ドイツワインの産地
ラインガウ(Rheingau)
”ラインガウはワインガウ――”(ガウとは「里」の意)と言われるほど、特に有名な名醸地です。強さとエレガントさを兼ね備え、果実味に富んだ独特のブーケを特徴とする数々の名酒を生み出しています。
1988年からサントリーが経営している<ロバート ヴァイル醸造所>は、この地域で最も高い名声を誇る名醸造元のひとつ。1989年以来毎年、Q.b.A.からトロッケンベーレンアウスレーゼまでのすべてのランクのワインをつくり続けるという、ラインガウ史上初の快挙を更新し続けています。その品質の高さは、美食雑誌『ゴー・ミヨー』が、「ドイツ最高の醸造元」として賞揚していることからもうかがえます。
ラインヘッセン(Rheinhessen)
現在では、ドイツで最も大きい栽培地域で、地区により様々なワインを産出しています。葡萄品種は、ミュラー・トゥルガウ、シルバーナーが主体で、一般にソフトでデリケートなため、ダーメン・ヴァイン(淑女のワイン)と呼ばれ、親しまれています。特に「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」は有名です。
「リープフラウミルヒ」は元来ラインヘッセンの中心地ヴォルムスの聖母教会の修道僧たちが礼拝の合間につくっていた、爽やかな甘味をもつワインの名前でしたが、そのおいしさと名声の高さから模倣者が続出し、今ではドイツワインのひとつのカテゴリーにまでなっています。この聖母教会の葡萄園の最大手の所有者は、ドイツワインの大手商社ファルケンベルク社で、同社では数多くある「リープフラウミルヒ」と「元祖リープフラウミルヒ」を区別する意味で、同社のワインには教会の葡萄園にある聖母像にちなんだ<マドンナ>の名をラベルに表示しています。
ファルツ(Pfalz)
旧ラインファルツの名が1993年からファルツと改称されました。ラインヘッセンの南に広がる一帯で、明るい南の風土や気候、そして肥えた地味に恵まれ、ドイツで最も大きな産地のひとつとなっています。葡萄品種は、ミュラー・トゥルガウが約22%、リースリングが約17%ですが、良質ワインは、リースリングからつくられています。気軽なぐい飲みワインから高貴なベーレンアウスレーゼまで、タイプも豊富にあり、飲む人を楽しませてくれます。
ナーエ(Nahe)
ナーエ河流域と、途中で分かれるアルゼンツ河とグラン河の2つの流域がナーエ地域です。リースリング種、シルバーナー種、ミュラー・トゥルガウ種などから、良質のわりに手頃な価格のワインを生み出しています。
アール(Ahr)
ライン河の支流アール河沿いの小さな地域で、シュペートブルグンダー種や、ポルトギーザー種から醸した赤ワインが7割を占めています。白ワイン用としてはリースリング種やミュラー・トゥルガウ種が栽培されています。
ミッテルライン(Mittelrhein)
ヨーロッパでは最北端に位置している葡萄栽培地域で、リースリング種がほとんどです。耕作できるところはほぼ葡萄畑におおわれており、その中に古城がそびえ立つという、大変ロマンティックなところですが、ワインは中級程度のものが多く、大半が地元で消費されてしまいます。
モーゼル・ザール・ルーヴァー(Mosel-Saar-Ruwer)
ラインワインを並ぶモーゼルワインは、モーゼル、ザール、ルーヴァーの3つの河の流域でつくられるワインの総称です。リースリング種の生気あふれる上品な香り、爽やかな酸味と軽い甘味が特徴です。
ラインヘッセンのヴォルムスにセラーを持つファルケンベルク社は、またモーゼル地方にあるカール グラフ社も所有し、モーゼルワインの製造も行っています。モーゼル河流域のピースポート村の「ピースポーター」に代表される快い芳香と、酸味と甘味の調和した若々しく爽やかな味わいは、ドイツワインの中でも特に人気があります。
ヘシッシュ・ベルクシュトラーゼ(Hessische-Bergstrasse)
ライン河をはさんで、ラインヘッセンの東にあたる地域で、ドイツの葡萄栽培地域の中では最も小さい所のひとつです。フルーティでエレガントなリースリングワインの産地ですが、生産量は少なく、ほとんど地元で消費されています。
フランケン(Franken)
ラインの支流、マイン河の流域一帯がフランケン地域で、かつてはドイツ最大の葡萄栽培産地でしたが、現在では全ドイツの葡萄園面積の6%を占める程度です。フランケンのワインは活気あるフレッシュな酸味を持ったワインです。ドイツワインの中では、最も男性的なワインとして知られています。また、フランケンのワインの瓶は、普通のスラリとした形のものではなく、ボックスボイテル(山羊の皮袋型)の瓶に詰められています。葡萄品種はミュラー・トゥルガウ、シルバーナー、リースリングを主に栽培しています。
ヴュルテムベルク(Wurttemberg)
フランケンの南、ネッカー河流域に広がるワイン産地です。リースリング種、ムスカテラー種等から白ワインを、トロリンガー種、レンベルガー種等から赤ワインをつくっています。白葡萄、黒葡萄を混醸してつくるロゼ色したワインを、ドイツではロートリンクと称していますが、この地方のロートリンクでQ.b.A.に合格したものは、シラーヴァインと呼ばれています。
バーデン(Baden)
ライン河の最上流地域、スイスとの国境にあるボーデン湖畔から、北のハイデルベルクまでのライン河東岸の丘陵地帯に至る地域で、、大部分のワインは他の地域に比べて酸味が低く、総じて辛口で、アルコール分に富むのが特徴です。
ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)
ザーレ河、ウンストルート河沿いの約520ha程の小さな栽培地域ですが、葡萄栽培の歴史は古く8世紀の昔にまでさかのぼります。ミュラー・トゥルガウ、シルバーナー種を中心に柔らかな口当たりを特徴とする辛口のワインが生まれます。
ザクセン(Sachsen)
有名な陶器の町マイセンを抱えるザクセン地域は、エルベ河沿いに約360haの栽培面積をもち、ドイツでは最も東に位置します。ミュラー・トゥルガウ、ヴァイサー・ブルグンダー種を主体に、辛口で、爽やかな果実の酸味を持つワインが生まれます。