寄ってきたり、中食産業がより発展する時代が来るであろう。そうすると未来の「ハレ」の日は今までとは形を変えることになるかもしれない。
「今日はおうちで作ったご飯よ」「わーい」
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No.53 パパのおひるごはん
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さいきん、うちのパパはかいしゃのおひるごはんにハンバーガーをたべています。
「65円になって、たすかるなあ」とパパは言っています。
うちのポチはひとつ148円のペディグリーチャムしかたべません。
ママは「うちのパパは犬よりもけいざいてき」ってほめています。
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No.54 どっちを選ぶ
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ポンキッキのガチャピンは万能である。様々な職種に果敢に挑戦し、ことごとく成功を収めている。勇気あるチャレンジャーである。ある時はスキーヤーとして雪山の急斜面をスイスイと下り、またあるときはスカイダイビングをそつなくこなす。たしか宇宙遊泳までしたと思ったけれど、あれはどうなったんだっけ。まあ、実際にはその道の第一人者にガチャピンの着ぐるみを着せさえすれば、それがガチャピンになるわけだから何ができても当たり前なのだけれど。
ただ、避けたほうがいいと思われる職業もいくつか挙げられる。
ガチャピンの裁判官。
ガチャピンの天才外科医。
ガチャピンのグランブルー。
私が最も懸念しているのはガチャピンが寿司職人を志向したりはしないかということである。あの緑色の毛むくじゃらの腕と手で寿司を握ったりすることを想像しただけで食欲は100分の1に減退する。出てきた寿司の表面にガチャピンの緑色の毛が、たまたま付いていたなんてことを考えただけで鳥肌ものだ。
寿司職人といえば、以前持ち帰りチェーンのK寿司で遭遇した光景が忘れられない。ある夕方、店は客で混んでいて、わたしは注文の品ができあがるのを待っていた。暇に任せてふと厨房を覗いてみた。すると、寿司を握っていたのは、なんと、セーラー服を着た女子高生だったのだ。
寿司といえば職人。血の滲むような修行を何年も続けてきた職人が握るもの。いや、修行を受けていないものは決して握らせてもらえないもの、そんなイメージがそれまでの私にはあった。それが、アルバイトの女子高生が学校帰りに握っているなんて、それはそれはビックリしたのである。しかもセーラー服。普通、学校の制服ってほとんど洗わないから衛生的に汚い印象がある。それと生の魚を使った寿司がどうしても相容れなく思ったのである。たとえ、安い持ち帰りすしであったとしてもだ。
それにしても何とも収まりの悪い組み合わせ。イメージの持つ威力とは恐ろしいものがある。「料理の鉄人」で最後の和食の鉄人となった森本氏はスタジアムジャンパーのような衣装を着せられていたが、あれはそういう意味ですごくおいしくなさそうな料理人に見えて可哀想だと思っていた。それと同様に、たとえ、その女子高生がものすごい修行をくぐり抜けてきた天才寿司職人であったとしても、セーラー服を着て目の前で握ったその寿司は食べたいと思わないだろうな、多分。
ガチャピンとセーラー服の女子高生。あなただったらどっちを選ぶ。
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No.55 一万円入りまーす
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平日の昼食。久しぶりに外食した。普段は病院の食堂で定食を食べている。病院食も一種の外食であるが、あれを外食とは呼びたくない。
駅ビルの飲食店街。地鶏料理が売りの居酒屋。一人で入り口近くのカウンターに座り、昼のランチメニュー、地鶏のみぞれ煮定食が来るのを待っていた。そのときである。
「一万円入りまーす」
後ろのレジのお姉さんだ。
「へーい」「はーい」
店の衆だ。
居酒屋などではよくある光景。しかし、ここで急に思った。
これって何だ。
このお姉さんは何故に店の衆にこの様な報告をする必要があるのだろうか。みぞれ煮定食が来るまでの間、いくつか理由を考えてみた。
その1。一万円がそれはそれは貴重で物珍しかった時代の名残。「こんなに珍しい一万円札なんて高額紙幣がこの店にも遂にやってきましたよ。長生きはするもんだねえ。さあ、みんなで拝みましょう。ありがたや、ありがたや」ということを店の皆に知らせるために、「一万円入りまーす」と大声で叫ぶ。
その2。フランス料理店や同じ和食を扱っていても、料亭ではこの様なかけ声は聞かれることは多分ない。ということで、居酒屋などで単に威勢の良さを表すために、何となく景気がよい感じがするから「一万円入りまーす」と叫んでみているだけ。
その3。「1000円弱の昼定食を食べて、一万円で支払いをしようとする馬鹿者どもめ。こちらのことも少しは考えてみろってんだ。釣りがどれだけ必要だと思う。1000円札が4枚、5000札が1枚必要になるんだよ。これが何人も続くとそれだけの枚数の1000円札、5000円札が必要になるんだよ。つまり、レジの中にたくさん釣りを用意しておかなくてはいけなくなるんだよ。これは、手間もかかるし、安全面から考えても不用心なんだよ。つまり、1000円以下の支払いは1000円札で払ってもらいたいんだよ。1000円以下の支払いで一万円なんかで払いやがったんですぜ、このお客は。どうです、こんなことが許されるんですか、皆さん」という、非難の意味を込めて「一万円入りまーす」
その4。スーパーのレジでは一万円札がはいっても叫んだりしない。その代わりにその都度、ボールペンを持ち出してきて枚数をチェックをしている。多分お釣りの札を用意する都合上、必要になっているのだと思うのだが、これと同じことを「おー」と叫んでいるレジの後ろの店員がチェックをしているのだ。お釣りのお札の管理を行うために「一万円入りまーす」と連絡する。
その5。ときどき、「一万円入りまーす」と叫ぶと同時にお姉さんが札を頭上に掲げてピラピラさせていることがある。それを見た店員が「うーす」と叫んでいる気がする。非常に視力が良い店員がいて、彼が偽札発見の名人なのだ、きっと。というわけで「一万円入りまーす」イコール「偽札チェックよろしく」の業界用語
その6。やはり、「一万円入りまーす」のあと、別の一人が掲げられたお札を見て確認している場合。「レジの彼女は一万円と言っているけども、どうも信用ならない。例えば五千円しかあずかっていないのに一万円と勘違いしたらそれだけで五千円の丸損だ。」というわけで、レジのお姉さんの「ほら、誰がどう見ても一万円でしょ」という気持ちを込めて「一万円入りまーす」
とまあ、これくらいの理由が思いついたわけであるが、みぞれ煮定食を食べ終わっても正解は分からなかった。
ちなみに、そこの店のお姉さんは混んできたら「一万円入りまーす」って叫ばなくなって、「一万と80円からお預かりします」というモードに変わっていた。やはり必ず叫ばなくては困るというものではなさそうだ。
どなたか業界関係者の方、正解をご教授下さい。
