|
アジはイワシやサバと並んで、大衆魚として親しまれてきた青背の魚である。一番馴染み深いマアジ、マアジによく似たマルアジ、高級魚のシマアジ、クサヤに加工するムロアジ、外国産のニュージーランドマアジ、ニシマアジなどがある。年中とれるが漁獲は秋に多く、うま味が増すのは夏のもの。必ず体側にあるトゲのようなゼンゴをそぎとって用いる。生でたたき、さしみ、酢でしめて酢の物、押し寿司に。その他、塩焼き、煮付け、唐揚げ、フライ、南蛮漬けに。開き干し、丸干し、みりん干しなども味がよい。
大分の佐賀関と愛媛の佐田岬をむすぶ豊予海峡・別名「速吸の瀬戸」は、太平洋と瀬戸内海の戸口にあたる海の急流。春に生まれた体調6〜9cmのマアジの来遊群が餌の豊富な海峡周辺の瀬に居付き、やがて15cm〜35cmに成長。体色も特有の金色味を帯びてくる。身の引き締まった姿、美味、一本釣りによる鮮度は格別で、ブランド「関アジ」として市場で重宝されている。
イワシと称されるが、だいたいマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種に区別される。イワシには、血液の流れをよくして脳血栓を防いだり、血中コレステロールの増加抑制などの働きがあるIPAやDHAが多く含まれている。料理用はマイワシ(入梅イワシと言われる初夏に入った6月頃のイワシと冬に入る前の11月頃に脂がのる)が主で、秋に脂がのる。カタクチイワシ(イワシ類ならこれに限ると言うほどにマイワシより美味、但し鮮度落ちが著しく早い)はシラス干し、チリメンジャコ、タタミイワシの煮干しなどへの加工用が多い。ウルメイワシ(8月から10月に日本沿海でとれる小形のウルメイワシは隠れたグルメ品)は丸干しにすることが多い。イワシは字のように、弱い魚でいたみやすい。目の澄んだもの、腹のいたんでないものを選ぶ。新鮮なものは、さしみにして、しょうがじょうゆで食べる。身がやわらかいので、頭をとって腹を手で開き、中骨と尾、内臓を除いてよく水で洗う。料理法は塩焼き、てんぷら、フライ、しょうが煮に。また、身をたたき、しょうが汁を臭い消しに加え、すり混ぜてつみいれをつくり、汁物、おでん、揚げ物、焼き物に使う。
シラスはマイワシ類の稚魚が主であり、その他の魚も含めて、これら全てをシラス(白子)と言っている。塩湯でしてから軽く干して出荷される。関西ではチリメンとも呼ばれる。かちり干しはシラス干しをよく乾燥させたもので噛めないほどではないが、硬いのが特徴。日持ち、味もシラス干しの系統では最もよい。3月下旬から4月中旬にかけて、静岡県狩野川河口に近い沼津港の近くではシラスにアユの稚魚が入る。アユの稚魚が入るとスイカの香りがして、寿司などの生食にするとその香りにアユのはらわたの苦味が加味され、貴重な珍味であり美味である。5月下旬から6月にかけては、アナゴやウツボの稚魚がシラスの中に入ってくる。透明で平たく細長く帯状のものでウナギの稚魚と同じくレプトセファルスと呼ばれる。これらの稚魚は東京では“ノレソレ”と呼ばれ、ワサビ醤油で食べるか、卵とじの具にして食べる。
「目には青葉山ほととぎす初がつお」(山口素堂)の句がよく知られているが、これは江戸っ子好みのカツオの旬で、地方によって、時期と味が異なる。九州、四国では春先の脂肪分が少ないものが、関東以北では、脂のややのった初夏以降が好まれる。このように旬が異なるのは、カツオが日本の太平洋を春から夏に向けて北上し、各地でとれる時期と脂ののり方が異なるためである。背の青い魚の中では、大変脂肪が少ない魚で、加熱すると身がかたくしまる。カツオ節に加工すると、うま味成分のイノシン酸が多くできるので、ダシに用いられる。タンパク質は、魚の中でも多い方である。たたきのほかに、さしみ、照り焼き、各煮などにする。カツオ節をつくる最初の段階でゆでたものがナマリ節で、フキ、タケノコなどとうす味に煮たり、ステーキのように焼いて食べる。
カツオ節に向くのは脂肪分の少ないものである。脂肪分の多いものを使うと酸化しやすく、香りや味が少ない。一方、エサをたっぷり食べて脂肪ののったカツオはトロガツオとも呼ばれる。
イワシの仲間で、体側に銀青色のたて帯がある美しい小魚。冬に脂肪がのり、味がよくなる。鹿児島が名産地。新鮮なものは、手で開いて頭と骨を除き、軽く塩水で洗ってさしみや寿司種、酢の物に。酢じょうゆや酢みその味とよくあう。その他、煮付け、塩焼き、てんぷら、酢漬けにする。
ニシンの仲間。体長10cmくらいの1年魚のことを東京でコハダと呼び、成魚のコノシロよりよく利用されている。腹は銀色で背は青く、黒点が筋状に並んでいる。小骨が多いので細かく切るか、身に細かく切り目を入れて用いる。白身で肉質がしまっていてうま味がある。
産卵期に、生まれた川に戻るものを通常サケと呼ぶ。一方、一生川や湖で過ごす陸封型もある。サケには多くの種類があり、代表的なものにシロザケ、ベニザケ、ギンザケ、カラフトマス、マスノスケの5種がある。日本の河川に帰ってくるのはシロザケ、カラフトマス、サクラマスである。サケが生まれた川に戻るしくみについては、稚魚の時代に過ごした川の臭いを記憶しているためと考えられている。栄養素ではビタミンDがとくに多く、DHAも多い方である。サケ類の肉色はサーモンピンクといわれる紅色だが、エサのオキアミや小エビ類の色による。とくに味のよいのがベニザケやマスノスケ。雌より雄の方が美味である。生ザケはステーキ、ムニエル、フライなどに、生肉はルイベ、サケ寿司にする。ルイベは、アイヌ語で「凍った食べ物」という意味。凍ったまま薄くそぎ切りにしたサケを、わさびじょうゆで食べる。北海道や東北には、サケの内臓、頭、卵などを無駄なく使いこなす郷土料理が数多くみられる。加工品に、塩ザケ、スモークサーモン、缶詰などがある。塩分の比較的少ないのが新巻き。卵の塩蔵品はスジコ、それを粒状にしたのがイクラである。有名な鮭児(ケイジ)は卵巣、精巣が未成熟。つまり筋子も白子もはいってない。魚体いっぱいに非常に脂がのっており、全身トロ状態で、高級寿司ネタに使われる。1万本に1〜2匹の割合しか獲れず相場が高騰。ケイジは小さめであるがおいしい。小型なため肉質はなめらかである。 だいたい秋鮭は3kg以上あり、6kgも珍しくはないが、ケイジの場合2kg台が中心。1kg台もあるが4kg以上はまれである。また、夏の鮭である時不知鮭(トキシラズ)は秋に獲れる鮭とまったくおなじ種類。産卵期でないため筋子や白子がなく、そのぶん脂ののりに優れているから特に珍重される。トキシラズは遠くロシア200海里内などの北洋船団のものが有名で、船内で塩蔵処理した「沖トキ」、陸上へ持ってきて塩蔵する「丘トキ」がある。大きさは2.5kgくらいと小ぶり。獲れる時期が秋以外の鮭だ、という意味で「時知らず」と呼ばれる。
サバは内臓に含まれる酵素の力が強い。新しいサバであっても、アミノ酸の一種ヒスチジンが酵素でヒスタミンに変わり、これにアレルギー反応を起こしてじんま疹が出たり、腹痛を起こす人がいる。そこで、「サバの生き腐れ」ともいわれる。目の澄んだものを求め、なるべく早く内臓を除いて冷蔵する。背の青い魚の中でも、とくにIPA(EPA)、DHA、ビタミンB2、Dが多い。マサバが主流で、秋に脂がのって味がよくなる。腹に斑紋のあるゴマサバは、1年中あまり味が変わらない。そこで、マサバの味が落ちる夏には、ゴマサバのほうが味がよいといわれる。塩焼き、みそ煮、南蛮漬け、しめさばなどにする。各地に名物のサバ寿司がある。ショウガを用いると臭い消しに効果がある。近年ノルウェーやデンマークなどの太平洋サバが出回っている。日本近海のものより脂肪が1.5倍ほど多く、焼き物にはよいが、しめさばサバ寿司では、脂肪が多すぎて身がしまりにくい。目印はトラのような縞模様である。
関サバは、大分県産のブランド魚。関サバの「関」というのは、大分県東部の突端にある佐賀関町のことで、この近くの豊後水道の海流にもまれたサバのことをという。豊後水道は豊予海峡の中央、高島。ここから佐田岬までの”ホゴ瀬”で釣れたものしか「関もの」と認めない人もいる。関アジと同様、成長に伴って定着性を帯び瀬付きとなった関サバは一本釣りされ活魚として出荷される。刺身で食す新鮮さと、急流に育まれ引き締まった味の良さは珍重品。ブランド「関サバ」として市場で重宝されている。
旬(とき)サバは、長崎県産のブランド魚。五島から対馬海域で大中型巻き網漁業で10月から2月に獲れる寒サバで、400g以上のもの。一年でこの時期しか食べられない。脂が程良くのっていながら身が締まり、刺身が絶品なのはもちろん、焼く、煮る、揚げる、どんな調理法でもたまらなく美味。
漢字は春によくとれる魚という意味がある。サバの仲間で、瀬戸内海沿岸では5から6月によくとれ、関西ではこのときのサワラを喜ぶが、伊豆では秋によくとれるので秋ザワラという。関東では、とくに脂ののった冬のものを寒ザワラと呼んで人気がある。背の青い魚であるが、肉質が白く、脂肪が比較的多いにもかかわらず、淡泊なうま味があり、用途が広い。照り焼き、塩焼きが代表的な調理法で、その他、酢じめして生寿司や寿司種にする。また、酒蒸し、魚すき、ムニエル、フライ、みそ漬けなどにもよい。
サワラは、一般にはサワラとか本鰆(ホンザワラ)と呼ばれ、出世魚として、めでたい時の料理には必ず添えられる魚。体長の大きさで呼び名が変わり、60センチ以下のものをサゴシ、60〜80センチのものをヤナギ、80センチ以上のものをサワラと呼ぶ。歯がカミソリのように鋭く、最大で 体長1m20cmくらいにまで成長する。
秋の味覚の代表で、漢字の由来は体が刀の形に似ているため。8月中旬に北海道沖合から寒流の親潮にのって南下を始める。漁場はサンマの移動によって変わり、北海道のあと、9月中旬に三陸沖、10月に銚子沖、10月下旬から11月に和歌山の沖合へと移動する。脂の量が季節によって大きく変動し、一番脂ののる10月頃の銚子沖のものは、8月の北海道のものの倍近くになる。和歌山へくる頃は産卵後で、脂肪がたいへん少なく、逆にそれを利用したサンマ寿司が名物である。最近は脂ののったものを冷凍保存するので、年中旬のものが入手できる。IPA(EPA)、DHAのほかに、ビタミンDが豊富である。血中のコレステロール値を下げる働きもある。新しいものは内臓も食べられる。鮮度が落ちやすいので、色がきれいで背がさえた青色をし、皮がむけていないものを選ぶ。細身よりも胴の太いものが脂がのっている。新鮮なものはさしみになるし、内臓をとらず塩もせずに焼き、レモン汁をかけて食べるとサンマそのものの風味が味わえる。
スズキやボラと同じく成長とともに呼び名が変わるので、出世魚とされ、祝い事に用いる。関西では、正月に塩ブリがなくてはならないもの。養殖が盛んで、1年〜2年魚はハマチという(関東では3年魚の成魚もハマチと呼ぶ)。富山湾は天然ブリで有名。とくに冬のものは寒ブリと呼ばれ、脂がよくのり、価値が高い。ハマチはさしみ、寿司種が中心で、照り焼き、塩焼き、あら煮にもする。海鮮料理のハマチのさしみは、生野菜と盛りつけ、ドレッシングとピーナッツで食べる。ブリは脂肪が多いので、さしみよりも塩焼き、照り焼きに適し、ダイコンとのあら煮、バター焼き、粕汁などにもする。切り身の選び方は、身に弾力があり、切り口がなめらかで肉色の明るいものがよい。腹身と背身に切り分けたものが多いが、背身は脂肪が少なく、腹身は脂肪が多く身がなめらかである。ハマチ、ブリどちらもIPA(EPA)、DHAが多く含まれている。造血作用をもつビタミンB12も豊富。貧血防止にもよい。
ちなみにハマチの幼魚をツバスと言い、大きさに関しては、各地さまざまであるが、50cm以下がツバス、50cm〜70cmまでがハマチ、70cm〜90cmがメジロ、そして90cmオーバーがブリなどが目安。
富山湾で獲れるブリは、古来「越中ブリ」と呼ばれ、今も最高級ブリの代名詞となっている。その中でも特に氷見の寒ブリといえば、東京の築地市場でも高値で取引されるブランド品。かつて、富山湾で獲れたブリは塩ブリに加工され、山道を越え、糸魚川や飛騨高山を経由し、遠く信州の山里にまで運ばれていた。この輸送路は「ブリ街道」と呼ばれている。
背の青い魚が健康によいという根拠の1つがIPA(EPA)とDHAで、血中のコレステロールの低下や血栓を防ぐ効果が知られている。DHAは、脳の働きを向上させることでも注目されている。また、DHAはアレルギー性の皮膚炎を沈静させる働きもある。マグロの場合、本マグロの脂身(トロ)に両者がたいへん多く、とくにDHAは背の青い魚の中でもピカイチの含有量である。同じ脂身でもミナミマグロ(インドマグロ)になると、EPA、DHAとも本マグロの半分弱に下がるが、それでも魚の中では多い方である。また、ビタミンD、タウリンも多い。マグロの目玉には、とくにDHAが多いことから、健脳食としてもてはやされている。赤身には鉄も多い。マグロは加熱すると身がしまるので、鮮度のよいものを生、あるいは熱湯にさっと通して表面だけ加熱したあと急冷して、さしみ、寿司種、和え物などにする。ネギとの煮物のねぎまには、脂の多い部分を使うと身がかたくなりにくい。トロをすり身にしてネギとあわせてネギトロにしてもよい。マグロのかぶと煮とはマグロの頭半身を炭火で時間をかけて、柔らかく煮た、とろけるような味わいの絶品のしろものである。マグロの中では特にかぶとの中にDHAが一番豊富に含まれていると言われるので、栄養的にも、このかぶと煮が優れていることは、言うまでもない。特に頬の身は肉厚で、脂がたっぷり乗っていて、この大きさでも一人でペロリといける。そしてまた、目の周りのゼラチン質のおいしさが格別である。そしてマグロのかま焼き。「かま」とは魚の鰓(えら)の下の、胸びれのついている部分を差す。故に、脂が十分に乗っていて、「魚の中でもっとも旨い」と言われるところでもある。このかま焼き、まぐろのかまを炭火でじっくりと焼き上げて食する。中おちとは三枚におろした骨の部分(骨と骨の間)についている赤身である。貝等でひいて身をとる。100kgの魚からとれる量は1.5kg位しかない。したがって中おちが少ないほど、さばき方が上手であるということである。脳天の身とは頭部で左右2本、少量とれる。筋は多いが脂肪があり、薄く切って食べる、照焼等も最高である。
