支那そばや

「そうだ、支那そばやへ行こう」、私がこう思い始めたのは、もちろんあの出来事がきっかけです。今までラー博のお店には行ったことがあったのですが、藤沢には縁がありませんでした。そこで、もはやラーメン好きなら一度は行かねば的存在になっているこの店に行って来ました。

電車で最も近いのは、小田急江ノ島線の本鵠沼駅。改札を出たら右に進みセブンイレブンを見つけましょう。そのセブンイレブンのすぐ左側の細い道に入り、グイグイ進みます。5分ほど歩いたところで信号が出てきますので、左に向きを変えて進みます。どんどん進んで、途中ツタヤとかを過ぎても真っ直ぐ進んで、結局駅から12分、ようやく到着です。開店している時間帯なら、行列ができていることが目印です。しっかし、このルートは本当に遠い。後で気がついたのですが、藤沢駅からバスが出ていました。北口4番のりばから鵠沼車庫前行きのバスに乗り、藤原で下車すればすぐですので、こっちがいいかも。ただ、バスから降りるときに必ず、行列している人から注目の的になりますけど。

ちょうどお昼時ということもあって、店の前には長蛇の列。並んでいると、前のおばさま連中がおしゃべり中、「テレビに出てるあのコワい人、いないみたいよ」、佐野さんのことでしょう。やはりテレビ、ガチンコの影響は大きいようです。いつもコワい鬼のような人というイメージが視聴者には植え付けられるのでしょうが、実際の佐野さんはコワいのではなく、厳しさを持った人だということが視聴者には伝わっていない、そりゃしょうがないかと思うのと同時に残念でした。ちなみに佐野さんはラー博のお店にいらっしゃるらしいです。さらにおばさま連中、「こんなに並んでまでラーメン食べるってのも、ヘンな話よねぇ」。私に言わせれば、何ヶ月も先のフルコース料理を予約することも、その日に並んでラーメン食べることも、どちらも美味を待つという意味では同じです。本当に美味なラーメンを知らないがために起こるラーメン差別です。・・・と怒りを心に秘めたまま並ぶこと約1時間、店内に入りました。有名な話ですが、この藤沢の支那そばやには、子供や香水をつけた人は入店お断り、店内での携帯電話使用禁止という掟があります。すべてはラーメンのための掟です。「何で?」と思うのなら、ここに行ってはなりません。ラーメンの作り手、食べ手それぞれの気持ちとラーメンの味について考えてみてください。まぁ、普通にラーメンに集中して食べればいいのですから、肩の力を抜いて行ってくださいね。緊張してると美味を感じられなくなりますから。

メニューはラーメン(780円)、ワンタンメン(930円)、チャーシューメン(980円)はそれぞれ醤油味と塩味があります。その他にもいろいろと限定メニューがあるのですが、その代表格なのが金華豚チャーシューメン(1500円)で、日曜日限定10食だけのメニューです。金華豚のチャーシューといえば、あの時の禁断のラーメンにも入っていました。あの美味さを思い出し、改めて感動してしまいました。新横浜ラーメン博物館の店にある絹腰和伊麺などのメニューは、こっちにはありません。
私の注文はチャーシューメン醤油味。名古屋コーチンをベースに旨みを凝縮させたスープは、やはり絶品。あっさりしているのは当たり前、旨みがとんがっていないまろやかさがあり、広がりのあるアツアツ美味スープです。「食材の鬼」という言葉で修飾されることが多い佐野さん、その名にふさわしく、麺も肉もさすがの美味。特に麺はただコシが強いだけでなく、噛むというより飲みたくなってしまうような麺です。実際、この麺は日本代表クラスのさぬきうどんにも負けずとも劣らない喉ごしを持っていました。美味です、本当に美味です。それぞれの味、さらにバランスや一体感、ラーメンにおける「おいしさのツボ」を全て兼ね備えた、これぞ本物の美味だと言えるでしょう。
しかし、私には新たなる苦悩が。どうしてもあの時のラーメンの味が頭をよぎるのです。支那そばやの味も、あの時の味も、どちらも同じ佐野さんが作り出したのですから、やはりどこか似た部分があり、そのため自分の中で2杯を比べてしまうのです。その結果、あの時と同じレベルと感じたのはメンマだけ、スープも麺も具も全て、あの時の方がおいしかったなぁという思いが頭の中に浮かんでしまうのです。まるで、1億円のダイヤを見た後に100万円のダイヤの輝きを見ても「きれい」とは思えない、そんな状態でした。ただ、あの味と比べず、普通に食したとすると、これは文句なしに美味だということは間違いなしでしょう。

都心からは少々遠い立地なのですが、1度は行ってみることをお勧めします。この1杯に込められた佐野さんの魂を感じてください。ラーメンに全てを懸けるがうえの厳しさが伝わってくる、ラーメンが語りかけてくるような1杯を感じることで、食べ手として一皮むけることができるのだと思います。 ラーメン屋さんで食べるラーメンとしては、私の中のランキングで首位を独走しています。「おいしい」「うまい」という言葉よりも、「美味」という言葉が最もふさわしいと思わせるラーメン、感動の味です。

 

支那そばや  しなそばや
 11時〜14時30分頃(15時? スープ終了まで)  火曜定休
  行列率・・・高

美味美味 ☆☆☆☆☆