鍵 屋 (根岸・居酒屋)
場の雰囲気に酔いつつ、「粋」を学びたい
  
訪れたときの様子
「3軒ツアー」の2軒目は本日の本命。駅から大通りに出て歩道を渡るとその奥は住宅地。一本裏のはずだが、こんな静かなところに居酒屋なんてあるのだろうか?果たして真っ暗な中(写真右)歩いていくと、ほのかな明かりが。

入り口の洒落た明かりも雰囲気が良いが、中はもっと良い。記念館にあるような道具(木槌、甕など)、額、酒のポスターが、木と畳の昔ながらの家の壁一面に並ぶ。ちらりと見える奥の流しや冷蔵庫を見ると、およそ民家に上がりこんだ気分だ。(小上がりとカウンターも応接間ほどの広さしかない) 小上がりに4つ並ぶ卓も不ぞろい。

噂どおり、箸、お通しとともに猪口が人数分配られる。「ご注文を伺います」 凛とした女性が小上がりに正座し、まさに伺いを立てる。すでに焼鳥、ビールは済んでいるので「お酒をください」と言うと、「辛口、甘口、冷やがございます」 辛口(一合500円、燗)を2本お願いする。

つまみが並ぶ品書きがまた良い。かまぼこ板ほどの大きさしかない薄い木の板に墨書きが、木の卓の上にさりげなく置いてある。「たたみいわし」(610円)がくると、すでに軽く醤油が。運んできたご主人が「そのままでもよろしいですが、山椒をつけて召し上がってください」と皿に盛ってくれた。確かに山椒の風味がより味をひきたてる。
「冷奴」(490円)は木綿風でしょうがとともに。木の舟に入った山盛りのきざみねぎがきた。くぎ丸見えで継ぎ目が飛び出したりしている舟は手作りに違いない。
どんな品だろうと思い頼んだ「煮奴」(550円)は金属製の小さな鍋に入ってきた。玉ねぎ、鶏肉とともに甘辛いだしで煮てある。きざみねぎをかけて食べていると、見かねたのかご主人が席にやってきて「唐辛子を振ってみてください」と手渡す。確かに、辛味が味を引き立てる。

薬味の力を感じつつこれらをつまみに飲むと、普段は好きではない燗酒が実にうまい。もちろん熱過ぎない絶妙の温度とまろやかな口当たりは燗付けの妙だろうが、この雰囲気が自然と杯を重ねさせる。本などで見たときにはつまみや酒の銘柄が少ない店だと思っていたが、実際訪れてみるとこれで必要十分なのが納得できる。

炎が見える銅の燗付け器がむしろ新しく見える店内は、時間がゆっくり静かに流れているのだと思う。予定より長居したが、ここは居るだけで心地良い。
この日注文したもの 勝手なコメント
冷奴(490円)、煮奴(550円)、たたみいわし(610円)、各1
お酒(辛口、「菊正宗」?、500円)3、
お通し(煮豆、値段は取られていない)
3人で3300円(1時間半くらい滞在)
場の雰囲気に酔う店。「粋」を学びたい。
★★★★★
(5つ星が最高)
詳しい紹介
台東区根岸3-6
21時半には閉店。日祝休み。(2002年7月現在)

JR山手線 鶯谷駅 南口から徒歩4〜5分
鶯谷駅南口を出て左。階段を下りてすぐ大通り(言問通り)。横断歩道を渡ったら歩道を左へ。「第一勧業信組」を目印に右折。すぐの路地を左へ行くと右手。(店の先はすぐ行き止まり)

⇒「新精選 東京の居酒屋」 太田和彦  草思社
⇒「日本の居酒屋を行く 疾風篇」 太田和彦 新潮社
     「東京下町」の部分
  「ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇」(上記の文庫版) 新潮文庫
http://member.nifty.ne.jp/hamada/shop.htm
   (個人作成「居酒屋礼賛」2000年10月26日)
http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Tokyo/guide/0401/P002934.html(yahooグルメ) 

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