クロマグロ
別名シビ。ホンマグロともいう。大型で、体長3m、体重400kg以上に達するものもある。3kg〜8kgのものをメジマグロ(マグロの子どもをメジという)、20kg前後を大メジ、40kg前後は中鮪(チュウボウ)と呼ぶ。大体50kg以上が成魚とされる。中でも80kg〜150kg前後のものはスジも薄く大変に美味で、寿司や刺身にすると最適。近年クロマグロの「トロ」がもてはやされている。腹の霜降り部分が「大トロ」、背の皮ぎし部分が「中トロ」で、口の中でとろける味わいは格別である。クロマグロは近海物が上物とされており、特に冬期の北海道沖で獲れるものが最高級といわれる。一方、昭和40年代よりアメリカ北大西洋のクロマグロが日本の市場に入荷するようになったが、これは近海ものとは体型も異なり、味もやや大味である。これらはジャンボ機で空輸されることや体型も大きいことから通称「ジャンボ」と呼ばれている。
ミナミマグロ
インドマグロともいう。体長2m、体重200kgのものもある。昭和30年代半ばから入荷が始まったが、その初めは南インド洋から帰港した漁船が運んできたものである。初入荷したときは、メバチともクロマグロともつかぬことから、2つの呼び名を合わせてバチマグロと呼んだこともあった。初めはインド洋の赤道近くの熱帯のものが中心だったが、最近は冷凍技術の進歩により赤道を越して寒い南へと漁場を開拓し、南緯40度前後のケープタウン、タスマニア、ニュージーランドなど広い地域から入荷するようになった。現在では入荷量の90%はこれらの冷凍物である。ミナミマグロは酢めしと相性がよく、甘みのある食感はクロマグロと人気を二分するほどである。
メバチマグロ
目が鉢のように丸いのでメバチ(目鉢)の名がついた。体長2m、体重150kg以上に成長する。小さいものでは、20kg以下をダルマ、40kg以下を中バチと呼ぶ。関東から東北地方にかけて寿司種や刺身用として人気がある。クロマグロと比べ腹身はやや薄い。寿司種にすると酢めしに良く馴染むので喜ばれている。ひと昔前は梅雨時の旬のメバチは「五月雨バチ」と呼ばれ、近海物がたくさん獲れたが、近年は近海物の水揚は全体の10%に過ぎず、輸入物が主流を占めている。太平洋、大西洋、インド洋、地中海で広く漁獲されるが、そのほとんどはチリ沖、ペルー沖、北米方面などから来る冷凍物で、それにインドネシアを中心にオーストラリアやニューヨーク沖などからの空輸の生が加わる。
キハダマグロ
肌全体が黄色味を帯びていることからキハダ(黄肌)という。大きなキハダは体長2m、体重100kg以上になる。小さいものは、20kg以下をキメジ、20kgから40kgくらいを小キハダと呼んでいる。肉色は全体に桃色で、他のマグロと比べると赤身とトロの区別がない。名古屋以西の関西方面の需要が多い。酢めしにあまり馴染まないので、寿司種よりむしろ刺身用に好まれる。晩春から初夏にかけてが旬で、特に近海で獲れるキハダの味は絶品であり、クロマグロに勝とも劣らないといわれる。こうした脂がのった近海物は寿司にも合い、高級割烹料理店などでも好まれている。
ビンナガマグロ
マグロ類中では小型種。胸びれが非常に長いので名はそれに由来してこう呼ばれる。漁業者の間では「トンボ」とも言われている。体長 約1.4m、体重約40kg。肉はやや柔らかく、熱するとほぼ白色になる。薄い乳白色で身質が極めて柔らかい。日本では九州近海に多く、夏は金華山方面にも現れる。つねに群れをつくって沖合いの中層を泳ぎ、海岸に接近することはめったにない。高緯度で漁獲される物はトロビン長と呼び淡白な脂(中トロ)で美味、刺身商材で最も安価。
下北半島の突端に位置する青森県大間町。沖合いは、日本海の対馬海流と太平洋の黒潮が出会う絶好の漁場。その大間町で明治時代から引き継がれてきた伝統漁法が、漁師が腕一本で数百キロのマグロに挑む、昔ながらの漁法「マグロの一本釣り」。大間で獲れた近海もののマグロは鮮度が高く、味が良いことから1キロ当たり数万円という高値がつき、東京の築地などの大市場に出荷される。「大間のマグロ」と言えば高級マグロの代名詞にもなっている。
体形はブリ型であるが、体長の割には体高が高い。側線に沿って、吻端から目を横切って尾ビレまで淡黄色の鮮明な縦縞が1本ある。両目の間に「八の字」の斑点があるので「間八」という。成魚では1.5mにも達する。カンパチはあっさりした舌触りの中に、コク、あぶらののり、歯ごたえがよく、夏の高級魚の1種である。体表のぬめりは多く、魚体がもてないほどヌルヌルする。冷やして刺身で食べると美味い。
ブリの形に似ていて、ブリと並ぶ青魚の代表として取り扱われている高級魚。ブリと同様に目から尾にかけて、体側の中央を側線に沿って黄色の線が走っている。ヒラマサとブリの見分け方は縦縞で分かる。ヒラマサの黄色の縦縞は中央を走り、ブリのそれは中央よりやや上のほうを走っている。ヒラマサの黄色の縦縞ははっきりしているのが特徴である。ブリは冬の魚、ヒラマサは夏の魚といわれるように、夏の刺身用の魚としては最高級である。冬もまた美味しい魚である。ブリよりもあっさりしている味に人気がある。刺身、照り焼き、塩焼きなどで食べる。ブリと同じ食べ方が一般的。切り身は厚めに切ったほうが本来の味を堪能できる。
カジキはカジキマグロと呼ばれ、マグロの仲間と思われがちだが、マグロがサバ科であるのに対し、カジキはマカジキ科、メカジキ科で、全く別種の魚である。カジキにはマカジキ、メカジキ、バショウカジキや特に大型で500kgに達するクロカワカジキ、シロカワカジキなどの種類がある。マグロに比べ肉色は薄く赤みを帯びた橙色で、淡白な味わいを持つ。また、身が変色しにくいという点で好まれる。中でも冬期に関東近海で獲れるマカジキは最も美味しい。体長3m、体重130kg以上に達する大きな魚で、その漁獲は船先からモリで突く「突棒」という方法がとられる。
昔は北海道の沿岸で多く漁獲され、ニシンの子「数の子」で大金持ちになり、立派な家(ニシン御殿と呼ばれる)を建てた人もいたが、現在では、その数は少なくなってきている。ニシンは太平洋ニシンと大西洋ニシンに分けられている。種類は違うことになっているが、形態上の差は区別しにくい。太平洋ニシンの方が日本人好みである。生のままの流通量は少なく、ほとんどは干物、身欠きニシンなどの加工用にまわされる。塩焼きや揚げ物でも食べられるが、開いて軽く干したものの方が味が出てうまい。日本近海のものは刺身や酢じめでも食べるが、ヨーロッパではマリネ、缶詰にしたオイルへリングを利用したサラダ、酢漬けにして食べるのが一般的なニシンの食べ方である。
漢字の「鮎並」は、姿やなわばりをもつ習性がアユに似ているためといわれている。体表にぬめりがあり、油を塗ったようにみえるので、関西ではアブラメ、北海道や東北ではアブラコと呼ぶ。皮にうま味があるが、皮と身の間に小骨が多いので、皮ごと用いるときは、骨切りをする。その方法は、三枚におろした身を皮を下にしておき、身のほうから3〜4mm幅に皮のすぐ近くまで切り目を入れる。白身で春から夏にうま味が増す。調理前にうすい食塩水で表面のぬめりを洗い落とす。透明感のあるぬめりが十分ついているものが鮮度がよい。さしみやあらいのほかに、照り焼き、煮魚、汁物、から揚げなどに。
ウナギに似た魚なので海ウナギともいう。ウナギのように関東は背開き、関西では腹開きにして用いる。表面のぬめりは、身を下にしてまな板にのせ、包丁でこそげるか、塩でもんで洗い流す。味のよいのがマアナゴで、一番よく食べられている。東京湾と兵庫県の明石が名産地で、韓国産も増えてきている。魚介類の中ではビタミンAやEが多く、ウナギ同様に夏バテ防止によい。IPA(EPA)、DHAも多い。一年中出回るが、7〜8月頃と11〜1月頃がとくに味が良く、漁獲量も多い。アナゴは下半身のほうが味がよいといわれる。また、アナゴは大きめのほうが味がよい。焼きアナゴは、身がふっくらしたものを選ぶ。生をてんぷら、かば焼きに。寿司種にはしょうゆ、酒などで薄味に煮て用いる。焼きアナゴは、酢の物、茶碗蒸し、アナゴ飯(広島名産)、ちらし寿司などにする。
タイという名がつくが、タイではない。体形は細長く頭が丸い。アマダイにはアカ(赤)、キ(黄)、シロ(白)の3種類がある。白身で淡泊な味。塩焼き、照り焼き、酒蒸しにする。切り身にさっと湯を通して、すまし汁に仕立ててもよい。水分が多く、身がやわらかいので、開いてひと塩ものにしたり、粕漬け、みそ漬けにすると、水分が減って身がしまり、味もよくなる。
アカアマダイ
体側に赤い横縞があり、体は側扁して細長い。身に水分が多く、柔らかい。京都、大阪を中心にして人気がある。京都、大阪ではグジという。特に若狭湾でとれた一塩のグジに人気がある。京都では、一塩グジを三枚におろし、肉だけを皮からそぎ取って、生でワサビ醤油で食べる。昆布締め、焼き物、白味噌漬けも美味い。
キアマダイ
腹部の黄色が鮮明なアマダイ。アカアマダイに比べて、身が柔らかくなるスピードが早い。特に腹部の軟化は著しく早い。死後硬直時のものがベスト。昆布締めの刺身、塩焼き、一夜干し、煮付け、照り焼き、吸い物、ホイル焼き、バター焼き、フライ、テンプラ、みそ漬け、粕漬けなど利用法は多岐に渡る。
シロアマダイ
一般にシラカワ、シラカワアマダイと呼ばれる。アマダイの中では一番脂がのり、身のしまりがよく、非常に美味であるが色に冴えがないため、魚屋では人気がない。調理法は他のアマダイと同様。
英語名でangler、fishing toadなどといわれるように、背ビレから前方へ伸びた糸状のトゲで子魚をおびき寄せる。身がたいへんやわらかく、しかも粘りがあっておろしにくいので、あご骨をひっかけて上から吊し、水を口から入れて重みをつけてさばく(吊し切り)。肉のほかに、肝臓、ヒレ、胃袋、皮などほとんどの部分が食べられる。皮、肝臓、卵巣、胃袋、ひれ、白身、あご肉に切り分けられ、これを「アンコウの七つ道具」という。とくに肝臓はアンキモと呼び賞味される。ビタミンEが豊富である。料理はあんこう鍋が代表的なもので、下ゆでするか、あるいは熱湯をかけてから、野菜、豆腐などと煮て、しょうゆ味やみそ味で整える。肝臓は肝和えなどにする。
イサキは骨とヒレにあるトゲがたいへんかたく鋭いため、和歌山ではカジヤゴロシと呼んだりする。扱うときや食べるときには注意が必要である。タイよりは細身で表皮は黒っぽく、幼魚のときには体側に黄褐色の三本のたてじまがある。肉質は淡泊で、初夏に味がよい。イサキは新鮮なものでも眼がくもっているので、他の魚とは違い、眼で鮮度は判別できない。大型のものほどクセがなく味もよい。ウロコや皮に磯臭い臭いがあるので、塩でもむようにして洗う。さしみ、あらい、照り焼き、煮付け、フライなどにする。
正式名はイトヨリダイ。尾ビレの上端が糸のように長く伸びている。赤地に黄色の細い線のある美しい魚。身は白身であっさりした上品な味。煮付け、照り焼き、唐揚げ、みそ漬け、吸い物などによい。
頭がマナガツオのように丸く、全体が楕円形で、体色が銀色の魚。エボダイ、ウオゼ、ボウゼ、シズなどの地方名がある。白身で肉質がたいへんやわらかい。体表にぬめりがあり、黒ずんだ色が出ているものほど新しい。煮付け、バター焼き、照り焼き、みそ漬けなどに。ちなみにタイとは全く無縁の魚。
オコゼには多くの種類があるが、食用にするのはオニオコゼである。すむ場所によって、沿岸のものは黒褐色、沖合のものは赤色、深海のものは黄色と変化する。ウロコがなく皮がやわらかで、頭はデコボコでつぶれたような形。背ビレには毒をもったトゲがある。白身で姿に似ず味がよい。夏にうま味が増すが、冬も味よく食べられる。フグの身に似ているので、その代用としてさしみにする。揚げ物、照り焼き、ちり鍋などに。
磯に住む魚の代表的なもので、関西ではガシラという。外見がメバルに似ているが、口が大きく頭にいくつかトゲがある。食べる部分が少ないが、白身で肉質がしまっていて味がよい。煮つけのほか、唐揚げ、ちり鍋に。みそ汁に入れても味がよい。
魚の中でも代表的な肉食魚で、口の先がとがって鋭い歯をもっている。赤カマスがもっとも一般的で、秋から冬にかけて味がよくなる。白身で淡泊な味だが、やや水分が多いため、干物にすると味がよくなる。また、塩焼きでは塩をしてしばらくおき、身をしめてから焼くのがコツ。老化防止に役立つDHAが比較的多い。
