クラリネット♪

    

     私とクラリネットとの出会いは、中学一年の頃である。

     最初は、なぜかサックスを進められたが、小学校の時から憧れていた黒い楽器・・・クラリネットを吹きたくて、   

     この楽器を選んだ。クラリネットの魅力は、シンプルかつ暖かい音。聴く人の心を和ませてくれる。

     実際、私はまだその領域には達成していないが、いつか、人の心を和ませ、暖かく心に響くような音が出せれば、

     と思っている。

 

       もう、クラリネットに出会って10年近くたつが、中学の頃は、先生の言われるままに、憧れの先輩の音を目指し

     てただ闇雲に吹いていた気がする。ロングトーンをする意味も知らず、ただただ音を出していた。ただ、先輩のような

     音を出したかった。高校に入学し、また吹奏楽部に入った。そこは、県下でも吹奏楽が盛んな高校で、練習は想像

     以上に厳しかった。毎日がベランダでのロングトーン。今日も、明日も。あさっても。コンクール前になると、ダンボー

     ルで部屋を囲み、窓をふさいだ中での合奏。冷房などついているはずがない。冬は寒くて、手がしもやけだらけに

     なった。その高校で要求されたこと、それは、いかに隣の先輩と同じ音を出すか、同じ吹き方をするか、だった。

     それは、私のパートがクラリネットだったからかもしれない。くらりねっとは人数が多いため、同じパートを2〜3人で

     演奏することになる。必然的に音を合わせる作業が必要となってくる。よく言えば、ピッチのそろった、濁りのない

     綺麗な演奏。悪く言えば、個性も何もない、ただ同じ音の集まり。ただ、耳は鍛えられた。隣の人と音を合わせるた

     めには隣の人の音を聴く耳が必要となる。それはとなりだけにとどまらない。後ろのトランペットの音、前のフルート

     の音、リズムを刻むパーカッションの音…。不思議なことに、他の音を聴いているとその音に自分が乗っかって吹い

     ているような気持ちになる。お互いがそんな気持ちになったら、ふたつの音も一つになる。それが全体の一体感に

     つながる。そして、技術を追い求め続ける。と、そんなことを学んだ高校時代だった。

      

       そんな私も、大学生になり、生まれて初めて自分の家を離れ、遠い所へ進学した。そこで待っていたのは、自由

     だった。大学の吹奏楽部には入らないつもりでいた。自分の中には、演奏レベルの高い、高度な技術をもつ、そんな

     団体でなければだめだ、というちょっとうぬぼれた気持ちがあった。しかし、あるひととの出会いが、私を大学の吹奏

     楽部へと導いた。気づけば、もう入っていた。最初は、そのレベルの低さにうんざりきた。そのうちクラブ内で友達もで

     き、だんだん楽しくなっていったが、自分の中のどこかで、何か納得できない部分があった。どうしてコンクールに出な

     いんだろう、どうしてトランペットはこんなに鳴らないんだろう。どうしてお互いがバラバラに吹いてるんだろう…。 

     その大学では、12月に定期演奏会をするのだが、一年の演奏会終了後に一つ気づいたことがあった。

     ”楽譜には、むこうがある。音符のむこうには、なにかがある。それは綺麗な花や景色だったり、淀んだ雲だったり、

     もしくは二人の永遠の愛だったりするということ。”

     そのことに気づいた瞬間、音楽が無限に広がった。今思えば、それにづいたことが音楽の世界にのめりこんでいく

     きっかけだったように思う。

 

                   

                           二代目MYクラリネット♪「くらりちゃん」

                        

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