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お水のあぜ道
二代目ママ奮闘記

     第1章
 あれは、麻味子が短大入学も決まって、高校生活を楽しんでいるだろうと思いながら、私は短大の入学金を一生懸命働きながら準備していた頃です。
「お母さん、相談事があ〜に〜、聞いてごす。」な〜んて神妙な顔で私に話しかけてくるのです。「何?」と言って、玄関を見ると、麻味子のとなりに、今すぐにでも女子プロレスラーにでもしたい用な体のガッチリした女の子が立っているではありませんか。「その女子プロレスラーは誰?」と、もともと口の悪い私は大きな声で、麻味子に向かって笑いながら聞きました。

 麻味子の話では、彼女の名前は「相馬みず子」倉吉の短大に行って保母になりたいのだが、みず子の家は、両親が無く、兄・姉、3人兄弟で生活をしていて、とても大学に行く費用は出せないという状況だというのです。でも、みず子はどうしても保母さんになりたいという話でした。
 そこで麻味子が、「お母さんの店で、みず子をバイトさせてもらえんだ〜か?こいつ、え〜根性しとうけん、絶対、2年間がんばーと思うに」と真剣な顔で言うのです。
 その頃、私は境港で「スナック了」というスナックを経営していました。そのスナック了は、客席が60席位有り、クラブの用な作りのお店でスナックをやっていました。安い料金で、お客様にご来店して頂き、1回より2回、2回より3回・4回と来て頂いて、そしてお客様が「常連さん」となっていき、その「常連さん」というお客様を数多く持ち、境港という土地柄も有り、長靴をはいたお兄ちゃんも、大会社の社長さんも、スナック了で飲むビールの値段は、みんな同じだ、お店に来て頂いたお客様は、18歳の青年から70歳過ぎのお父さん達も、みんな私の子供達、楽しく、そして、あたたかく、優しく迎えてあげましょう。そういうお店でした。
 さて、話をもとに戻しましょう。
 私は、この女子プロレスラーみず子を、麻味子に条件付で引き受ける事にしました。麻味子にだした条件とは「麻味ちゃん、あんたそれでも、みずちゃんの友達か?みず子1人私にあずけて、あんたそれでいいのか?あんたみず子のことをガンバリ屋さんって言うのなら、自分で自分の言った事に責任を持ちなさい。人の大事な2年間を私に頼むのなら、あんたが自分の目できちんと、それを確かめなさい。それが、身元保証人という事じゃないか。」と言いました。そしたら麻味子は「どげせばえ〜だ」と、ちょっと困った顔をしていました。でも、私には何となく麻味子の答えがわかったのです。なんといっても、麻味子との付き合いは私が一番長いですから。だって、お腹の中からの付き合いですからね。
 私は麻味子に「自分で考えなさい」と言って、時計を見ながら店に出勤する仕度に取りかかり、きものを着て、家を出ようとした時です。
「お母さん、私も、みずちゃんと一緒にバイトする。ただし土曜日と春・夏・冬の休みの時だけ岡山から帰ってきてバイトするわ。それでいいんでしょ。」
 こうして麻味子は、一番嫌いだった水商売の世界に足を踏み入れ、麻味子の「お水のあぜ道」がスタートしたのです。

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