上海生活百物語
| そのいち 歯医者 先月と今月、風邪と歯痛を患ってしまった。風邪の原因は「零下六度の日に暖房が壊れていた」という超高級宿舎(一般の数倍の値段で、数分の一の広さ)にあるまじき行為で、大変困った。一日中寝ていたのだが、お粥も何もなく、通常ならどんな風邪でも二日で治せると豪語しているのだが一週間もかかってしまった。病院は余り多くはなく、区営のものが多い。いつでもどこでも大混雑だ。外国語が通じるような病院だと値段が日本並に跳ね上がってしまう。逆に薬屋は多く、中国人の国民性からか薬への関心は高いので品揃えも多い。漢方は一般でもいまだになじみ深いもののようだ。友人が風邪を引いたときに上海の知人に風邪薬をもらったが、よく効いた(なぜか私には効かなかった)。 歯が痛くなったときは本当に困った。上海では路上でペンチを持った男がさも自慢げに自分が抜いた歯を並べて商売していると聞いたが、実に笑えない話である。歯に関しては中途半端な治療が致命傷となるだけに(実際今回の歯痛も日本での医療ミスが原因であった)、迷いに迷った。人によってはわざわざ日本に帰る人もいるらしい。確かに日本や諸外国と合弁し、最新の医療技術を有している病院もあるにはあるが、下手をすれば上海人の半年分の収入が飛んでしまいそうな額である。結局上海の知人に一般の中国人が行く区の医者を紹介してもらった。恐る恐る行き、いちおう「抜かないでくれ」ということだけ翻訳してもらったのだが、設備がシンプル(すぎる)割には手際も良く、簡単に治ってしまった。安かったのだが、意外と医療技術の底上げが進んでいるのだなと感心した。 |