2002.3.17(日)
アメリカンナショナリズムの謎


みなさま大変ご無沙汰しておりました。アメリカの小田舎に生息しておりますレッドでございます。日本で生活している日本人から「ねえねえ、どうなの?今。」と必ず言われる今日この頃。そう、それは昨年9月11日のワールドトレードセンターにハイジャックされた旅客機が突っ込んだという前代未聞の大事件がおきたからですね。ところで911ってアメリカの110番にあたる電話なのだ。警察・消防・救急はすべてこの番号。知ってた?

私はと言えば、せっかく譲り受けたデジカメをUSBで認識させるドライバーのファイルが元のCDの中で壊れているらしく、写真を撮ったはいいがPCに取り込めないという宝の持ち腐れ状態が続いていたところに2001年末、ついにPCが立ち上がらなくなるという非常事態も勃発し、結果1年以上も"れっどのれぽーと"ファン(いるのか?)をお待たせしてしまいました。ほほほ。お陰でテロの旬もすっかり過ぎておりますが、気にせず書いちゃう私。

事件の朝、仕事に行く前の天気予報チェックでニュースをつけてびっくり。あらあらビルから煙が出ていてそこにまた一機飛行機が突っ込んでいくではありませんか!!ニュースを流している方もパニックしておる。ちなみにウチはニューヨークとは1時間の時差があります。とりあえず職場に行くと同僚のアメリカ人女性S女史(45才バツイチ再婚中学生の息子アリ)は、すでにラジオに釘付けになっていました。当然私も釘付け。2人とも仕事は接客ではなく単独作業が任務なので一日仕事そっちのけでした。別部門では病院診療業務を行っているわけですが、事件を知らずに来た8時半予約の人のあとはキャンセルの電話の一本もありませんが、誰一人来なーい。きっとみんなもテレビに釘付けね。うちの職場では、ほとんどの日勤の人は3時くらいまで勤務して早めに帰っていたようです。ちなみにほかの職場では出勤した途端お家にとんぼ返りしてテレビに釘付けになっていたとこもあるそうです。

私は定刻まで職場にいたものの、午後になって早退して帰った人の理由ってなんだと思います?それは「ガソリンの値段が上がる」という噂が流れたからなんです。輸送に影響がでて(といっても船と陸路は関係ないし、自国だけで自給できるほどガソリンの備蓄が隣の州のテキサスにあるはずなのにねえ・・・)ガソリンが無くなったら困る、と言ってガソリンスタンドが販売を中止したり値を上げたりしたのだった。すげー詐欺なんだけど、かなり多くの人がスタンドに群がって夕方の街は大渋滞でした。その頃はレギュラーハイオクで3リットル$1.40くらいなんだけど、すごいとこは$4まで高騰したらしい!夜になって州知事が「デマにのらないように」とアナウンスして翌々日にはいつも通りのお値段に戻っていた。なんなんだ一体。

と、このようにニューヨークから遠く離れた田舎では人々は一時取り乱していながらも、事故の当日から自主的に赤十字に献血に殺到。余りの人数に赤十字が「今日はもう来ないで〜」とお断りのアナウンスをラジオで流していたくらいである。同僚のS女史も事件当日の午後、すばやく献血に走ったが、断られてしまったのだった。キリスト教精神から来るのか、ケネディ故大統領の有名な演説「国に何かをしてもらうのではなく、自分が国の為に何が出来るかである」に感化されているためか、社会の一員であるという自覚を持って何かをしようという意識がすごく強いのだ。街角でも赤十字を始め自主的に募金をする人がすぐに出現(多分サギじゃないと思う)。このへん、日本人とは違うよねえ。

そして事件の2日後になると色んなところで自主的に追悼集会が民意で開催されていました。ちょうどウチの職場から車で5分のところで市民団体主催の野外キャンドルプレーヤー(つまりロウソクのお祈り青空集会)があるという告知がラジオで流れたので私も行ってみました。どうやら教会やボランティア団体がらみのオープン集会なのですが、赤十字の人もたくさん参加していて募金箱を持って会場を練り歩いております。れっども募金しましただ。夕闇の駐車場に着くと、いるわいるわ1000人単位の人が手に手にろうそくを持って集合している!!皆さんお家のロウソクを持参しているのでアロマな匂いが多種ただよっているぞよ。

会の進行をする人達は「ニューヨーク」だとか「テロ」だとか「事故」といった単語は一言も言わないけれども、「不幸にして旅立つ人の為に、自分たちがアメリカの誇りを持ってまとまっていけるように祈りましょう」といった事を話してから、追悼のラッパが演奏され、最後に「ゴッドブレスアメリカ」という歌をみんなで歌いました。陽が落ちた薄闇の中に何千ものろうそくの炎が幻想的に浮かび上がり、大変美しく荘厳な風景でした。このときにデジカメが使い物になってなかったのが本当に残念。しかし!しんみりと歌が終わった瞬間、奴らは「いえーいヒューヒューーー!!」と叫び始めた。やっぱアメリカだ〜。そして誰とはなく「USA! USA! USA!」と日本チャチャチャばりの大合唱になってしまった。攻撃されるほど強くなるナショナリズム!!ちょっと怖いー。私日本人だしぃー。でもイイもん見させていただきました〜。

