埼 玉 屋 (やきとん・東十条)
焼きものでは過去最高の店
    
訪れたときの様子
お姉さんに「野菜」(クレソンと大根のサラダ、400円)と生ホッピー(360円)を頼み、焼き方のお兄さんからの声を待つことしばし。(兄)「はい、いいよ。何から焼く?」 

「上シロとレバーを」 (兄)「塩で?」 「はい」。 
(兄)「レバーは軽めに焼く?」 きっとその方がうまいのだろうとお任せする。
程なく1本ずつ置かれた「レバー」、表面だけ霜が降ったように色が変わっているが中はまだ生だ。かじると肝の甘さが広がって、さっとひける。早くも「うめえ〜」の声が漏れる。
真っ白でふわふわした淡雪のような「上シロ」。口に含むと白子のようにどろっとした液に包まれ、身はふわふわ。果たしてこれが「シロ」なのだろうか? 「今までの人生で食べてきたモツはいったい何だったのか」と同行者が頭を抱えだした。

レバ焼きがあまりに良かったので、「レバ刺し」(500円)も頼む。これがなんと表面?がシャキシャキするのだ。それを破ると甘さ・うまさが出てくる。初めての体験に同行者も「なんじゃ、こりゃ〜」。変な表現になるが「活きがいい」のだろう。

(兄)「チレもいいよ。ニンニクバターでどう?」 えっ、ニンニクバター?と思ったが、この店にしてはしっかり目に焼かれた「チレ」にとろけるバターの塩っ気・ニンニクの香りが、えもいわれぬ。もうどうにでもしてくれという気持ちになる。

このあたりで大将が登場し焼き方が交代。
(大将)「上シロは食べたか? じゃシロをタレでいってみな」 タレ?珍しいなと思ったら、やはり「上シロ」とは差が出る。それでもいままで食べてきたシロよりやわらかく、噛むと旨みが広がり、タレも旨みがすっとひいて良いのだ。普通の店ならこれで十分売りになるのに。改めてこの店の実力を知る。
(大将)「ハツ、タンまだ食べてないの?」 「まだです」 
(少したって大将)「ハツ、このくらいでどうかな?」 普通見るよりもレア気味で焼いてあるがこのほうが噛んでいてうまさがよくわかる。「いいですねえ」というと、「タン」は少ししっかり目に焼かれてきた。

すでにお腹も気持ちも大満足のなか、(大将)「牛刺し食ってみな。ホッピーにも日本酒にも合うから」 もはや断る由は無い。まぐろの大とろを思わせるみごとなサシ。白いあぶらもいいが、赤身の部分もうまい。もう1杯おかわりする破目となった。

以上、ドキュメント「埼玉屋」(長くなるので一部略)でした。
素材の良さと焼きの腕、食べ方の工夫も怠らないよう客を見ながら勧めていく。こういう店を知ってしまうと、しばらく他で焼き物が食べられなくなってしまう。

p.s.
後日再び訪れた際に、「上シロ」「チレ」は後半のお楽しみに取っておこうという作戦に出ました。当然、大将は勧めてきますがそれを断って他のものを食べていたところ、そのうちあまりこちらに来てくれなくなりました。(注文ができなくなる)
まあ、それでも「牛刺し」を頼んだら少し厚めに切ってくれて、それが脂までうまくて、「脂身にこれほど旨みを感じたのは初めてだ」と誉めたら、大将が「他で出せるものを出してもしょうがないからね」と気概を誇示してくれました。
それにしても、再訪すると感動が薄れるものなのに、ここはまた感動的なうまさでした。こういう店に来てしまうと、他の店に行けなくなってしまう。
この日注文したもの
焼きものはすべて1串100円。
レバー、上シロ、アブラ(タレ)、カシラ、コブクロ、チレ(ニンニクバター)、タン、ハツ、シロ(タレ)、シャモ(サルサソース?)、ガツ、ナンコツ、(各2本ずつ、上シロのみ4本、特に書いていないものは塩)、計26本
野菜(生のクレソン・だいこんに和風のドレッシング、400円)2、レバ刺し(豚、500円)1、牛刺し(600円)1、
生ホッピー(360円)5、レモンハイ(生レモン使用・グラスのふちに塩、340円?)2、純米酒(「仁勇」、半合ほどのグラス、400円)2、
2人で8300円(1時間半くらい滞在)
勝手なコメント
二本足(鶏)なら北千住、四足は東十条。焼きものでは過去最高の店。
★★★★★(5つ星が最高)
詳しい紹介
北区東十条2-5
16時からの営業、22時まで(土曜は20時まで)
日祝定休コの字カウンターとテーブルで20数人入れそう。

JR京浜東北線 東十条駅 から徒歩2〜3分
JR埼京線
 十条駅 から徒歩10分ほど
@東十条駅からは、
上野寄りの出口(南口)を出て左。坂を下りていき2つ目の信号(「北区保健所前」)を右折。道の右側に「埼玉屋」。
A十条駅からは、北口(下り・赤羽方面のホーム側)に出て右。線路沿いに歩くと踏み切りがあるので渡ると、そのまま「ちゃちゃ丸」が目印の「演芸場通り」に入る。篠原演芸場の前を通り過ぎ、信号のある交差点をさらに直進すると東十条駅の上野寄りの出口に出る。以下同上。

焼き方のペースで注文をとることだけに注意。焼きが一段落した所で向こうから「何にする?」と客に聞いてくる。一度に焼ける分だけうける模様。飲み物や焼きもの以外(「ガツ」「コブクロ」「牛」などの刺し・煮込みなど)は焼き方以外の人にいつでも注文が通るのでそれで間を持たせる。
生のクレソン・大根を醤油ドレッシングであえた「野菜」(400円)は新鮮でうまい。「上シロ」などと特に合う。ほとんどの人が最初に頼んでいた。

焼き物は頼んだもの以外には「ギョク(うずら玉子)」「ネギマ」「ホルモン」があった。なお「ズイ」は品書きが貼ってはあるが例のBSEの関係で無いそうだ。(ということは牛だ)

「生ホッピー」(360円)を頼むと、霜のついた焼酎瓶が出てきた。凍らせたシャーベット状の焼酎にホッピーなり炭酸を注ぐのがここの流儀らしい。氷は一切入れない。

⇒「下町酒場巡礼」 大川渉・平岡海人・宮前栄  四谷ラウンド 又は ちくま文庫
http://member.nifty.ne.jp/hamada/shop.htm
(個人作成「居酒屋礼賛」2001年2月23日と2001年5月16日)
http://www.tamarizuke.co.jp/seikan/index.htm 
(個人作成「清閑PERSONAL」から「DIARY 過去の日記」に入る、2002年5月22日の中盤以降)
⇒ ほかかぶら屋のリンク先

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