カレイとヒラメの区別は難しく、眼のついている場所から判断する方法に「左ヒラメの右カレイ」というのがある。手前に尾、頭を向こう側にし、腹を下にして立てたときに、左側に眼がくるのがヒラメ、右側に眼がくるのがカレイである。一部の例外もあるが、ほとんどこの法則があてはまる。種類は多いが、一般によく食べるのは、大型で切り身で売られていることの多いオヒョウ、ミズガレイとも呼ぶ間生干し品の多いムシガレイ、ヒレに黒くて丸い斑紋があり味のよいホシガレイ、ひし形で味のよいメイタガレイ、その他、マガレイ、マコガレイ、イシガレイなどがある。冷凍品には北洋産も多い。カレイは白身で一般に味がよい。新鮮なものはさしみやあらいに。その他煮つけ、フライ、ムニエルなどにする。煮すぎると身が固くしまり、うま味が煮汁に流出するので、ほどほどに。タンパク質、ビタミンB1、B2が多く、脂肪は少ない。メイタガレイのような小型のものは唐揚げもよい。
大分県の日出町(ひじまち)の城下公園(昔の暘谷城址:ようこくじょうし)から眺める別府湾。この付近で捕れるマコガレイを城下カレイと呼ぶ。「城下」という名の通り、本来は城のすぐ下の海中にいるのが、正真正銘の城下カレイである。底から清水がわき出す海べりに生息するカレイが、江戸時代は将軍への献上品にもなった経緯がある。しかし、この名が全国区のブランドになった今、別府湾全域で取れるマコガレイはあまねく城下カレイに化け、高級品として扱われる。
皮がかたく、調理前には必ずはがして用いるのでついた名前。ハゲと呼ぶ地方もある。似た魚にウマヅラハギがあり、味に大差がないので、これもカワハギとして売られている。カワハギよりも細身で顔が長く、尾ビレが青い(カワハギは褐色)。カワハギは夏が旬だが、冬も身がしまり、鍋物の材料にも用いられる。煮つけが一般的で、ちり鍋、吸い物、フライなどにもする。新鮮なものは薄造りに。肝も味がよく、ゆでて二杯酢、または煮つけなどにする。夏には寄生虫の心配があるので、十分に火を通すこと。
白身魚の中でも上品で淡泊な風味があり、料理に広く用いることができる。一年中出回るが夏にうま味が増す。さしみ、塩焼き、椀種、酢の物、寿司種、てんぷら、フライ、フリッターなどにする。椀種には尾を切り離さないようにして三枚におろし、結んで結びキスにし、蒸して用いると姿がよい。高タンパク低エネルギーでダイエットにもいい。
魚全体が鮮やかな赤色で、眼は大きく金色をしている。白身魚で身がやわらかく、冬にうま味が増す。さしみ、煮つけ、ちり鍋、蒸しものなどに。みそ漬け、粕漬けにすると身がしまって口当たりがよい。
関西ではチヌとも呼び、味のよい魚。磯釣りの魚としても人気がある。生きのよい魚で活け作りやさしみ、あらいに最適。夏にとくに味がよくなる。泥臭さをとるために、入手したらすぐに内臓を除くことが大切。塩焼き、煮つけ、うしお汁にもよい。
頭が大きく扁平な魚。砂底で目だけを出して小さいエビやカニ、小魚を捕らえて食べる。白身でよく肉質がしまり、火が通ると、骨からはがしやすいのが特徴。脂肪が少なく、淡泊で夏に味がよくなる。新鮮なものはあらいやさしみ、酢の物に、その他、焼き物、煮つけ、てんぷら、ちり鍋にする。フランス料理のブイヤベースに必ず用いられる魚である。
姿がスマートで美しい銀色をしているが、実は腹の内側が真っ黒、そこで、外見に似合わず腹黒い人をサヨリにたとえることがある。肉は透き通るような白身で脂肪が少なく、風味がよい。春から秋に味がよくなる。下あごの先をみて、紅色の部分の鮮やかなもの、腹が白く、褐色に変化していないものが新しい。三枚におろして腹の黒い部分をていねいに除いてさしみ、酢の物、寿司種、吸い物の椀種などにする。また、てんぷら、塩焼き、フライなどにもよい。
名前はアイヌ語のススハム(柳の葉という意味)がなまったもので、飢饉のときに神が柳の葉を川に散らして魚に変えたというアイヌ伝説からきている。北海道東南部の阿寒川などの特定の川だけでとれ、出回っているものの大部分は輸入品のカペリンやカラフトシシャモである。北海産と記されているが、「道」の字がないので北海道と早合点しないこと。卵がおいしいので、産卵前の子持ちシシャモが好まれる。生のものは、ルイベ、塩焼き、フライ、てんぷらなどにうるが塩干し品として流通していることが多い。
形が舌に似ているためついた名で、ウシノシタともいう。表皮の色から赤シタビラメ、黒シタビラメがあり、夏には赤が、秋には黒の味がよくなる。白身の淡泊な味で、ヨーロッパではソールと呼んで好まれている。中型で肉の厚いものを選ぶと味がよい。和風料理では煮魚に皮付きのまま用いる。西洋料理ではムニエル、フライが代表的な料理で、表皮をはがして用いる。腹側の白い皮をはがすこともあるが、やわらかく味もよいので、残すことが多い。骨は塩をふり、唐揚げにすると味がよい。
内湾や汽水湖(海水と淡水が混じっている湖)にすむシラウオ科の魚で、生きているときは半透明で、死ぬと白くなる。2〜5月の産卵期に群をなす河口などでとれる。島根県宍道湖、茨城県霞ヶ浦などが産地として名高い。江戸時代には隅田川の佃島が名産地で、徳川家康の大好物であった。シラウオの卵とじ、吸い物、てんぷら、酢の物などが代表的な食べ方で、生きたままを「おどり食い」にすることもある。カルシウムが豊富な魚である。博多で同じく「おどり食い」にするのはシロウオ(素魚)であり、これはハゼ科で体形がシラウオよりも円筒状で、しりビレがない。食べ方も風味もよく似ている。両者はよく混同され、富山のシロイオ、兵庫のイサダ、高知のドロメなども後者のシロウオである。
1年魚をセイゴ、2・3年の成魚をスズキという。味のよいのは成魚で、とくに夏にうま味がある。秋から冬は味が低下し、生臭みを感じるようになる。脂肪が少なく美しい白身だが、身がややかたいため、さしみには薄造りにする。そのほか、あらい、寿司種、塩焼き、吸い物の椀種にも。
タイが祝い事に使われる理由は”おめでたい”の言葉だけではない。表皮が赤くて姿が美しく、肉質が真っ白で、しかも味がよい点にある。タイの名のつく魚がたくさんあるが、マダイ(一般にいうタイでホンダイともいう)、チダイ(マダイと違って尾ビレ後縁が黒くない)、キダイ(体表が黄金色に輝いている)、クロダイ(チヌとも呼ばれ、マダイに似た形で背ビレ、腹ビレも暗灰色)、ヘダイ(クロダイに似ているが体高が高く白っぽい)などがタイ科の魚で、アマダイ、アコウダイ、キンメダイ、イシダイなどはタイの仲間ではない。瀬戸内海では、桜の咲く頃にとれるタイを桜ダイといって賞味するが、味がよくなるのは冬の物である。自然の海で育てる海洋牧場など、養殖の方法がいろいろ工夫されている。冷凍品はアサヒダイなど南方産の輸入品が多い。養殖のものでは、心筋梗塞を予防するIPA(EPA)や、血中コレステロールを下げるDHAが多く含まれる。タイは肉部のほか、頭、内臓、皮まで捨てるところがない。祝い事には姿焼き(塩焼き)で。その他酒蒸し、さしみ、あら煮、うしお汁などに、卵は煮物、皮は和え物に用いる。
名のように身が細長くて薄く、銀色に光るところが「太刀」にそっくりである。また、頭を上にして立ち泳ぎするところから「立ち魚」という意味もある。銀色の成分はグアニンという物質で、これを集めて化粧品や模造真珠の原料にする。新鮮なほど美しく銀色に光るが、鮮度が落ちると白っぽくなり、グアニンがはがれやすくなる。産卵期は春で脂肪がのるが、味のよいのは夏の大型のもの。白身で身がやわらかい。味にクセがなく、淡泊ななかにうま味がある。新鮮なものはさしみなどにもできるが、銀色を嫌う人もいるので、さしみには表面をこすって銀色を落とすことが多い。塩焼き、照り焼き、ムニエル、唐揚げなどに。煮物にすることもある。加工品では蒲鉾の材料としても用いられている。
字のとおり雪のふる冬の代表的な魚である。北の海にすみ、産卵期の冬に味がよくなる。北海道、東北、北陸には、タラを使った冬に食べる郷土料理が多い。タラのアラと野菜をみそで煮た青森のじゃっぱ汁、タラとその白子、野菜、豆腐などとの鍋物である秋田のだだみ鍋、能登のタラ汁などがある。「タラ腹食べる」というのは、タラがたいへんな貪欲であることからきたもので、タラも胃潰瘍を起こすこともあるという。食用にするのタラはマダラ、スケトウダラ、コマイなどで、タラコとして利用するのは、主としてスケトウダラの卵巣である。白身で脂肪が少ないので、幅広い料理に用いられる。鮮度が落ちやすいので、新鮮なものを求めることが大切。鮮度のよいものは、さしみやコンブじめに。その他、煮つけ、塩焼き、粕漬け、鍋物、バター焼き、フライ、グラタンにも向く。
スケトウダラは、スケソウダラ(助宗鱈)と呼んだり、タラ漁には人手がかかり助っ人が必要なことからスケトウダラ(助人鱈)と呼ばれたりもする。
白子は雄の精巣。真鱈やスケソウダラの白子は細かいヒダが菊の花のようなので、 菊子と呼ばれている。 ネットリとした質感で濃い旨みがあり、 ポン酢、モミジオロシとワケギで食べるとほのかな甘味もあって大変美味。 ただし鮮度が命で一日たつと輪郭がくずれてベタベタになってしまう。
胸ビレがよく発達し、敵から逃げるときに翼のように広げて水中から空中へ飛びだし、ときには300〜400mも飛ぶ。飛ぶ性能をもつために、トビウオの内臓は小さく、その結果、死後の鮮度の低下が遅いとか、小さい魚にしては食べる部分が多いなどという。鮮度の低下は目にあらわれ、濁ってくるので、目が透明で表皮に艶があり、ウロコのしっかりついているものを選ぶ。肉は白身で脂肪が少なく、あっさりしている。塩焼き、照り焼き、フライ、バター焼きに適している。干し物はよいダシがとれ、とくに九州では「干しアゴ」と呼び、お節料理をはじめよく利用されている。
関西、九州地方で好まれる魚。関西では夏祭りに欠かせない魚である。ウナギやアナゴと同じ仲間で細長く、大きいものでは体長が2mにもなる。白身だが脂肪が比較的多く、うま味が強い。身に無数の小骨があり、骨切りという下処理が必要である。これは、腹開きした身を皮を下にしておき、ハモきり包丁あるいは出刃包丁で皮1枚を残して2〜3mm幅に切れ目を入れる。3cmくらいの幅の身に24〜25本の切り目が入ったら一人前とみなされる。切り目が少ないと、食べたときに歯触りが悪い。代表的な料理は、骨切りしたハモを3cm幅に切り、塩を加えた熱湯をくぐらせ、冷やしたものを梅肉酢で食べる鱧ちり(京都では「鱧のおとし」という)。その他、照り焼き、吸い物、てんぷら、鱧寿司などにする。ハモの入った蒲鉾はうま味がある。
ヒラメやカレイの眼は孵化してすぐは、体の両側にひとつずつあるが、30日ほどの間に片方へ移動する。体が平たいというところからついた名前で、英語でもflat fish。秋から冬に味がよくなり、とくに1〜2月のものは寒ビラメと呼び、味にコクがある。その一方、3月以降になると「三月ヒラメはイヌも食わぬ」とか、「夏ビラメはネコも食わない」などと不評である。淡泊で上品な味の魚で、さしみ、寿司種、吸い物に。また、フライ、ムニエルなど洋風にもあう。ヒレの付け根の部分の肉は、エンガワと呼び、寿司種、煮つけにして珍重される。
フグ毒の成分は、テトロドトキシンで非常に毒性が強く、とくに卵巣と肝臓の毒性が強い。ついで皮、腸で、フグの種類、部位、季節などで毒性の強弱が異なる。そのため、厚生省は食用にできるフグの種類(トラフグ、マフグ、ショウサイフグなどの22種)と各フグの食用部位(筋肉、皮、精巣について)を発表し、肝臓、卵巣など毒性のある内臓の販売を禁止している。日本で最初にフグ食禁止令を出したのは豊臣秀吉で、フグの絵を書いた高札を立て、「この魚食べるべからず」と布令を出した。フグの調理は、試験によるフグ調理師の免許を必要とする。フグは冬期に脂肪がのって味がよくなるが、毒性が強くなるのもこの時期である。さしみをてっさ、ちり鍋をてっちりというのは、鉄砲、つまりあたったら命がないということからきた名称である。ふぐが人々を惹きつけて止まない理由の一つは、旨味の素であるグルタミン酸やイノシン酸が豊富なこと。てっさは紙のように薄造りにするのが特徴で、厚く切ると歯ごたえがかたい。てっちりの汁は、よいダシが出るので雑炊にする。その他、焼きフグ、みそ汁に。身や皮の湯引き、ヒレ酒(焼いたヒレに熱いかん酒を注いだもの)などにする。健康や美容にも良い成分が多く含まれている。タウリンは血管、心臓、肝臓、気管支などの障害に有効。セレンには更年期障害の予防や抗ガン作用があることが認められている。そして、フグ皮の煮こごりにはムコ多糖類が含まれ、皮膚の弾力性を保つ働きがある。
白子とは雄の腹のなかにある白いどろどろした精巣のこと。白子というと、真っ先に頭に浮かぶのはフグの白子である。フグにはいろいろと種類があるが、なかでも真冬のトラフグの白子は格別。トラフグには白と黒があり、白の方がはるかに上品。中国では西施乳(せいしにゅう)といって、フグの白子を珍重している。西施は中国の歴史上の美女で、体の中から悩ましい芳香を放ったという「香り人間」であったらしく、風呂に入った残り湯にまで芳しいにおいがたちこめたらしい。鮮度の抜群のものなら、そのまま生でポン酢をそえて食べる。白子を塩焼きにしたものも捨てがたい。天火に入れ、薄茶色の焦げ目がつくまでじっくりと焼く。