こうした自主的集会が各地で開かれた翌日に、改めてB大統領は直々に「お祈りの日」とするように通達をだしたのですが、以来1ヶ月間くらいみなさん愛国心バリバリのいでたち。国旗柄の洋服はもちろん、多くの人は青と赤を組み合わせてアメリカの国旗を連想させる洋服で登場。正直言って派手すぎ。。。色がモロ原色なのでコメディアンみたいよ。青いシャツの胸に赤いリボンをちょこっと付けて、控えめながらアピールしている人もいました。私にゃ、控えめなセンスの方がいいわ。B大統領はさらにこのナショナリズムを刺激するような演説をしまくっていた。煽る煽る。外国人である私には、B氏がナショナリズムを利用しているように感じたじょ。

同僚のS女史や秘書のMさんの言うことには、アメリカでも学校教育者は左寄りが多いそうな。国旗の掲揚や国家斉唱をしない学校も少なくないとか。でも家庭に戻ったらみーんな旗たてちゃってあの通りなのになあ。アメリカ人が自覚がないだけという気もするけど、当人達は「アメリカは結構コミュニストな社会よ」と言う。世界で一番顕著な資本主義競争社会じゃなかったっけ?本来、コミュニズムとナショナリズムは別枠なので、共産主義国だって愛国心はあっていいはずですが、日本の政治事情のため、どうしても共産主義と国粋主義が切り離されてないことに違和感を感じてしまうれっどであった。

ついでにここで話を脱線させちゃおう。れっど的に「コミュニスト」と言うと、"とにかく体制と国家を否定して、能力の競争によって資本財源が偏ることを嫌う人たち"という印象(つまり日本の共産主義野党のイメージ)なので、S女史達の言い分には頷けないぞう。さらに日本の共産主義政党は「愛国心を持って戦うこと」を否定しているのでやられてやり返しているアメリカは、れっどのコミュニスト像からとっても遠い。まあ、その国の文化や時代背景で「何が共産主義的か」は変わって当然だと思うし、実際に日本における共産主義政党の言動は世界から見たら特殊な部類だとも思う。親切な誰か、管理人イエロー経由で正しいコミュニストの定義をメールでれっどに教えてくださいなー。

で、話を戻しましょう。この国にとって戦争になるということは、志願した軍人以外の一般の若者が将来徴兵される可能性があるということを意味しているのですが、米国民のみなさんはそれを承知の上で、アフガン攻撃に同意しているというのも日本人には驚きでしょう。アメリカには一般の軍隊のほかに、準軍隊組織としてナショナルガード(国防軍と訳されている)やリザーブ(予備軍って言うのかしら?)が有志で成り立っていますが、実際に戦争になるとそれだけでは足りないので志願者以外も徴兵します。そのため、21歳だかなんだか(正確な年齢は忘れました)になると、男性は連絡先と居住地を国に報告することが法律で義務付けられているんですよ。30歳くらいまで徴兵されるらしい。実際にベトナムや湾岸戦争でもそうして徴兵されています。S女史のだんなさんは徴兵されてフセインのお家の近くに爆弾落とす仕事をしたらしい。彼は現在も普通の仕事の傍らリザーブに入って時々訓練しているそうな。こんなに戦闘になる可能性が高いのに結構若い人がちゃんと自ら軍に行くのよね。すごい愛国心だ。私のアメリカ人友達はみな20台後半から40台前半で、20人くらいいますがうち軍人が4人(うち一人は女性パイロット)もいる。かつその4人は知り合いって訳ではないし、知り合ったきっかけは全くの基地外。軍に関係しているアメリカ人はいっぱいいるって事だよねえ。軍に対する尊敬も高いようで、私の住んでいる地域で事件後の12月に「制服で働く人たち(軍人警官消防士救命士)ありがとう集会」があり、そこでは生バンドコンサートと熱海なみの花火大会のオマケ付。国家を始め、Born in The USAなどアメリカ臭い音楽をバックに打ち上げ花火やナイアガラ花火を堪能させていただきました。ハイ。なんとこれまでわが市で行われてきた花火大会の中で最大の金額をかけた(それで熱海レベルなのがやや哀)花火であった。

そして事件以来、アーカンソー州では今もなお多くの車がアメリカ国旗をつけて走っています。族みたいな旗立てバージョンからステッカーバージョン(ウインドウに貼ってるだけでなく気前良く塗装面にべったりと貼っている。日本人にゃ恐ろしくてできんぞ。)、車の後部ウインドウにスプレーで落書調バージョン(後方確認する気持ちはないらしい)、旗を後ろのダッシュボードにたたんで置いてあるちょっとお洒落系など様々。

正直な感想ですが、外国人である私には、アメリカ人が「国を愛する自分に酔っている」風に見えなくもなかったです。日本人が何かに理由をつけて飲み会をするのと同じようなイベント感覚でナショナリズムを発揮しているような、そんな感じもしたし。日本人よりははるかに強い愛国心があることは明確なのですが、そう言いたくなっちゃうのだった。なぜってアピールがあまりにも派手なんだもーん(笑)。それにみんな普段は結構単純だったりするからなあ。