東亜食堂(六甲店)
中華料理屋で出てくるラーメンは、美味なことは美味なのに個性がなくインパクトに欠けることが多いのは事実でしょう。その中で本当においしいと思えるような味を出す店は珍しいのかも知れません。神戸には数多くの中華料理店がありますが、その中でもラーメンに置いてはトップレベルと思えるような店がありました。「東亜食堂」という店です。
JR六甲道駅を出たら東に進み、ガード下をくぐって南にちょっとだけ進み、大西カメラと三和銀行仮店舗の間の筋を東に入ると、廣東料理の店、東亜食堂六甲店があるのです(他に何店があるのかは不明)。車なら国道2号線の桜口交差点を北に曲がり、JRの高架の50mほど手前、大西カメラの角を右に折れてすぐです。路上駐車はちょっと厳しい場所なので(警察チェック多)、近くにあるJモールの駐車場などを使うといいかも。阪神新在家駅から真っ直ぐ北に歩いて5〜6分でも行けます。
メニューは中華料理屋そのものといったメニューがズラリ。ラーメン系もラーメン(500円)を軸に五目汁そば(700円)など多数揃っています。チャーハン(600円)はありますが、餃子は見当たりません。
まずは基本のラーメンから。中華料理屋では醤油ベースが多いのですが、ここのは塩です。口当たりが軽くあっさりしている中に、上品さを醸し出しているという美味なスープ。程良い濃さの味付けも好感が持てます。麺のコシもしっかりしており、そこらへんの中華料理屋によくあるやわらか麺とはひと味違います。少し甘みがある麺が澄み切ったスープに泳ぐ姿は、幻想的です。そしてチャーシューと言うよりも肉片と表現した方が相応しいような肉が入っているのですが、見た目以上に軟らかく、噛むたびに味がジワ〜っと広がる美味肉。さらにチンゲンサイの食感もいいアクセントになっています。
パワーよりもテクニックで魅了してくれるラーメンは、スープ、麺、具のそれぞれ単独勝負でも、またバランス勝負でも頂点をねらえるだけの実力を持っています。ドンブリの中で生み出される神秘のハーモニーは「ラーメン界のウィーン少年合唱団」と呼びたくなるほどです。食べ終わったときに「まだ食べたい」という気持ちになるというのは、あの時のラーメンと同じ。美味の証です。
ラーメンの美味を堪能した数日後のこと、別メニューを味わいました。注文したのは本当にたくさんのラーメン系メニューの中で、普通のラーメン以外で最も興味を引かれた一品、それが牛タン入り汁そば(800円)でした。チャーシューの代わりに牛タン6枚とタレがかけられたラーメンです。ほのかに甘いタレはとろみがあるので、命のスープと完全に混ざり合うことなく、スープの美味を崩すことはありません。しかしスープとの相性はよいので、がんばって混ぜて飲んでみる価値はあります。違った味を楽しめますよ。ただしスープが少なくなってタレの割合が増すと、重くなってしまうので注意しましょう。そしてメインの牛タン、一瞬驚くほどの美味です。極上の軟らかさで最初の衝撃、そして甘いタレにも負けないタン自体の美味で追加衝撃。これほどのタンなら、単品でも高い評価を受けるはずです。それがラーメンの上に贅沢にも6枚ズラッと乗っかっているのです。ラーメンもさぞかし嬉しいことでしょう。まるで「ラーメン界のウィーン少年合唱団」を「ラーメン界のウィーンフィルハーモニー管弦楽団」が最高の音色でバックアップして、今までにない感動を与えてくれているようなものです。この味で800円は安すぎます。ホテルとかの高級中華料理店なら1500円、いや2000円ぐらいしても不思議ではないでしょう。
ここはラーメニストだけでなく、中華料理大好きグルメ人に味わってみてもらいたいです。ラーメン屋として紹介する店でないのは十分承知ですが、美味なラーメンを味わえるということに細かい区別はいりません。文句なしです。
東亜食堂 とうあしょくどう
11時頃〜21時頃 火曜定休
行列率・・・中低
美味美味 ☆☆☆☆☆