ボラは成長するに従い名称が変わり、最後はトドと呼ばれる。おしまいという意味の「トドのつまり」という言葉は、トドが産卵のため南方へ姿を消し再び帰ってこないということからきたもの。若魚はイナと呼ばれ、粋なことを表現する「いなせ」の語源である。いなせは、江戸時代の魚河岸の若者が好んだイナの背の形をした髪型のいなせ髷からきている。ボラの胃の幽門部は、筋肉がかたくなっていてヘソと呼ばれる。秋から冬の寒ボラが、脂肪がのって味がよくなる。白身で肉質がややかたく、味は淡泊。特有のくさみがあるので、さしみやあらいは、からし酢みそやじょうがじょうゆで食べる。煮魚にもショウガやみそを用いるのがコツ。カレー粉も効果的である。ヘソの部分を集めて串焼きにし、塩と粉山椒で食べる料理もある。卵巣を塩漬けしたものは、カラスミという珍味になる。
体形がひし形で銀白色の魚。名前に反し、カツオとは無縁である。紀伊沖以南の外洋にすむ魚で、関西でなじみの深い魚。白身で上品な味。新鮮なものはさしみに、その他、みそ漬け、照り焼きがとくに適している。みそ漬けは切り身を塩でしめ、白味噌をみりんでゆるめたものに漬け、2〜3日おく。長く漬けると風味が落ちる。
目がぱっちりと大きいのが特徴。すむ場所で体色が異なり、赤メバル、黒メバル、金メバルと呼ばれる。卵が母体内でかえり、稚魚として生まれる卵胎生魚。白の模様が鮮やかで目の澄んだものが新鮮。一般に秋から冬に味がよい。タケノコの出回る頃味のよいタケノコメバルは近縁種。煮つけのほか、塩焼き、照り焼き、唐揚げにもよい。
氷の張った湖で、丸く開けた穴から釣り糸を垂れて釣る穴釣りの目的はワカサギである。漢字「公魚」の意味は、江戸時代に霞ヶ浦でとれたものを将軍(公方)に献上したためといわれている。冬から春にかけて味がよく、淡泊なうま味がある。骨ごと用いるために、カルシウムのよい供給源になる。生魚はクセのある臭いがあるが、加熱処理すると消える。てんぷら、南蛮漬け、唐揚げ、あめ煮、串焼きなどにする。炭火で素焼きして、酢じょうゆにひたすと味がよい。
鮮やかな赤色がこの名前の由来で、正式名称はアコウダイ。こんなに大きくてもメバル属の深海魚。旬は真冬で、1月から2月あたりが出回る量も多く脂も乗り、もっとも旨い時期。アカウオの食べ方としては、鮮度の良いものならば刺し身でもよいが、この魚は刺し身よりも、煮付けたり鍋にする方が向いている。ちなみにアカウオを標準和名とするのはハゼ科の別種である。
秋から冬にかけて出まわる。とくに産卵後、一時やせて味は落ちるが、その後12月下旬頃から魚体が回復し、あぶらがのってうまくなる魚。一見、アイナメのような形をしているが側線は5本。アイナメは6本あるので見分けがつく。身肉はアイナメより多少赤みを帯びている。形も非常に大きく、50cmくらいの大型のものも見かけられる。死後硬直前の刺身は絶品とされるが、鮮度落ちが早いので地元の人のみ味わえる特権の食べ方である。ホッケはすり身、練り物、鍋物、煮つけにしたり、塩焼き、バター焼きといろいろな調理法があるが、全国的に有名なのはホッケの開き干しである。
日本では秋田県や山形県が主な産地。しかし、資源が枯渇したため現在は禁漁中で市場で売られているものは韓国産が主力である。ハタハタは「魚雷」とも書き、カミナリウオとも言われるが、これはハタハタが雷の鳴る頃に多くとれるからとも言われている。ハタハタ料理と言えば秋田が本場である。その秋田では煮つけ、鍋物、塩焼き、酒粕漬けが有名。飯ずしにしても美味い。丸干しは骨まで食べられる。
ニベの仲間はとても区別が難しい。代表的なもので、ニベ・コイチ・シログチとあるが、宮崎では県魚として養殖が盛んなオオニベも生息し、幼魚はとても区別できないほど類似している。夏の女王という表現をするこの魚は鯛に似た淡白な白身。刺身や主にアンかけ(焼いた魚に、片栗粉で味付けした煮汁をかける)で食べる。また、平安時代からかまぼこ作りに用いられ、現在も高級かまぼこの材料になっている。ことわざの「にべもない」は、ニベ科の魚から作るにかわ(接着剤のようなもの)に由来し、粘り・愛想がないことをさす。
誰でも簡単に釣ることができる魚の代表。釣り場まで延々歩く必要も無く、車から下りて直ぐのポイントで充分楽しめる。しかし、味は決して馬鹿にできない。白身の大変美味な魚。大き目のハゼは糸造りにして刺身もいけるが、たくさん釣れたら天婦羅で食べるのが最高。
日本では幻の魚として珍重され、その味は食通にはクエという名前を聞くだけで生唾を飲み込むほど、フグ・タイを上まわる別格の逸品。あっさりして、まろやかな甘み、脂のある魚なのに淡白で魚のくさみが全くなく、ひとたび口にすると、その奥深い極上の味わいに舌がとろけ、これぞ魚の王様だと、うなってしまうこと請け合い。フグより美味とされ、今や超高級魚(浜渡しで1Kg1万の値がつく)として、家庭の食卓や魚屋さんに上がる事は滅多にない。造りでよし、鍋によし、揚げてよし。
富山県ではホウホウ、秋田県ではドコと呼ばれる暖かい海の砂浜に生息している魚。体表は朱色で体長は約40cm位で、胸ビレに青緑色の模様がある。体表の朱色が鮮明で、腹部が白く、張りのあるものが鮮度がよい。白身肉で脂は多くなく、淡泊でしつこさがない。魚臭もあまり感じないのがこの魚の身肉の特徴である。刺身で食べるのがホウボウのよさが一番分かる。しかし最近、ニュージーランドから空輸されるホウボウは刺身には、向かない。ほとんど加工用か惣菜用に使われる。煮付けると醤油とみりんのなじみやすい身肉である。吸い物の種としても人気がある。テンプラ、フライなど、油を使った料理にも適している。
石垣の模様があり、体形はイシダイに似ている。イシダイと同様に釣りの対象魚として有名である。しかし、食用としては余り人気がない。味もイシダイと区別しにくい位に似ている。身の色は澄んだべっこう色で、血合い肉は鮮明な赤色がよい。イシダイと同様に養殖のものもあるが、料理店での人気は余りない。
幻の魚と言われているくらい、この魚を知っている人は少ない。幼魚はシマダイと呼ばれ、その後成長につれて、イシダイ、クチグロと呼ばれる。成魚は50cm位で1.5kg程になる。体表に黒の横縞があるのが特徴であるが、大きくなるにつれて、その縞の色は薄くなる。身の色は透き通ったべっこう色で、身に毛細血管が走ってなくて綺麗なものを選ぶ。血合い肉は赤で、鮮明なものがよい。養殖ものは天然ものに比べて尾ビレに丸みがあるので、そこで見分ける。とれたてに生き締めは、塩焼き、刺身、煮つけ、ムニエル、蒸し物、どの料理にしても美味い。
夏に脂がのり、脂ののったものは、腹部に白くて硬い脂がある。秋になり、旬が過ぎると腹部に張りがなくなり、脂のかたまりも消える。煮つけ、蒸し物としても使うが、焼いて食べるのが一番美味い魚。夏の焼き物の王様と言われる。焼き上がった身はしっかりとし、柔らかく、身の色は白く、見た目がよい。皮が青色と銀色の縦縞と黄色の縦の線が残るようにきつね色に焼くのがコツ。
著しく平たい体形で頭部が出っ張っている。体長は1m以上になる。味や食感はアジに似ている。煮つけ、照り焼き、みそ漬け、みりん漬けで食べると美味しい。鮮度のよいものは、刺身が一番美味く、たたきにしてもよい。また、シイラの子である卵巣の煮付けは美味である。シイラという名前では消費者になじみがないので、惣菜加工品では、ブリ、オキブリなどの偽名で売られている場合もある。ハワイでは、マヒマヒと呼ばれ、ムニエル、蒸し焼きにし、高級料理になっている。
ブリと同じように体側に黄色い線が3本あり、それに挟まれた青い2本の縦縞が特徴。身は白色にピンク色を混ぜた透明感のある色。鮮度のよいものは刺身で食べると美味い。味はヒラマサに似ている。照り焼き、煮付け、ムニエル、塩焼き、みそ汁、粕汁などいろいろな料理法で食べられる。
漁獲量は少なく幻の魚と言われる。一般の魚屋にはほとんど並ばない高級魚。刺身にすると透明で張りがあり、弾力のある歯触りと身のきめ細かさを舌に感じる。ウロコが多いので、食べる前にはそれを取る下処理が必要である。鍋物の中でも特にちゃんこ鍋に入れると、身に弾力があり、噛むとうまみとあぶらの味がジワッときて美味い。アラとなる頭、中骨、尾は鍋物のよいダシになる。鮮度のよい内臓は腸を除き、ほとんど食べられるが、特に肝臓は美味である。頭部の目の回り、頬肉、頭部の身、カマ肉は身の部分よりも数倍美味しい。鍋物、ちゃんこ鍋、アラ煮のいずれも頭部のところを使えば、最高に美味さが引き出せる。蒸し物、揚げ物、ムニエルにもよい。
キチジとも呼ばれる、体もヒレも朱赤色の魚。仙台の笹カマボコの原料として使われているが、漁獲量が少ないため、高級カマボコを中心に使われるようになってきている。煮魚、焼き魚にすると最高に美味しい味となる。ワカメと煮る若煮もこの魚には合う。刺身でも食べられるが、寄生虫に要注意。
クロムツとアカムツがあり、クロムツはムツ科、アカムツはハタ科である。クロムツは冬に旬を迎え煮魚の代表格である。味は脂がほんのりとのり、とろけるような舌触りがする。アカムツは別名ノドグロとも言い、身の締まり、脂ののりはクロムツよりもよい。旬は秋から冬。クロムツ同様に煮魚の代表格。
水深200〜300mにいる深海魚で、かつては深海底引きの雑魚であったものが近年は高級魚ともいえる存在になった。標準和名は、マルアオメエソであるが、「目光(メヒカリ)」と呼ぶのが一般的。鮮度がよければ刺身にする。身は柔らかいが脂が強く、まったりとした味。また塩焼きにしても、天ぷら、唐揚げも旨い。
ムツゴロウとならぶ有明海で捕れるハゼ科の珍魚。体長30cm程度でウナギの形状に似る。有明海干潮時には「すぼかき」と呼ばれる伝統漁法で漁獲される。すぼかきは、棒の先に付けた鉤に引っかける漁法で、潟スキーに乗って移動しながら捕る。新鮮なものは刺身、煮付け、味噌焼きなどにすることもあるが、泥臭さがあるため、ほとんどは内臓を取り除き、干物にされる。干物を短冊状に切って素焼きや素揚げなどにし、酒肴として供されることが多い。白い牙をむいた灰黒色の干物は、見た目が悪いが香りと旨味がある。
特にマンボウの肝は珍味で、酒蒸しや肝あえなどの料理で食す。本体は、煮物にしたり、お造りの場合はぽん酢、紅葉おろしなどで食す。身はシコシコ、プリプリとした歯ごたえでクセがない。また、マンボウのヒャクヒロも珍味。これは、マンボウの腸のことで、マンボウの腸は長くて百尋(150m)もあるところから、そう呼ばれるらしい。これを、味噌漬けにして焼いたり、そのまま塩焼きで食す。コリコリとした歯ごたえで、とても深い味わいがある。マンボウを食する地方は多くはない。宮城、千葉、三重、静岡、高知などで主に料理されている。特に三重県町紀伊長島町では、マンボウは「町魚」で、まさにシンボルとなっている。
コマイ(氷下魚:血液中にマイナスでも氷らない物質を持つ)は、日本近海に生息するタラ類の1つ。主に北海道で漁獲され、干物や魚肉練り製品の材料となる。干物にはやや小さめのものを用い、頭とワタだけ取った1匹丸ごとのものと、開いたものがある。この干物はそのまま酒肴として、または軽くあぶってマヨネーズ、醤油、七味唐辛子などをつけて食べる。大型のものは鮮魚としても上々であり、煮つけ、塩焼きなどにできる。また卵巣は煮つけなどにして美味。
スズキ目・サバ科に分類され南半球の温帯海域に広く分布する大型肉食魚。肉は癖がなく美味で焼き魚、煮付け、唐揚げなどで食べられる。
ニギス目ニギス科の魚で、水深100-400mほどの砂泥質の海底に住み、オキアミなどを食べる。ニギスという名前は、キスにその姿形が似ているところに由来する。白身でまったくクセのない魚。含まれる脂に独特の風味がある。脂ののった時期には生食、焼き物などにしても美味。やや水分が多いので干物にしてよりうまい。
和名をトクビレと言い、雄にみられる大きなヒレから命名された。面白い形をしており一見グロテスクかも。しかし、この魚は脂が乗っていて、最高に美味しい。白身で、身に甘さがあり、上品な脂が最高。北海道と関東ではハッカクといい、これは角張った体の断面を八角とみたことが由来。焼き物(干物、軍艦焼き、塩焼き)、刺身、汁(潮汁、みそ汁、鍋)で食す。
サケの仲間で、川に住む魚。緑がかった褐色の背に、小さい黒点が一面にあり、体の側面には、パーマークと呼ばれる黒っぽい赤紫色の小判形斑紋が十個と朱色の斑点がある。よく似た魚であるヤマメには、この朱色の斑点はなく、分布も異なる。渓流の一番上流にはイワナが住み、その次の場所にすみわけ、いずれも渓流釣りに人気の高い魚である。各地で養殖も盛んで、釣り用に放流も行われている。海に下ったものはマスに戻り銀色で大きく育つ。宍道湖などにいる。体の表面にぬめりがあるので、塩をふってこすりとると、生臭みを除くことができる。ウロコ、エラ、内臓を除いて水洗いし、水気をふきとってから用いる。塩焼き、フライ、ムニエル、南蛮漬け、甘露煮、姿寿司、素焼きにして田楽みそを塗る魚田などに。
