合同就職説明会にて。


今思い出してもむかつく。



大学4年の春、就職活動なる事を普通どおりにしていた。リクルートスーツに身を包み、会社訪問とかしていたのである。

とはいえ、それまで企業のことを真剣に調べていなかったのでとりあえずテクノホールと言う会場で開かれた『合同就職説明会』に参加することにした。体育館ほどの広いイベントホールに、各企業の人事の方がずらっと並んでパンフレットをくれたり、、簡単な質問に答えて下さったりするのである。

その当時はやりたいことが決まっていたので、4社くらいを回って目的終了。でも、人気の企業なんかも参考までに見てみようか・・・と思った。結構人が並んでいる。これは時間がかかりそうだ。その前にお手洗いに行っておこう。

女子お手洗いは込んでいた。人が多くて・・・ではない。2つある個室のひとつがずっと使用中らしく、1つしかローテーションしていないせいだった。

ときたま誰かが開かずのトイレをノックしていた。反応はなし。きっと故障中なのであろう。

でも、なんか人の気配もするような気がする。下から覗けばいるかどうか解るが、スーツ着てそんなことをする気にもなれない。って言うか、そんなことどうでもいいや・・・というムードになっていた。

さて。10分ぐらい待って、私の番がきた。

個室に入った私は生理だったため、パンツを下ろす前にポケットに入っている生理用ナプキンを出そうとした。

ナプキンを出して、さぁ、しゃがもう・・・としたときだった。となりとの個室のパーティションの下から、何かが見えたような気がした。

嫌な予感がしたので、パンツは下げずにしゃがんで様子を見た。

げぇ!!何と鏡がこっちに差し出されている!!!

エチケットブラシ(スーツの埃を取る二つ折りのブラシ)の裏の鏡がこっちの個室に向かって差し出されていた。

パニックになった頭で考えた。これは女子ではあるまい。これは普通のことではあるまい。

どう考えても痴漢だ!!

私は用も足さずに個室から飛び出した。周りの皆は変な目で私を見た。次の子が個室に入ろうとするのを私は必死で止めた。知り合いでもない女からいきなり腕を掴まれた子は明らかにむっとしていた。

「(小声で)・・・ちかん、痴漢が隣にいるよ・・・」

一斉に色めき立つ女子トイレ。しかし、行動力のあるものはいない。

そうこうしている間に、痴漢行為がばれたと気づいたらしく、開かずの個室に動きが見られた。

カチャカチャカチャ。ベルトを締める音である。女子がベルトをしているわけがない。全員スカートなのだから。

痴漢がいる!マジで理解した女子の皆さんはパニック状態になった。「イヤ〜〜!!」

捕まえねばなるまい。私はホールの係員を呼ぶために走ってトイレから飛び出した。一番近くにいた成人男性の腕をひっぱり、掻い摘んで事情を話し、トイレに向かう。トイレからは大きな叫び声が聞こえた。あと10メートル・・・というところで私が見たもの。

女子トイレから猛ダッシュで出てくるリクルートスーツ姿の男の姿。

彼は走って、非常口(開いていた)から逃げていった。追いかけるが、逃げ足の速いこと速いこと。みるみる離され、逃げ切られてしまった。

とりあえず私はトイレに戻った。もう、痴漢はいないのだ。ゆっくり用をたそう。すっきりとした私が個室から出ると、私の前に個室に入っていた女子がシクシク泣いていた。見られたショックで泣いているのであろう。そうそう。あなたの放尿シーンで痴漢はオナニーしていたに違いないのである。そりゃ、間違いない。かわいそうに。でも、何で気が付かないんだよ?

ザワザワ騒ぐ会場を後に、私は帰った。見られたのは私じゃないのである。そう考えると気が楽になった。



それからというもの、トイレに入るときはとなりの個室に注意を払い、隠しカメラが仕込まれていないか調べ、上から人が覗いているんじゃないかとびくびくするようになった。被害妄想気味かもしれない。しかし。用心することに越したことはないのである。


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