旅そば
雙柿庵(そうしあん)     
マウスを夏と冬
 久々にあたりました。文句なしの☆5つです。前回のこの感激はいつのことだったろう、20回に一回ぐらいの確率であることは、理屈ではわかっているが、それにしてもうれしい。東京レストランでマークしてあったので、機会があったらと、住所のメモだけは、してあった。

 日曜のジムは最低でも3時間ぐらいやっているが、このごろの暑さでバテばて、2本目の途中で早退(?)を決め込み、11時にジムを出て、思いつくままに立川から電車に乗って、武蔵五日市を目指す。拝島からは単線で、そんなに田舎ではないが、たまに畑や果樹園の景色が続く。12時ごろ到着。
 タクシーでワンメーターでいり口の坂へ。我が家もそんなに都会ではないので、皆さんは田舎と思うかもしれないが、私にとってはごく普通の家並みが続く。3〜4軒先に、道沿いに現れたすだれのかかって開けはなれた家が。。。
これだ。庭先ののいり口は、きれいに手入れされてるとはいえないがなかなか渋さが際立つ、洗練された手の入った松や柿、裏の雑木林を眺めて玄関へ。焦がした門扉がにくい。私の趣味。。。いいねー入り口で参ってしまった。
 こんにちはと「予約してないのですが、」「どうぞ、お好きなところに」なかなかすがすがしい様子のいいきりっと締まった、亭主である。すだれ越しに、開けはなれた庭の眺められる、席へ。厚手の木で背の低いのテーブルの上におしながきがある。「酒肴1000円、ざるそば1000円、おまかせ3000円 予約」とこれだけ。うれしいね。。もう一枚お酒の品書きが「田酒純米800円、田酒山廃800円、おすすめ?800から」これは私の好きな本物を、さり気なく、センスよく、そして渋くを予感させるに十分である。

 しばらくして亭主が、お茶を運んできたので「ビールあります?」もちろんないことわかっていたが聞いてみた「申し訳ありません、こちらだけなんです。」と嫌がらずに答えてくれた。「お勧めのお酒は?」「岩手の。。。」(わすれてしまった)「それと、肴と、ざるを。」しばらくしてお酒が運ばれてきた。これが、漆塗りの方口。チョコは金の縁取りの透明なグラス。そこへ口切れのいい方口で、そそぐ。酒は端麗、かといってふくよかな広がりのある、この夏の暑さの中で最高のバランス。以前こいけで味わった感激以来かな。2杯目は、田酒へと決めていたが、2杯目も同じものを。
最初に運ばれてきたものは、。。。ムム。緑から徐々に透明に固められた、見た目に涼しげな葛よせ。
これだけで、思わず顔がほころぶのがわかる。しばらく外を眺めながら「すだれ越しに モンシロチョウを愛でて うまし酒」などと詩にならぬ詩を読みながら、うちわの風を楽しみつつ杯をかたむける。

 つぎにはこばれてきたのが、しゃれてる。。。。。真四角のくろ漆の盆の上に、品よく5種盛り込まれている。真ん中にそば味噌。小さいしゃもじに盛られた、白味噌と、香ばしいそばのみの、相性がいい。左上にあぶり鴨、燻製のようにあぶられた鴨に、ねぎ,茗荷をあしらったもの。無庵仕込みの代表料理である。私はソースを絡めたものが好みだが、シンプルでこれもいい。左下には、わさびの茎の醤油漬けとわさび漬け、酒かすとのバランスがちょうどいい。右上には青豆、そして椎茸煮、ちょいと彩りに桑の実(?)、お酒が自然に進むでしょう。
 あくまでも、手をかけている事を、表に出さないシンプルさがいい。余計なものをそぎ取ったところに、やすらぎさえ感じる。


 塗り壁の上品な、黄ばみに、昭和初期を髣髴とさせる電球のかさ、すだれに風鈴、せわしいせみの声、申し分ないでしょう。
「もう半分だけお酒いただけますか」「かしこまりました。」白くごつごつした陶器に方口で、半分がちょうど収まる大きさは、亭主のお酒のこだわりを感じる。「お嫌いですか?」とらっきょの醤油漬けもそえられる。うれしいね。。。

 声かけでおそばがはこばれてきた。ざるに盛られたそばは、透明感のある、茶の粒粒の見える、そう私の一番好きなタイプのそば。亭主の腕かこの時期にこれだけの香りを出すとは。(深山亭の親父はもう休んでるぞ)

最後に蕎麦湯、これも陶器の方口に盛られ、トロッとしたタイプ。ふくらみがあってうまいねー。

 亭主にお礼を言って、外へ出ると、自然に顔がほころぶのである。

☆ 当日、広い部屋に私を含めて2組しか入れず、後から3〜4組見えてましたが、すべて断っていらっしゃいました、私にとってはラッキーですが、いかれるときは、ぜひ予約されたほうが無難かとおもいます。
住所 東京都西多摩郡日の出町大久保1487
TEL 042−597−3802
営業時間 11:30〜売り切れ仕舞
定休 水・木