漢字の由来は古くから占いにアユを用いるためといわれる。香りのよいところから香魚ともいう。天然アユと養殖アユの風味の差は主にエサによるもので、天然ものは海藻を食べるため香りがよく、養殖のものは魚粉などもエサに用いられるため、香りが少なく脂肪が多い。鮮度を味わうには、生きているものをあらいにした背ごしが一番。塩焼き、魚田にしたり、ヒレとエラをとって丸ごと米に炊き込むアユ飯は内臓を抜かずに丸のまま用いる。あゆずし、あめ煮のほか、てんぷらやフライにもする。干しアユはよいダシが出るので煮物に用いる。カルシウムが多く、骨粗鬆症を予防。
ウナギといえば、かば焼きである。関東風は背開きにして頭と尾をとり、蒸してから焼く。関西風は腹開きして頭と尾をつけたまま蒸さずに焼く。関東風は蒸すときに脂肪が抜けるので、味が淡泊で身がソフト。関西風は濃厚な味で、身がしまっている。デパートなどでは関西風、関東風と区別して販売しているので、好みのものが入手できる。最近は関西でも関東風のものが多く売られている。かば焼きはタレがいのち、タレで買う店を選ぶのも一法である。白焼きを買って自家製のタレ(しょうゆ、みりんを同量使い、砂糖で甘味を調節する)をつける方法もある。かば焼きの食べ方はうな丼、うな玉どんぶり、う雑炊、押し寿司などのごはんもの、その他、キュウリとの酢の物(うざく)、ウナギを芯にした卵焼き(う巻き)などにする。買ってきたかば焼きは、軽くあぶって温めると風味、口当たりがよくなる。かば焼きには粉山椒をふると風味が引き立つ。土用にウナギを食べるのは、夏バテした体にビタミンAやタンパク質などの栄養を補給するのに効率のよい食べ物だから。ウナギにはレチノール(ビタミンA)がとくに多く、ビタミンE、B1、B2など他のビタミンやタンパク質、IPA(EPA)、DHAなども多い。ビタミンAは肝にとくに多い。肝吸い、赤出し、つくだ煮などにする。
「川魚の王」ともいわれ、日本、中国、ヨーロッパをはじめ、世界中で養殖が行われている。中国の伝説に、山西省の竜門の滝を登ったコイが竜になるというものがあり、ここから「登竜門」とか「鯉の滝登り」という言葉が生まれた。端午の節句に鯉のぼりをたてるのも、子供の出世を願ってのことである。白身魚で冬から春にかけて、脂がのり味がよくなる。川魚特有の泥臭さがあるので、身を塩水で洗ったり、調味のときに臭い消しに、みそ、ショウガ、酒などを用いる。コイをさばくときには苦玉(胆のう)をつぶさないようにすることが大切である。万一つぶすとまわりの肉に苦味がつく。日本料理ではあらい、コイをみそ汁で煮込んだ「鯉こく」が有名。中国料理では丸揚げの甘酢あんかけが代表料理。その他には、酢をかけてウロコを青く発色させてから香草とともにゆでたドイツの鯉の青煮、フランスにはビール煮などがある。バランスのとれた栄養素をもち、滋養強壮にもよいとされる。
日本各地の湖沼、川、水田、水路などの泥底にいる子魚。ドジョウヒゲで有名なヒゲは、口の周りに長短あわせて十本生えている。古くから大切なタンパク質源として、また、強精や痔、丹毒などに対し、薬効があるとして食べられてきた。脂肪が少なく、レチノール(ビタミンA)、ビタミンB2、Dが豊富。鉄分はウナギの四倍もある。骨ごと食べるとよいカルシウム源になる。市場に出回るのは、生きているものが主で、開いたものもある。泥臭さがあるので、調理前までに1〜2日真水に放ち、調理には、臭い消しにショウガやみそ、サンショウなどを用いる。ドジョウとゴボウを煮て、卵とじにした柳川鍋、丸ごとのみそ汁(ドジョウ汁)、ドジョウとさきがけゴボウを、だし、しょうゆ、みりんで煮ながら薬味で食べるドジョウ鍋が代表料理。唐揚げが料理としては簡単である。
サケの仲間で、体の側面に虹色の帯の模様があるのが特徴。日本各地で養殖や放流が行われ、サケ、マスのなかで、養殖による生産量が最も多い。放流の主目的は渓流の釣りで、放流したニジマスが定着する河川はたいへん少ない。体の表面に強いぬめり成分がついている。これは、塩をつけて手でこするようにするととれる。ぬめりをとると生臭さもとれるので、下処理としては欠かせない。小型で新鮮なものは、あらいやさしみに適している。大型のものは身がやわらかいので、加熱処理のほうがよい。調理法は、塩焼き、甘露煮、ムニエル、フライ、南蛮漬けなど。姿ごと押し寿司にした鱒寿司が各地の駅弁や郷土料理にみられる。
コイの仲間の淡水魚で、観賞用の金魚はフナの変異種である。釣り魚の対象で各地に広くみられる。各地に分布している銀ブナ、関東以北の金ブナ、琵琶湖や淀川原産の源五郎ブナ、琵琶湖特産で鮒ずしに用いるニゴロブナなどがある。味のよいのは脂肪がのった冬の寒ブナ。甘露煮、つけ焼きのほか、コンブ巻きなどに。川魚特有の泥臭さがあるので、味付けは濃いめにする。臭み消しの働きのあるみそやショウガを用いるのもよい。甘露煮では、一度素焼きにしてから煮ると臭みが消える。
コイの仲間の淡水魚。10〜15cmの子魚で口ヒゲが一対ある。味のよいのがホンモロコで琵琶湖の特産。諏訪湖、山中湖などにも移殖され、繁殖している。また、別種で、ホンモロコよりやや小型で味も劣るデメモロコ、スゴモロコが、近畿を中心とする小川や池にすんでいる。寒モロコというように、冬に味がよくなる。つくだ煮、照り焼き、南蛮漬けのほかに、素焼きにして、しょうがじょうゆで食べるのもよい。
サケの仲間であるサクラマスが陸封(河川に定着し、海へ戻らなくなること)されたものをいう。淡褐色の背に小さい黒点が一面にあり、側面には8〜10個の赤紫色の小判形斑紋(パーマーク)がある。渓流の一番上流にすむのがイワナで、ヤマメはその次の場所にすみ分ける。よく似た魚にアマゴがあるが、分布が異なる。これら三種の魚は、渓流の釣り人に人気のある魚である。ウロコをとり、エラ、内臓を除き、水洗いして水気をふきとってから用いる。塩焼き、焼いてから練りみそを塗る魚田、フライ、唐揚げ、甘露煮、てんぷら、姿寿司などにする。
ナマズ目ナマズ科の淡水魚及び海水魚の一種で、日本には6科11種が知られている。ナマズには無数のグループがあるが、大別すると粘液に包まれたナマズと鎧のように堅い鱗で武装したヨロイナマズの2類になる。コイ目とは近縁であり、語源ナマズの「ナマ」は滑らかさを、「ズ」は頭をそれぞれ意味するらしい。すなわち皮膚がすべすべしている大きな魚の頭を意味する。中国では、鮎という字を書いてニェンと読み、ナマズを意味する。アユは中国では『香魚』と書く。日本では鯰という字は国字であり、898年頃あたりからアユを鮎と書きナマズは鯰の字を用いている。ナマズはその昔から滋養強壮によいとされ、産褥期の栄養補給として珍重されてきた。良質の蛋白質はもとより、ビタミンA、B1、B2を多く含んだ低カロリーな総合ヘルシー食品。ちょっとこわい姿からは想像しがたい、雪白な身とやわらかい口あたり、そして淡白な味わいの高級珍味。調理法としては、刺し身、かば焼き、テンプラ、吸い物、皮の酢味噌合えなど多彩。
今では幻の魚とまで言われるようになったイワナは、冷たく清らかな水にしか生息しない渓流魚。サケ科イワナ属に属する魚で岩魚とかく。一般にイワナはヤマトイワナ型・ニッコウイワナ型・ゴキ型に分類され、ヤマト型は本州中部の太平洋側と紀伊半島中部に生息し、ニッコウ型は東北地方の日本海側や関東地方、ゴキ方は中国地方に分布しそれぞれの河川上流部に生息する。アマゴやヤマメなどより高地の渓流に棲み、体の色は黒っぽい地に白抜きの斑点紋様があり(アマゴやヤマメでは白地に黒い斑点)、胸びれよ腹びれの前縁が白いという特徴がある。くせのないイワナは食べ方として塩焼き・刺身・フライ・唐揚げ・鍋物などたくさんあり、ひれ酒・寒風干しなども美味しい。
サクラマスとヤマメは、同じ親から生まれながら、育ち方の違いで、全く違う魚に成長してしまう。サクラマスはサケ科の魚で、名前の由来は春、桜の季節に産卵のために川に上ってくるから、あるいは身の色が桜色だからなどといわれる。その脂の乗ったおいしさはマス類の中でも最高とされる。サクラマスの一生は、まず春(3〜5月)、海からふるさとの川を上りはじめた親魚が、秋(9〜10月)に上流で産卵する。すぐに親魚は死んでしまうが、卵は川底で冬を越し、翌年の春に稚魚となり、川の中を泳ぎ回るようになる。さらに次の年の春になると、海の生活向きに体表がスモルト化(海水での脱水症状を防ぐため、体が銀白色に変化)する幼魚と、そのまま変わらない幼魚とに分かれる。こうして海に下る魚はサクラマスに、もう一方は川にとどまってヤマメになるとされる。淡泊な味なのでマス焼き、マス煮、マスのあんかけなどいろいろな料理に向く。
熱帯から寒帯、また、海水と淡水に広く分布し、世界に約三千種ものエビの仲間がいる。日本人はとくにエビを好み、近海ものの減少とともに、世界最大のエビの輸入国となっている。腰が曲がり、長いヒゲがあるところから長寿を象徴するものとして祝い膳や正月の飾りに用いられる。食用として重要なものは車エビとその仲間(大正エビ、芝エビ、ブラックタイガー、甘エビ、手長エビ)、伊勢エビ、ウチワエビ、ロブスターなど、ザリガニ、エクルヴィスなどがある。エビ類はグリシン、プロリン、アラニンなどの甘味のあるアミノ酸やベタインなどのうま味成分を含むので、特有の甘味とうま味がある。ゆでると赤くなるのは、アスタキサンチンと呼ばれる色素タンパクが加熱によって色素を遊離するため。殻のかたい物質は、キチンおよびキトサンで食物繊維の一種である。血中コレステロールをコントロールし肝臓機能を高めるタウリンも多く含まれる。多くのエビは下処理として背ワタ(背中に通る腸)を節目のあいだから串で引っかけてとる。または、殻をとってから背を切り開いて取り出す。頭をはずすときは、エラをもってはがすようにすると、頭のなかの身やワタが利用できる。フライやてんぷらなどでまっすぐに仕上げたいときには、尾から頭に向かって串を刺すか、腹に数本包丁目を入れる。揚げ物では、尾の先を切って、なかの水分を押し出しておくと、油のはねることが少ない。
正式名はホッコクアカエビで、名のとおり、寒い海でとれる赤いエビ。体長12cmほどの小エビで、身は薄紅色でやわらかく、生食するとプリッとした歯触りととろけるような甘味がある。赤身が鮮やかで身が透明なものが新鮮。尾を残して殻をむき、わさびじょうゆで。ごく新鮮なものは、頭と尾を残して殻をむき、頭のみそも味わう。緑色の卵も生のままわさびじょうゆで食べる。寿司種にもよい。北海道、新潟、富山などで秋から春に多くとれる。ベーリング海産などの輸入品も出回っている。
かつて伊勢湾で多くとれたので、伊勢エビの名がついたという。体長は大きいものでは35cmくらいにもなる。形が立派で味がよいので、昔から祝い膳や正月の飾りに用いられてきた。日本では宮城県以南の太平洋側でとれるが、最近はカリブ海、オーストラリア、ニュージーランドなどからも輸入されている。新鮮なものはさしみに。殻ごとたて半分に割り、しょうゆ、みりん、砂糖で煮含めた具足煮、殻ごとたて二つ割りにしたものを串に刺して照り焼きにした鬼殻焼きなどはダイナミックな食べ方である。具足煮の「具足」とは、よろいかぶとのことで、殻を具足に見立てた名称。また、ゆでて身を取り出しての酢の物、サラダなどに。頭部のみそは、うま味があるので、エビ料理のソースやみそ汁に加えたりして用いる。殻のかたい物質はキチンおよびキトサンで、食物繊維の一種である。
体を曲げると茶褐色または青褐色のの横じまが車輪のように見えるところから、車エビの名がある。体長はふつう20cmくらいで、体長10cm以下の小さいものをコマキまたはサイマキ、15cmくらいのものをマキと呼んでいる。養殖が盛んで、生きたまま出回っているのは養殖物が多い。冷凍品として輸入されるものも多い。生きたものは、おがくずに入れて出荷される。保存も、生きているものはおがくずに入れ、冷暗所におく。体の色つやがよく、身に弾力があるもの、頭がぐらついていないものを選ぶ。背ワタ(背中に通る腸)は、殻つきの場合は節目のあいだに竹串を刺して引っかけてとる。殻をとったものは背中に通る黒いスジが腸なので、竹串を刺して引っかけてとる。料理によっては背を切り開いて取り出す。鮮度のよいものは、頭をとると背ワタもともにとれる。新鮮なものは、さしみにするととろりとした甘味がある。てんぷらにもよい。てんぷらやフライなどにするときは、腹に数本包丁目を入れると加熱しても曲がりにくい。また尾の先を切り、なかの水を押し出しておくと油のはねることが少ない。そのほか、塩焼き、鬼殻焼き、椀種、寿司の種などに。
名前はカニだがエビの仲間。エビガニともいう。1930年に食用ガエルのエサとして輸入したアメリカザリガニが北海道以外の全地域にすみつき、一般にザリガニといえばアメリカザリガニのことをいう。在来種はおもに北海道と東北でみられる。料理素材として利用されているのは、主として外国産の養殖もので、ヨーロッパ産のものはエクルヴィス、オーストラリア産はマロン、スウェーデン産はクレフトルと呼ばれる。とくにエクルヴィスはフランス料理として、よく利用されている。ザリガニはゆでると真っ赤にになり、味もよく、バターソテーやゆでてソースをかけたり、スープ、フライなどにして食べる。また、爪を料理の飾りに用いたりする。下処理は、節と節のあいだに串を刺して背ワタをすくいとる。背ワタは黒くザラザラするので、残ると料理の外見や口当たりを悪くする。ザリガニは淡水産で、すむ環境によって寄生虫の心配があるので生食はさけ、必ず加熱すること。
