美緒の気まぐれエッセー

店主のいない店

小茶の全盛期の頃を思い出す。
裸電球1つの、2.25坪のお店は、一階、二階に人があふれて、階段にも1人ずつこしかけて、まるでむさくるしいひな段のようだった。それでも、まだおさまりきれなくて、何人もの人が外でコップ酒をあおっていた。
近所の店の姉さん方からは、
「小茶だけの道じゃないよ、ドケドケ!」
通路をふさいでいることを心苦しく思っていた矢先、はす向かいの店「道草」が閉店するとの話が舞いこみ、ゆずりうけた。

しかし、この店には店主がいない。
来る客が1人ずつ、代替えマスターになり、自分でついで、帰りにはコップや皿を洗い、おばちゃんに呑んだ分を自己申告する。おばちゃんは忙しい手を休めずに、
「しんちゃん500円、先生850円」
なんとのんびりした、いい時代だったのだろう。

その后、北海道の親類の子や、レズのピーターやらいろいろな人がアルバイトをしてくれますが、数年后に、私が手伝うようになります。

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