美緒の気まぐれエッセー

終電間際のおかしな人達

 母が元気なうちは、私はいつも終電で帰っていた。乗り遅れないように、新宿駅まで走った、走った。
 なんでいつもぎりぎり迄、お店やっているんだろう。帰りたいけど、お客もぎりぎりまで帰りたがらない。顔は笑顔、腹はハラハラ。
 ぎりぎりハラハラも、何度もくり返していると余裕になる。
 やがて、新宿駅の構内から私鉄に乗り継ぐ数分間に、同じ人に会う事に気付いた。
 私は瞬間に感じたインスピレーションで、あだ名をつけるのが好き。

その1 連獅子
 由来はといえば、歌舞伎や正月のお祝いの舞台で、ライオン丸みたいな金髪、銀髪の連獅子のこと。衣装は豪華絢爛。
 このれんちゃん(名前知らないもんで)、身長は1m75cm、頑丈で肩幅広し。
 夜のお仕事、ホストクラブのお兄さんらしい。
 れんちゃんはムラサキ色や黄色やえんじ色のスーツを着て、それはハデでした。12月などはその上にロングコート。それも全部、ふさふさの動物の毛皮のいでたちで。
 時々仕事仲間5人組が、地下の通路を横並びに一列で歩いてくる。
 それはそれは圧巻。
 昔テレビで、『Gメン75』というドラマがあった。始まる時と終わる時に、一列になるシーンを思い出したナー。テーマ曲まで、出てきちゃった。

 でも私には、1つ心配事がありました。
 穀物でもいっぱい食べたんでしょうか、れんちゃんは顎が丈夫そうで、田舎っぽいんです。「東京へ行って、ウンと稼いで、仕送りをしてやるからな」と、故郷を去った青年のよう。
 何か、モテナサソウ? って思ってた。
 ところがある時、彼女が出来たじゃない!
 その人はサザエさんそっくり。
 駅で、別れを惜しむかのように、寄り添っている二人を見て、うれしくて、おかしかった。マンガチックで、お似合いだった。

 私のいらぬお節介でした。
 今頃あの二人、どうしているかな。田舎に帰って、まっかなほっぺの子供がいたりして。
 それとも、別々の生き方を・・・

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