青褐色で、多数の細かい斑点がある。大きいものでも体長が15cm程度。かつて東京の芝浦で多くとれたので、芝エビと呼ばれるようになった。本州中部以南の沿岸や瀬戸内海などでとれる。11〜3月に多く漁獲される。あっさりしたうま味があり、頭、殻、背ワタをとってむき身にし、かき揚げ、グラタン、炒め物などに。辛口ソース炒めなど中国料理にも広く用いる。また、ゆでて寿司、酢の物、サラダなど広く利用できる。
別名高麗エビの名のとおり、日本の沿岸ではとれず、韓国、中国、台湾から輸入される。大正年間から日本に輸入され始めたので、大正エビの名がつけられた。淡灰食、半透明で青灰色の細かい斑点が散在している。車エビと違い、胴の節が少なく横じまはない。体長は20cmほどのものが雄で、雌はそれより大きめ。輸入されるのは冷凍品が多いが、11月から春先に生のものも入荷する。秋から冬に味がよい。てんぷらが一番だがフライ、グラタンなどもよい。値段が手頃なので、車エビの代用品として利用できる。
淡水産の川エビで体長10cmくらいの小型のエビ。体は淡褐色だが、ゆでると鮮やかな赤色になる。6〜7月頃多く出回る。唐揚げ、つくだ煮、煮つけ、つけ焼きなどに。
全体が黒っぽい色で、胴の部分に紫黒色の横じまがあるのでこの名がある。台湾、インドネシア、フィリピンなどで養殖したものが輸入され、冷凍品、あるいはそれを解凍したものが市販されている。市場ではタイガーエビともいう。生のものは黒みをおびていて見ばえがよくないが、湯にとおすときれいな赤色になる。てんぷら、フライなどに。
ザリガニの仲間。小型のものでも体長30cmで伊勢エビほどもあり、大きいものでは50cm、なかには1mに達するものもある。伊勢エビと違い、前脚に左右で大きさが異なる二つの大きなハサミがあり、ハサミの肉も味がよい。フランス料理ではオマールと呼ばれる。アメリカ産とヨーロッパ産があるが、主力はアメリカ産。伊勢エビを英語でスパイニーロブスターと呼ぶが、同じ仲間ではない。生のロブスターは、ハサミにとめ金がついているので、はずさずに、そのまま塩を加えた熱湯でゆでる。蒸してもよい。食べ方は、加熱したものをとかし、バターとレモン汁、マヨネーズ、タルタルソース、レモン汁としょうゆなどで食べる。また、殻ごとたて半分に割りオーブンで焼いたり、ゆでた肉をサンドイッチやサラダにする。
形はアマエビより大きい。山陰地方でも漁獲される。活ものは北陸から入荷するが、アマエビと同じく活ものを食べても美味しくない。漁獲後、1〜2時間たったもののほうが甘味、食感もよくなる。刺身、寿司種として生食するのがもっとも適した食べ方である。ボイルするとアマエビのように身が小さくなり甘さも消える。最近はロシアからの冷凍品が出まわっている。ロシアのものは国内産のものより大きく、ボリュームがある。味もよい。
伊勢エビより甘みが強く、エビの中ではかなりの高級品。鋏脚が細長いことから料理店などでは“テナガエビ”とも呼ばれるが、標準和名のテナガエビは汽水・淡水生の全く別のエビである。刺身で食べるのが最高である。他にスペイン料理のパエリアやオイル焼きなどでも美味しい。
世界には約五千種のものカニがいるが、日本の周囲にいるのは約千種。漁獲高の多いものは、ズワイガニ、ベニズワイガニ、ガザミ、花咲ガニなどである。その他、食用には毛ガニ、大型で缶詰に加工されるタラバガニ、足が長いタカアシガニ、また、淡水産ではハサミに藻のついたモクズガニや小型のサワガニなどがある。4〜6月頃が産卵期で、夏には味がおちる。一般に雄のほうが味がよいが、卵をもつ頃の雌はうま味が増す。特有のうま味成分はベタイン、グルタミン酸、グリシンなど。ゆでると赤くなるのは、アスタキサンチンという色素タンパクが、加熱によって色素を遊離するためである。甲羅や脚のかたい成分であるキチン、キトサンは食物繊維の一種である。血中コレステロールを下げるタウリンも多く含まれ、栄養バランスがいい。カニは鮮度の低下が早いので、ゆでて販売しているものが多い。生は鮮度のよいもの、あるいは冷凍品を。生きているカニをゆでる場合は、あばれて脚がとれるので、脚をたたんでヒモをかける。海水程度の食塩水に水から入れ、大きいもので30〜40分、小さいもので15〜20分ゆでる。食用部分は、大型のカニは脚、小型は内臓や卵である。生はさしみで、ゆでたものは二杯酢や三杯酢で食べるが、サラダ、サンドイッチ、酢の物、寿司など多くの料理に用いられる。甲羅に詰まった内臓はカニミソと呼ばれ、二杯酢で食べたり、和え物に用いる。蟹すき、焼き蟹などは殻ごと用いる。
北海道が主産地で、その名のように全身に短い羽状毛がある。肉量が多く、カニのなかでは可食部が多い。肉、カニミソとも味がよい。空輸された生鮮品も多く出回っている。ゆでて二杯酢で。甲羅焼きなどにも。「カニは食うてもガ二食うな」というが、ガニはカニの足の付け根にある呼吸器のこと。毒ではないが、ごそごそして口当たりが悪く、食用にはならない。
雄が大きく、山陰で「松葉ガニ」、北陸で「越前ガニ」、秋田や新潟では「タラバガニ」ともいう。雌は小さく、甲羅で比べると雄の半分くらいで、福井で「セイコガニ」、石川では「コウバコ」と呼ぶ。雄は脚の肉がカニのなかでも最高の味で、雌はカニミソ、胸の肉、卵が賞味される。卵は成熟につれて、オレンジ色から黒褐色と変わり、味もよくなる。似たものにベニズワイガニがあるが、味はやや劣る。ゆでたものを二杯酢や産杯酢で、カニすきなどにもよい。一般に雄のほうが味がよいが、卵をもつ頃の雌はうま味が増す。カニは鮮度の低下が早いので、ゆでて販売しているものが多い。生は鮮度のよいもの、あるいは冷凍品を。
ワタリガニとも呼び、甲羅はひし形をしている。雌雄の大きさは同じ。胸部の「カニのふんどし」と呼ばれる三角形の部分の幅が広いのが雌で、赤い卵巣が美味。ガザミは胸の肉とカニミソ、卵巣を食用とする。ゆでて二杯酢で食べる。殻ごとぶつ切りにしたものは汁物や揚げ物に。
モクズガニの同属種にシナモクズガニ(チュウゴクモクズガニと書かれる場合もある)がある。中華料理では上海ガニの名前で出されており、中国から大量に輸入され、高値で売られている。中国でも高級品の部類に入る。需要が高いので、中国では大量に増殖して出荷しているが、出荷の季節と量が制限されている。特に、蘇州近郊の「陽澄湖」と「無錫太湖」の蟹が最高といわれている。上海ガニは身も食べますが、何と言ってもうまいのはミソと卵。蒸したものを黒酢につけて食べるのが一般的。シベリア風の寒気が流れ込む10〜11月は、肉がしまり、蟹味噌が蓄積されるめ、蟹の一番おいしいシーズンといわれている。10月は雌のお腹に抱いた卵が、11月は雄のねっとりとした精子が好まれている。
モクズガニは主に関東地方でモクズガニもしくはモクゾウガニ、中部から関西、中国、四国にかけてズガニ、中国、四国、九州でツガニ、九州でヤマタロウ、沖縄でウリガイと呼ばれ、また全国的にカワガニやケガニの名前でも呼ばれている。形態的特徴として目立つのは、はさみ脚に密生している毛で、大型に成長するほど発達しており、雌に比べて雄で発達している。特に甲幅6cm以上の大型の雄になると、はさみ脚の大部分が毛で覆われるようになり、手袋をはめたようになるので、英語でもMitten Crab(手袋ガニ)と呼ばれてる。産卵のため川を下るカニを食べるが、煮付がおいしい。ただ、肺吸虫の中間宿主となることもあるので、殻の中までよく熱を通すことが大切である。
大きい物では足をひろげると全長1.5m、重さ6kg以上にもなる。実はタラバガニはヤドカリの仲間。オホーツク海で獲れ、旬は流氷が溶ける春先、3〜5月頃。発見当初はタラの網に掛かる厄介者で駆除されていたというほどタラ漁場でよく網にかかったことから名付けられたらしい。身が大きいため足1本で結構お腹いっぱいになるはず。弾力のある肉厚の身が特徴。刺身、炭焼きが香ばしくて美味。ゆでてあっさりポン酢もいいが、足に詰まったたっぷりの肉をしゃぶしゃぶや天ぷらにするのもいい。
タラバガニよりずんぐりむっくりしていて、体全体がイガイガのトゲで覆われている。北海道の東部にだけ生息する珍しい蟹で、現在は根室でしか水揚げされることのない非常に貴重な蟹。タラバガニと同様にヤドカリの仲間。北海道の花咲半島周辺で獲れるのでこの名がついたという説と、茹でると花が咲いたように色鮮やかな赤になるため、こう呼ばれるようになったという説がある。濃厚なコクがあり、ブツ切りにして味噌仕立ての鍋料理は鉄砲汁と呼ばれ、道外のカニ通のなかにもファンが多い。
河川の上流域に生息する。平地でも、湧き水のあるところではたまに見られる。流れの穏やかな砂レキや小石の多い場所に多く、石や枯れ葉の下などに生息している。繁殖期は夏で、雌はふ化した稚ガニを1ヶ月近く抱えている。冬は、岩の隙間や大きな石の下などで越冬する。地域によって体色が異なり、甲羅が赤色、褐色、青白色等のものがいる。唐揚げにしたり甘露煮にして利用される。唐揚げはビールのつまみに最高。寄生虫(ウエステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫など)がいるので、生食はしてはいけないと言われている。
エビ類に似ているが、エビ・カニとは別種のトゲエビ上目に分類されている。寿司用語ではシャコ(車庫)をもじって「ガレージ」という。姿は奇妙だが、味はよい。必ず生きているものを購入し、すぐに赤く発色するまで塩ゆでする。殻の取り方は、頭を除き、料理バサミで殻の両側を切って、殻をはずすようにする。ゆでたものを寿司種にしたり、二杯酢、わさびじょうゆで食べる。春から初夏に腹に卵をもったときが味がよい。
イカの体は胴、頭、腕からなり、腕を上にした図が正式のスタイルである。タコと同様、一般には胴を頭と呼んで上にし、頭を顔、腕を足と呼ぶことが多い。よく食べる種類は胴にかたい甲のあるコウイカ(マイカ、モンゴイカなど)、胴の細長いヤリイカ、ケンサキイカ、スルメイカ、小型のホタルイカなどである。コウイカやムラサキイカ(アカイカの一般名)は皮を除いたもの、松笠に包丁目を入れたもの、短冊に切ったものなども出回っている。生を買うときは、外側の皮に透明感と光沢のあるものがよい。スルメイカでは褐色が残っているものが鮮度がよい。さしみ、揚げ物には、胴の薄皮もきれいに除くと歯触りがよく、揚げるときに油のはねがない。加熱すると丸くなる性質があるので、表側に包丁目を入れると唐草、歯車、松笠などの飾りきりができる。さしみ、寿司種のほかに、焼き物、揚げ物、煮物、炒め物、イカ飯などに。新鮮なものの墨は、スパゲティーやイカの墨煮などに用いる。イカにはコレステロールが多いが、同時にタウリンも多いので、血中コレステロールの上昇を防止、動脈硬化を予防する。タウリンはヤリイカ、スルメイカがとくに多い。
| スルメイカ | 日本で最も多く漁獲され消費されているイカ。主産地の北海道では真イカとも呼ばれる。背中に黒い縦の帯が走っているのが特徴。 |
| ケンサキイカ | 外套膜のい先が剣の先のような形をしている。アオリイカと並びイカの王様と呼ばれる。 |
| ヤリイカ | 雄の胴体が槍の穂先のように細長くなり胴長のためこの名で呼ばれる。腕が細く弱々しい。 |
| アオリイカ | イカ類で最も高値で取引され水イカの異名がある。 |
| ホタルイカ | 発光器をもち青白い光を放つ。富山湾の会場観光で有名。 |
| モンゴウイカ | 大型の輸入コウイカ類の総称。 |
| アカイカ | 大型のイカでムラサキイカとも呼ばれる。加工品になることが多い。 |
ヤリイカ
ヤリイカは筋肉中の核酸関連物質の一つであるADPとAMPを多く含むのでスルメイカよりコクがある。胴の長さが30〜40cmで槍のように細長いのが特徴で、肉質は薄くてコリコリしているのがよい。食べ頃は初春で特に1月頃が美味しい。刺身、寿司種として食べるほか、2月には卵巣が大きくなり子持ちイカとして丸ごとゆでたり、煮て食べる。肉の柔らかさと卵の溶けるような食感に人気がある。また、ヤリイカの一夜干しは剣先イカの名でも売られ、スルメイカの一夜干しよりも柔らかく美味しいので人気が高い。この剣先イカは商品名である。
ホタルイカ
胴の長さは6cm位の小型で、頭・胴・足に発光器を持つが、特に目の周辺、第4番目の足の先に大きい発光器を持つのが特徴。特に富山湾での集団行動は有名。3〜6月にかけて、日本海の能登半島を中心としてとれるのが美味しい。5月頃は卵が体内に入り、大変美味しくなる。味はうま味と甘味があって美味しい。鮮度落ちが早いのでパサパサしているうちに食べるほうがよい。柔らかくなったら美味しくない。刺身で食べるときは丸ごと、しょうが醤油かわさび醤油で食べると、肝臓の甘味も一緒に味わえて美味しい。ホタルイカを美味しく食べるコツは、鮮度のよいものかボイルしたものを早めに食べること。
アオリイカ
