小茶の愛すべき男たち(2)
某出版社のNチャン
Nチャンが編集長だった頃、よく深夜に来てくれましたね。重そうなショルダーバッグを肩から落としそうにしながら、前のめりに小茶になだれ込んでくる。
「ママさん、ビール」
そして二口程飲んだあと、吸い込まれるようにカウンターに沈んでゆく。深い眠りが始まる。
男って大変なんだね、と思ったものだ。
時々、ギシギシと歯ぎしりする事があった。そんな時、私は父を思い出す。隣に寝ている父がギリギリ歯ぎしりして、眠れなかった。嫌だった。
でも年取ったせいか、そんなNチャンをかわいいとさえ思う。
深夜2時、お客さんもそろそろって時に、Nチャンも仮眠ですっきりしたせいか、残りのビールを手にしていた。
タクシー券を持っているとゆうので、私は送ってもらう事にした。
明治通りでタクシーに乗った。発車したと同時、反対車線の大型トラックの運転手の怒鳴り声。
「(車体の)下に人がいる!!」
キーッ。タクシーは直ぐ止まった。
タクシーの運転手は動揺している。無線で会社に電話して、私達に、
「すみませんが降りて下さい」
と言った。
眠気とお酒で私はボォーッとしていたが、ふと当たり屋じゃないかと思った。
Nチャンは運転手に、
「貴方が悪いとは思えない。僕が警察の人に説明する」
と、人だかりの中、話を始めた。
12月の寒い晩、じっと立っていると芯まで冷えてきた。事情聴取の長い事。私はその隣のラーメン屋に入って、麺をすすりながら成り行きを見守った。
冷たい人だと、あとで怒られた。
けれど、Nちゃんは正義の人。なかなか出来ない事です。尊敬します。
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