商人

ラーメン屋さんという仕事も立派な商売です。ただ美味を追い求めるだけでは商売は成立しません。美味なラーメンを提供しつつ、経営もしっかりできる店のみが有名店としてラーメン戦争を勝ち抜いていけるのです。ラーメン職人は商人としてのセンスも必要なのです。岡山にその手本となるような店があります。その名も「商人」。ちなみに「しょうにん」ではなく「あきんど」と読む店です。

市内電車の清輝橋を出たところの交差点、その南西の角に立地しています。岡山駅から歩くと、25分ぐらいです。

メニューは中華そば(600円)と角煮とろろそば(800円)のみ。少数精鋭でがんばっている店です。経営者の側から言えば、メニューを増やして客層を広げることもできると思うのですが、メニューを少なくすることで効率をよくするという判断もできるでしょう。またラーメン職人として味に絶対的な自信があるからこそ、このように少ないメニューで勝負できるという側面もありますね。

とりあえず、両方を注文してみました(1人ではなく2人で行ったので)。混んでいたこともあり多少時間がかかりましたが、待っている間も店内に漂う醤油の香りが私を戦闘態勢へと変身させるのです。まずは普通の中華そばから。なめらかな舌触りのスープは、口当たりこそこってりした感じがしますが、飲むと意外にあっさりしています。香ばしい岡山風中華そばの流れを汲みながら、しかし全身に広がっていく深みある味は、他のラーメンと比べるのも失礼なほど。上品な甘みのあるスープ、美味で美味で参ってしまいそうです。麺もコシ、歯応え、喉ごしともに魅力的。チャーシューも軟らかく、いい味です。そして、角煮とろろそばの方は、チャーシューの代わりに角煮がドカンと入っています。この角煮、もうムチャクチャうまいんです。トロトロであってほしい部分は極上のトロトロ具合に、ジューシーに噛みしめたい部分は旨味満載、文句のつけようがありません。さらにとろろが入ることで、スープ全体がまったりとし、麺との絡み具合も更に高まり、全体的にかなりのプラス効果をもたらしてくれます。

「商人」は商売もラーメンも手を抜いていません。究極の域にまで達したラーメン、試してみる価値は大いにあります。記憶に残る一杯は、岡山中華そばのイメージさえも覆してしまう可能性もあるでしょう。それほどズバ抜けて特徴的かつ美味でした。”おいしいラーメンで勝負できれば、メニューが少なくてもラーメン商売は成り立つ”という理論を証明しているこの店、まさに名実共に「商人」だと言えます。

 

商人  あきんど
 11時30分〜14時30分・17時〜20時30分  日・祝定休
  行列率・・・中

美味美味 ☆☆☆☆☆