体形はやや長大な円錐形で腹面が白い。胴の長さは約50cm以上になるものもある。5〜6月頃、内海の港湾に近づいて産卵する。肉ヒレを動かす様子が馬具のあおり(どろよけ)に似ていることからこの名が付いた。アオリイカは肉が厚く、やや硬いが、刺身にすればイカ類の中で一番美味い。アオリイカは甘さと、スルメイカにはない美味しい歯切れが好まれる。アオリイカはスルメイカよりもグリシンが多いので甘味を強く感じる。生きたものはその日のうちに食べると甘味、歯ごたえはよい。次の日には、口中で柔らかさと粘りを感じ、よい食感となる。このときが絶品の味わいとなる。そうしたものは刺身、寿司種となる。足や耳(ヒレ)はかき揚げにするとよい。
コウイカ
雷イカの市場名がある。胴の長さは30cm位になり、胴の中には石灰質の甲がある。体表は全体にシマウマのような黒褐色の波状の縞があり、胴の背部には斑紋がある。コウイカは、ケンサキイカやアオリイカに比べるとベタインは多いが、グリシンが少ないので甘味はやや薄く感じるが、血中コレステロール値を低下させる働きがあるタウリンが多い分、コクがある。
スルメイカ
一般にスルメイカというと、素干しのスルメの原料と考えがちである。しかし、これだけがスルメの原料ではない。ケンサキイカから作るものを“一番スルメ”、スルメイカから作るものを“二番スルメ”と言う。魚屋は生のスルメイカを生イカ、または単にイカと呼ぶ。イカは日本人が一番多く食べる魚介類である。その中でもスルメイカが一番人気がある。醤油を付けて食べるのが日本人の一番好む食べ方である。北海道産のものは、身の締まり、身の厚さ、水分量、甘さの点で人気抜群。暖かい地方でとれるものは、食べても噛みきれないほどに硬い。特に九州産のものは硬くて不人気。ちなみに“イカそうめん”とは東京の人が考えたもので、それが函館に伝わり、函館で本場の食べ方と言われるようになった。秋も深まる頃になるとイカの生殖器が大きくなってくる。その頃の卵はべっこう色でツヤのあるものを、白子(精巣)は白く光沢のあるものを買ってきて煮つけにすると美味い。
漢字に使い分けがあり、生は海胆、塩辛に加工したものは雲丹とかく。かたい殻に多くのトゲをもった動物で、食べる部分は生殖巣(卵黄や精巣)。黄色の濃いのが卵巣で味もよい。小粒の国産もの(北海道、東北、下関が主産地)、さらに小さい韓国産、大粒の外国産(ロサンゼルス、サンフランシスコ、バンクーバーなど)が出回っている。形がはっきりして褐色に変色していないものがよい。生は寿司種やうに丼、酢の物にする。グラタンやウニソースなど洋風料理にも用いられる。加工品には、粒ウニ(塩漬け後調味熟成したウニの塩辛)や練りウニ(粒ウニを練り上げたもの)があり、酒の肴や和え物にする。
ウニは棘皮動物の仲間で、栗の毬のような姿をしていてこの棘と水管で移動したり、身の流れを防いだりする事が出来る。石灰質の固い歯を持っていて好物は海藻で、種類は何でも食べる。ウニ類は世界中の沿岸域から深海域まで約860種類が知られており、日本近海では種類に寄って生息地が異なり、日本全域でウニは漁獲される。先ず、アカウニの分布域は日本固有種で、本州北端から九州までの太平洋沿岸域に分布し、ムラサキウニは本州から九州南端までの沿岸域から、台湾、中国東南部に分布し、エゾバフンウニは福島県以北千島列島南端までの太平洋側、山形県以北から樺太までの日本海側に生息し、これ以外の九州南端までの日本の沿岸に生息するバフンウニは日本固有の種類。その他キタムラサキウニ、シラヒゲウニは太平洋、インド洋に至るまで広範囲に生息する。美味しいと言われているのはアカウニ、ムラサキウニ、バフンウニが上位ランク。産卵期前が最も美味しい旬になり、その時期は種類に寄って違うため、年中漁獲されるがやはり春から初夏が一番の旬。卵巣を食べる魚種としては一番高価で、カラスミ、コノワタと並んで三大珍味に挙げられている。卵巣の塊がしっかりしていて一種の磯の香りがあり、水っぽさがなくて艶のあるものを選ぶのがポイント。黄色やオレンジ色の濃淡は種類や産地で異なるが、茶色がかったものは鮮度が落ちている。栄養価は蛋白質が魚並み、脂肪、エネルギーは青身の魚の6割位と少し少なめ。ミネラルは鉄分、カリュウムが多く、ビタミンもA、B群、Eが大変多く含まれている。食べ方は生でよし、煮てよし、焼いてよしで味は魚卵の中でも大変美味しい部類。生は刺身、鮨種に欠かせない。椀種では青森のいちご煮が有名。
イカと同様、胴(一般に頭という)、頭、腕(一般に足という)からなり、図鑑では腕を上にした姿がかかれている。日本で食用にしているのはマダコ、ミズダコ、テナガダコ、イイダコなどである。「タコ配」の由来は、タコが食べ物がなくなると、自分の腕を食べるというところからきた言葉だが、タコは自分の足を食べても生き延びることはなく、結局は死んでしまう。アミノ酸の一種であるタウリンが多く含まれている。タウリンは血中の中性脂肪や余分のコレステロールを排出し、肝臓や心臓の疾患の改善、血圧の正常化などのはたらきがある。なまダコもゆでダコも鮮度が判別しにくいので、信用のあるよく売れる店のものを求める。生は吸盤が吸い付くようなもの、ゆでたものは黒ずんでないものがよい。ゆでて寿司種、さしみ、酢の物、やわらか煮、タコ飯、おでんなどにする。小型のイイダコは冬から春にかけて飯粒状の卵をもったものが好まれ、煮つけやおでんによい。
円筒形の体で、体表に多くのイボ状の突起があり、見るからに奇妙な形をした棘皮動物である。体色によって赤褐色のアカナマコ(アカコ)、暗青緑色のアオナマコ(アオコ)、黒っぽいクロナマコ(クロコ)とがあり、関西ではとくにアカコを上物とする。肉質は新鮮なものほどしまってコリコリした歯触りで、鮮度が低下するとやわらかくなる。表皮がなめらかで艶があり、イボ状の突起がはっきりしているものを選ぶ。小さめのほうが味がよい。下処理の方法は、両端を切り落として内臓を抜き取り、塩をふりかけて器のなかでよくふり混ぜると身がしまり、ぬめりがとれる。これを軽く洗って5mmぐらいの厚さに切り、三杯酢で食べる。
外皮は皮のようにかたく、赤褐色または褐色で、表面に円錐状または指状の突起が並んだ海産の動物。海底の岩などにい付着している。体形は卵形で、長さ15cm、幅10cmくらいだが、長さが20cmくらいのものもある。外形から「海のパイナップル」とも呼ばれる。内側に燈黄色の肉質の袋があり、この肉質を食用にする。食用にされるのはマボヤ、アカボヤなどだが、ふつうに見られるのはマボヤである。養殖もされている。「ホヤはフジの花の咲く頃から味がのる」といわれ、初夏に味がよくなる。外皮の上部を切り、なかの水を出して二つに割り、袋状の中身を取り出す。内蔵を除き、肉質部を塩水で洗い、さしみ、酢の物、椀種などに。独特の磯香がある。酢の物にはキュウリ、ミョウガなどをあわせると相性がよい。椀種には、白焼きか、かたくり粉をまぶして湯に通したものを。ホヤから出た液汁は、そのまま飲んだり、酢の物に加えたりする。外皮の色が鮮やかなもの、磯の香りの強いものを選ぶ。むき身も色がよく、身のしまったものがよい。
カメの仲間であるが、甲羅は柔らかい皮膚に覆われていて、六角形の模様がない。本州、四国、九州地方の河川、湖沼、クリークにすみ、小魚やエビ、カニ類を食べる。スッポンは2億年も前から、その形をかえることなく地球上に生息し続けている、素晴らしい生命力をもった生き物。 この生命力ゆえに、中国では紀元前の「周」の時代から、日本では1300年ほど前の文武天皇の時代から、貴重な漢方薬として用いられていた記録がある。スッポンの養殖は、明治33年、浜名湖でウナギの養殖を始めた人がスッポンも同時に養殖したのが最初。このスッポンは、「噛みついたら雷が鳴るまで離さない」といった言葉で広く知られている。スッポンの効能としては以下のようなものが挙げられる。必須アミノ酸やビタミン、ミネラルなど豊富に含むため、強精効果がある。血行が良くなり新陳代謝が活発になって、疲労回復を早め、美肌効果があるといわれている。その他、風邪を引きやすい人、低血圧の人、胃腸の弱い人などにも良いとされている。古くから病中、病後の栄養食に利用され、現在でもドリンク剤、カプセル剤等の健康食品の素材として用いられることも多いが、何と言っても、生血、水炊き、雑炊のフルコースが一番だろう。また、エンペラ(甲羅の後部縁辺の軟骨)の湯引き等もおいしい。
中国で1000年以上前から食され、江戸時代初期に日本に輸入、たいへん珍重されたというクラゲ。中国の近海や日本の有明海付近で、6月〜8月頃収穫される。クラゲの中には食用とされるものがいくつかあるが、代表的なものはエチゼンクラゲやビゼンクラゲ。味やにおいがなく、水分を抜いて加工することにより、こりこりとした触感で料理の味になじみやすいことから、中華料理に良く用いられる。
身が赤いのでついた名称。赤色の成分は血色素であるヘモグロビンによるもので鉄分も多く含まれる。身とヒモを食用にする。具のちょうつがいに包丁の背をあて、包丁をねじるようにすると貝がはずれる。二個の貝柱をはずし、ヒモとワタを身からはがすようにしてとり、身の厚みを切り開き、内部のワタを切り取る。さしみ、寿司種、酢の物、甘煮などにする。ヒモとワタも汚れを除き、ヒモは寿司種や酢の物に、ワタは熱湯をくぐらせてわさびじょうゆで食べる。島根県の松江では、小型のものをそのままショウガを加えてしょうゆ味で煮る。
殻の表面に各種の布目状の模様がある。産卵期が5月と10〜11月の2回で、この時期には産地によって中毒を起こすことがあるので注意が必要である。味のよいのは冬から早春。殻つきは海水程度の食塩水につけて砂をはかせてから用いる。殻ごとみそ汁、吸い物、酒蒸し、ワイン蒸しに用いる。加熱しすぎると身がかたくなるので、口が開いたら火をとめる。むき身の料理はつくだ煮、酢みそ和えなどの和え物、かき揚げなどで。缶詰や冷凍品が便利である。スパゲティボンゴレはアサリをソースに加えた料理で、殻つきを用いることが多い。ビタミンB12、鉄分が多く、よい補給源となる。悪性分血によくきく。バカ貝との区分けは「アサリは縦縞と横縞があるが、バカ貝は横縞しかなく表面がツルツルしている」などが有効な情報となる。
”アワビの片思い”という言葉は、アワビの殻が一枚であるところからきたようだが、アワビは口の広い巻き貝で、ごく小さいときには透明なふたをもっている。食用部分は筋肉質の足で、裏から見たときの色から一般に青(クロアワビ)、赤(メカイアワビ、マダカアワビ)と呼ぶ。また、青を雄貝、赤を雌貝などというが、アワビは雌雄同体なのでその区別ではない。夏に味がよくなる。アワビは必ず生きているものを用いること。貝をつついて身を縮ませるかどうか確認する。さしみや水貝(生を角切りにして冷水に氷片とともに浮かべ、わさびじょうゆで食べる夏の料理)、和え物など生で使うには身をたっぷりの塩をふり、たわしなどでよくこすって身をしめ、ぬめりをとる。身をよくしめるとコリコリした歯触りが得られる。バター焼き、塩蒸し、酒蒸しの加熱調理には塩を使わないで軽く洗う。次に木べらなどで身を殻からはずし、ワタをつぶさないように切り落とす。ワタは内部の汚れを洗い、生あるいは熱湯にとおして和え物に用いる。
食用のカタツムリ。フランス料理の素材として有名で、とくにブルゴーニュ地方のブドウ畑で育ったものが最良とされている。エスカルゴの白い卵も珍味として料理材料にされている。身を取り出してブイヨンで煮ておき、バターをニンニク、エシャロット、パセリ、塩、こしょうで調味したエスカルゴバターとともに殻に詰め、オーブンに入れて焼き上げ、あつあつを殻ごと専用のくぼみのある皿にのせて食卓へ出す。専用のエスカルゴばさみで貝をおさえ、細いフォークで身を取り出して食べる。バターソースはパンにつけて食べる。市販品には生のエスカルゴのほかに、殻ごとの冷凍品やゆでた身の缶詰がある。
日本で主に食べているのはマガキの養殖物で一部天然のものがある。世界中で生食する貝として好まれている。イギリスの諺に「Rのつかない月(May,June,July,August)はカキを食べるな」というのがある。これは、カキの産卵期は5〜8月で、この時期は味が落ちることと、気温の高いときには雑菌がつきやすので、カキを食べるのには不適当だからである。例外として、夏に食べるイワガキ(天然物で夏ガキともいう)がある。カキは「海のミルク」と呼ばれるように、エネルギー源のグリコーゲンのほか、鉄、ビタミンB2、タウリンなどが多く、栄養食品である。殻から身を出すには深い殻を下に、ちょうつがいを手前にしてもち、貝の右中央のすき間にナイフを入れ、平たい殻の内側にナイフをすべらせて貝柱を切り、殻をはずす。このときに殻が砕けやすいので、薄い塩水で洗ってかけらを除き、深い殻の貝柱をはずす。むき身は塩水やおろしダイコンを加えた水で手早く洗う。生食には生食用と表示のあるものを。生は酢ガキ、あるいはレモン汁やトマト味のカクテルベースで食べる。加熱調理ではかきフライ、かき飯、雑炊、土手鍋、チャウダー、バター焼きなどに。殻つきの生きたものは、そのまま直火で焼いて食べると最高。日本ではマガキのほかにイタボガキ、ケガキ、スミノエガキ、イワガキなどが比較的知られている。
