急須


新茶が待ち遠しい季節です。茶葉はいろいろと買い揃えているけれど、急須もたくさん持っているという方は少ないのではないでしょうか。今回はお茶をおいしく飲むための道具、急須についてお話したいと思います。

急須の発祥は中国です。発酵したお茶を固めて保存したもの(固茶)を沸騰したお湯に削りながら淹れていたのが、お茶の製法が散茶(発酵した茶葉をよったままの状態にしておくこと。現在のお茶の殆どがこの製法)に変わってから急須が利用されるようになります。ステイタスとしてお茶を飲むことを楽しんでいた文人が、書き物をする時に使っていた水差しを利用したとか、お酒の燗を利用したとかという説があります。

現在は急須と呼ばれているものも実は持ち手の位置によって呼称が異なります。急須は注ぎ口から90度のところに持ち手があるもののことをいいます。土瓶は持ち手がアケビや竹でできており、上部に持ち手があるもののことをいいます。ポットは持ち手がマグカップやティーカップのように丸くなっているもののことをいいます。でも、急須イコールお茶を淹れる道具として認識されているので、このような使い分けはあまりされていないのが実情です。若い世代の人に土瓶のことを「土瓶」といっても殆ど通じません(ちなみに、土瓶のつるは水で濡らしてからだと取り付けやすいのです)。

おいしくお茶を淹れるには、そのお茶に適した急須を使うのが一番です。お茶の葉にはお湯の適温がありますが、中国茶を淹れるときに使う茶色い茶壷には、お茶をおいしく淹れるためのの理由がちゃんとあります。例えば、ウーロン茶。ウーロン茶は青茶といって、お湯の適温は90度から100度です。茶壷の産地中国の宜興というところで作られる茶壷は鉄分を多く含んでいる土を使っています。鉄分が多いことで熱が伝わりやすく、淹れたお湯を冷まさず、さらに上からお湯をかけることで、100度に近い高温を保ちながらお茶を淹れられるのです。おいしさをぎゅっとつめていただけるのです。日本へは、中国の宜興の職人が愛知県の常滑市に急須の技術を伝えたといわれています。

緑茶は日本の緑茶も中国の緑茶も60度から70度ぐらいで淹れるのが好ましいようです。急須には注ぎ口の根元に急須と同じ素材でメッシュになってお茶の葉がでないようになっているか、茶漉しが中に入ったものがあります。金製の茶漉しは金気を帯びてしまうので、使わないほうがおいしくいただけるような気がします。緑茶や紅茶は葉が急須の中で泳ぐほうがおいしく淹れられます。自由に泳げるような急須やポットを見つけましょう。

写真の急須は、私のお気に入りの緑茶・ジャスミン茶用の急須で、白磁の青窯というところで作られたもの。現在は蓋の形が変わっていますが、東京・銀座にあるアフタヌーンティー・ジェネラルストアで売られていました。茶葉がよく動くせいか、とてもおいしくお茶を淹れられます。初めてこの急須を使ったとき、「同じ茶葉でもこんなにもおいしさが変わるなんて!」と驚いたものです。

持ちやすく、美味しくお茶を淹れられる急須を見つけたときの喜び。「急須を買ったからうちに来ない?」「この前買った急須用にお茶を買って帰ろう!」なんてちょっぴり生活が楽しくなるかもしれませんよ。

アフタヌーンティー・ザ・ジェネラルストア銀座 >>

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