美緒の気まぐれエッセー

短歌遊び

俵万智の"サラダ記念日"を読んだ時、私はうれしくなった。普通の女の子の心模様を見るようで、何か私にも書ける気がした。
昔の小茶でこんな遊びをした。七五調で話す。「いらっしゃい、何にしますか おにいさん」のような−。お客が3人の時は 5.7.5 、5人の 5.7.5.7.7 。それぞれに紙を渡し、他人が何を書いているのかわからないまま1節書かせて集め、私が詠む。時々思わぬいい歌が出来て、大いに盛り上がった。
私は1人でも作った。外へ出て、公園や町を考え考え歩いた。目に写るものがとても新鮮に見えた。お店から帰り、灰皿を見ればまた短歌作り。けれど出来上がってみると駄作ばかり。夫には知性もないし、感性だけだなと言われた事があった。
 残された、たった一つの感性も
  うごかぬ指先、我をも憎む
ふーむ。なかなかいい、快心の作だと私は思った。
小茶のインテリ男(仕事は肉体労働)に見せた。「見て見て。どーを?」
インテリ男「美緒さん、これはね、電報文。"オカアサン、カネガナイカラ、カネオクレ"ですよ」
下手な短歌だとズバリ指摘されて恥ずかしかったけど、彼の説明のあまりの的確さに、私は感動した。そしてすっぱり私の短歌ゲームは終わった。

あれから20年。先日5才の子のかるたにつきあった時、「の」の字の番が来た。あ、又思い出している。
「残されたー、たった一つの感性もー、動かぬ指先 我をも憎むー」
私は大きな声で歌った。周りの家族たちはユニークな私に慣れっこなので、またかとゆうような顔をしながら、楽しそうにケラケラ笑っていた。

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