サザエの殻の色は、食べているエサ(海藻)の種類によって変化する。ワカメ、アラメなどの褐色の海藻ばかりを食べているものは黄色っぽく、テングサやトサカノリなど紅色の海藻も食べるものは緑褐色になる。殻についている角は、波の荒い外海にすむものは立派で大きく、内湾にすむものは角が小さいかまったくない。必ず生きたものを求める。さわったときにふたをかたく閉じ、ふっても音がしないものは生きている。食べ方は壺焼きが主で、身を取り出してさしみ、酢の物、煮物にする。壺焼きは殻をそのまま火にかける方法のほか、身を取り出して薄く切り、シイタケ、ギンナンなどと殻に詰め、調味しただし汁を注ぎ、ふたをして焼く方法がある。身の取りだし方は、ふたと殻のあいだに鉄ベラを素早くさしこみ、ふたに密着している筋肉を切り、指でくるりと回しながら、腸を残さないように引き出す。道具とコツが必要なので、家庭では水を少しさして火にかけ、ふたが開いたら取り出す。
貝殻の模様が布の縮みに似ているところからついた呼び名とされている。全国各地の河口や内湾で海水と淡水がまざる場所にすむヤマトシジミ、川の中流にすむマシジミ、琵琶湖特産の瀬田シジミがある。マシジミは冬に味がよく、寒シジミという。ヤマトシジミは夏に味がよくなるので土用シジミと呼ぶ。肝機能をよくするメチオニン、シスチン、タウリンが多く、ビタミンではB2、B12、あたカルシウムも豊富。昔から「シジミのみそ汁は肝臓にいい」といわれるのはこのためである。みそ汁の代表的な食べ方で、身よりも汁のうま味を味わう。水につけて砂をはかせ、水とともに鍋に入れて加熱する。ショウガ汁を加えると味が引き立つ。殻をはずした身シジミは和え物やつくだ煮にする。
エゾバイの仲間でヒメエゾボラ、エゾボラ、エゾボラモドキなどの通称がある。エゾボラとエゾボラモドキはマツブともいう。ツブは唾液腺にテトラミンという毒を含んでいるので、取り除いてから焼く。この毒は酒に酔ったような状態になり、眠くなるのでツブをネムリツブとも呼ぶ。あらかじめ身を引きだし、唾液腺を除いて殻に戻し、しょうゆをたらして殻ごと焼くのが代表的な食べ方。新鮮なものはさしみや寿司種にもする。その他、塩ゆで、和え物などに。
外見はアワビの小型だが、別の貝。殻の表面にある穴(給水孔)がアワビの4〜5個に対して、トコブシには7〜8個あるのが特徴。また、トコブシには、肉質部(足)の周辺にひだ状の部分がほとんどない。肉質がややかたく、味はアワビに劣るがよい味。身の表面にたっぷりの塩をふって身をしめ、たわしなどでよくこすり、汚れとぬめりを取り除く。身が小さいので、殻つきのまま煮たり、塩蒸しにすることが多い。殻をはずしてつけ焼き、煮物、炒め物に用いる。やわらかく煮るには、長く煮るよりも、一度蒸してから煮たほうが早く煮ることができ、トコブシの風味も残る。
二枚貝の一種だが、むき身として流通することが多く、殻つきを見かけることは少ない。食用にするのは紫黒色をした長い足の部分で、三角形に開いて店頭に並べられている。しこしこした歯触りが特徴で、うま味や香りは少ない。さしみ、寿司種、酢の物にするのが一般的。焼く場合には火を通しすぎるとかたくなる。色が白っぽいものは、鮮度がよくないのでさけたほうがよい。
バイ貝とも呼ぶ巻き貝。茶色の地に淡褐色の模様のあるものが一般的で、黒バイという。富山湾名産の越中バイは殻の色が淡黄褐色で、布目のような白っぽい模様がある。これは白バイとも呼ばれ、味がよい。貝殻はバイごま、卵嚢はウミホオズキとして利用されてきた。身は少しかたいがよい歯ごたえがある。小さいものは、殻ごと塩湯でして食べる。大きいものは身をとりだし、さしみ、酢の物、ぬた、酒蒸し、煮つけに。
ハマグリに似た大きな二枚貝。味はアサリに劣らないが、砂出しができないのが最大の弱点となり、毛嫌いされている。むき身は朱色で、東京近郊ではアオヤギという。食用にするのはむき身と貝柱で、殻ごと出回ることは少ない。貝柱はホタテ貝やタイラギのものに比べて小さいので、小柱と呼ばれる。バカ貝の貝柱は一個の殻に大小の二個あり、味がよいので大小に分けて出荷される。むき身を干したものはサクラガイ、足の部分を細く引き伸ばしたものはヒメガイという。むき身は酢の物、寿司種などに。貝柱は大きいものはさしみ、寿司種にできる。小型の貝柱はかき揚げによい。
殻が美しく、いろいろな模様があるため、古くは「貝あわせ」という遊びに用いた。また、二枚の貝のかみあわせが一個のずつ異なり、他の殻とはあわないことから、仲のよい夫婦の象徴とされ、婚礼料理のメニューにのぼる。殻の表面にツヤがあり、溝のないもの、貝と貝をうちあわせて、澄んだ音のするものがよい。うしお汁、酒蒸し、焼きハマグリ、クラムチャウダーに。クラムチュウダーはスープの一種で、牛乳を用いたものをニューイングランドスタイル、トマト味をマンハッタンスタイルという。むき身は寿司種、ハマグリ飯、和え物、グラタンなどに。ビタミンB2、鉄が多い。
扇形の大きな二枚貝で、深いほうの殻は、貝焼きの器(大きいものは焼き鍋)にしたり、柄をつけてスプーンとして、また、盛りつけ用の器に利用する。貝殻で焼いたり、貝殻に盛りつけた洋風料理はコキールと呼ばれる。秋田県の郷土料理「しょっつる貝焼き」は、大きなホタテガイの貝殻に魚や豆腐、野菜などを入れて煮るものである。食用部分は、大きな貝柱と周辺のヒモ、それに肝。殻ごと手に入れたときは、殻つきのまま直火で焼いたり、鍋物にする。貝柱を取り出すときは、二枚の殻のすき間からナイフを入れ、浅いほうの殻の内側に沿ってすべらせ、貝柱をはずし、殻をとる。次に、深いほうの殻の内側にナイフを入れて貝柱をくずさないようにていねいにはずし、ワタ、ヒモ、肝を取り除く。貝柱はさしみ、ソテー、てんぷらなどに。ヒモも味がよいので、ぶつ切りにしてわさびじょうゆで食べる。肝とともに煮つけにもする。貝柱として売っているものには、ホタテガイとタイラギ(平貝ともいう)がある。タイラギの貝柱は、上部からみるとソラマメ型(ホタテガイのは円形)で、ホタテガイの貝柱より身がかたく、甘味が少ない。
二枚貝の一種で、太くて長い水管がいつも飛びだしている。この水管が主な食用部分。水管の出ているところからナイフを入れて殻をこじあけ、貝柱を切り離して身を取り出す。内臓を取り除き、水管、柱、足に切り分ける。水管は塩もみ、あるいは熱湯にさっと通して外側の黒褐色の皮を手でむきとる。熱湯を通すと皮がとりやすく、肉の色がオレンジ色になる。水管をたてに切り開いて内側を洗い、端の黒い部分を切り取る。食べ方は寿司種、さしみ、酢の物、和え物に。選ぶときは、水管がかたくて傷がないものを。さわるとよく縮むものは鮮度がよい。
正式名はムラサキガイ。殻は黒青色で長い卵形。身の色は赤身をおびたオレンジ色と肌色の二種。ふつう、貝類は加熱するとかたくなるが、ムール貝は加熱しても身がやわらかく味もよい。外殻をよく洗って汚れを除くことが大切。岩などにくっついているので砂は少ない。殻つきのままワイン蒸し、スープに。スペインの炊き込みご飯である魚介類を主材料としたパエリアや、フランスの漁火のスープであるブイヤベースに欠かせない材料である。
冬に流通する養殖 "マガキ" とは種類が異なり、イワガキ(岩牡蠣)は夏に水揚げされる天然もの。陸奥湾や日本海側の深海で採られている大型のカキで、低潮線より下の岩礁に着生している。殻は褐色で、長楕円形、殻質堅牢で厚い。内面は白色。靭帯の両側に刻みが無い。いろんな海草や付着生物が付着していて一見、岩と区別しにくい。 その大きさは、25cmに達する。夏に美味しいので「ナツガキ」とも言われる。老貝は殻が重厚で、靴に似ている事から「クツガキ」とも称されている。
北海道南部から中国までの砂泥地の浅海に棲息するサザエに似た大きな巻き貝で、殻の内側が赤いのが特徴。潮干狩りなどでも時に採れることがある。初夏から盛夏にかけてが旬。刺身にするのが一番で、寿司種としても使われる。
殻長15センチほどになる。細長く、全体に薄い茶色をしている。干潮時に干潟のマテ貝の穴に塩を振り込むと飛び出してくる。焼く、ゆでる、煮つけ、佃煮、酢の物などして食する。
アオノリを乾燥してあぶり、粉状にしたもの。アオサという海藻を用いたものもある。美しい緑色と香り、それにピリッとした辛味がある。開封後は色や香りが悪くなるので、少量ずつ求め、密封して湿気をさけて保管する。体内でビタミンAになるカロチン、鉄、カルシウムが豊富。お好み焼き、にぎり飯やごはんのふりかけに。また、トロロ汁にかけたり薬味に用いる。
コンブが料理のダシとして用いられるようになったのは、鎌倉時代の頃からで、それまでは野菜のように煮物、揚げ物などに調理したり、結びコンブなどに加工して、茶菓子として食べる素材であった。コンブはカルシウム、カリウム、鉄、ヨウ素などの無機質や食物繊維が豊富で、血圧を下げるなどの生理作用もあり、健康食品として注目されている。コンブは種類によって用途が異なる。コンブのうま味成分はグルタミン酸で、ダシ用にはマコンブ、ラウスコンブが上質で、リシリコンブなども適する。肉厚で、根に近い部分のほうがよいダシがとれる。ダシをとるコツは、コンブを洗わずに表面のホコリだけ除き、そのまま水にひたし、沸騰する前に取り出す。沸騰させると粘りが出て、磯臭くなる。つくだ煮やコンブ巻き、煮物などの料理材料には、身のやわらかいミツイシコンブ(ヒダカコンブ)が適している。酢を少量加えて煮ると早くやわらかくなる。コンブの表面についている白い粉は、マンニットといい、甘味成分で取り除く必要はない。酢をふりかけて布巾で包み、しなやかにして細く切り、カゴなどに編み上げて油で唐揚げすると、食べられる容器として料理に使える。
正式名はアマノリで、アサクサノリはその一種。養殖の代表種はアサクサノリだが、近年になって、スサビノリ、ウップルイノリ、オオバアサクサノリなども利用されている。「浅草のり」の起源は、東京の浅草一帯が海に近かった頃、浅草川(現代の隅田川)の河口でノリがとれたからとか、浅草で干しノリを製造したからとか、干し海苔の製法を浅草紙からヒントを得たからなどの諸説がある。海藻のなかでもとくに体内でビタミンAになるカロチンが多い。干し海苔、焼き海苔、味付け海苔のほか、焼き海苔を細かく刻んだ刻み海苔がある。つくだ煮は別種の海藻のヒトエグサが原料。干し海苔は黒くツヤのあるもの、焼き海苔は濃い緑色のものがよい。干し海苔は二枚重ね、火をなでるようにして手早くあぶると香りが出て歯触りがよくなる。焼き海苔も使う前に軽くあぶると風味がよくなる。巻き寿司、にぎり飯のほか、てんぷら、茶漬け、ヤマノイモやホウレンソウの磯巻きなどに用いる。
春に繁るやわやかい部分を採取し、煮るか蒸すかして加熱したあと乾燥したもの。芽ヒジキは、ヒジキの葉の部分を用いたもので短い。一方、長ヒジキは茎にあたる部分で、長いものでは30cmほどにもなる。黒くツヤがあり、ふっくらしたものが上質。30分〜1時間水かぬるま湯でもどし、水気をきって用いる。もどすと元の6〜7倍の重量になる。芽ヒジキは和え物、サラダ、煮物、混ぜご飯などに。長ヒジキは煮物や巻き寿司などに適している。和え物やサラダには熱湯でゆでて用いる。調味液をよく含むので、味付けはやや薄味に。油との相性がよいので、炒め物にしたり、油揚げや豚肉とあわせるとよい。100g当たりで比べると、海藻中でカルシウム含量が一番多い。鉄、食物繊維もたいへん多く健康的な食品である。
糸状の海藻で他の海藻について生育するところから「藻付く」とか「藻屑」と呼ばれた。表面にぬめりがあり、歯ごたえがよい。市販品には塩漬けモズクと調味酢につけた味付けモズクとがある。塩漬けモズクは水にひたして塩分を除いてから用いる。甘酢や三杯酢で酢の物にし、針ショウガを添える。ウズラの生卵を落とすと口当たりがさらになめらかになる。味付けモズクは比較的味が濃いので、レモン汁などでうすめたり野菜を添えるとよい。塩抜きしたものは、すまし汁やみそ汁、雑炊の具にもよい。加熱するときは煮立てたなかに入れ、緑色になったところですぐに火をとめるのが色や風味をよくするコツ。
海藻のなかでもとくに利用範囲の広いもので、若布、若女に通じるところから若返りや縁起のよい食べ物とされてきた。養殖がほとんどだが、三陸、北海道、佐渡、房州、伊豆、鳴門、島根などの天然物もある。養殖は近海でロープを使って行い、成長したものから刈り取って出される。生では保存性がないので塩蔵ワカメと乾燥ワカメに加工する。生ワカメとして春に出回るものは、本当の生のワカメと、塩蔵ワカメをもどしたものがある。緑色の鮮やかなものはもどした場合が多い。塩蔵ワカメは塩分が多いので水にひたして塩抜きをする。乾燥ワカメは水でもどして使うが、元の約10倍にふくらむので、必要量を考えてもどす。みそ汁などに直接加えて使えるカットワカメは、湯通し後塩蔵したワカメを裁断し、塩抜き、乾燥したもので、酢の物、和え物、サラダなどには水または湯でもどしてから用いるとやわらかい。タケノコと相性がよく、新タケノコを新ワカメと煮たものは若竹煮、汁物は若竹汁と呼ばれ、春の料理として喜ばれる。口当たりのよい食物繊維品である。
メカブは、成長したワカメの茎下にあるヒダヒダ状の部分で、ワカメの繁殖を担う部分のため、栄養分が凝縮されている。食物繊維のアルギン酸やフコイダンを多く含んでいる。更にワカメの葉の部分に比べミネラルやビタミンなど高い栄養分を含んでいる。歯ごたえがあり、粘りが強く、スライス又はミンチにして食すると美味であり、珍味として重宝されている。