朱華園


「ご当地ラーメン」という言葉が市民権を得た現在では、尾道ラーメンもかなり有名になってきています。平打ち麺と背脂ミンチ、そして濃口醤油スープに小魚ダシというのが、いわゆるオーソドックスな尾道スタイル。そんな尾道ラーメンの中で、いえ、正確には尾道のラーメン屋さんの中でダントツの人気を誇る超名店といえば「朱華園」の右に出るものはありません。

JR尾道駅から、線路の南側を沿うように走る国道2号線を西方向へと進み、長江口交差点を南(市役所方面)に曲がります。すぐ右側に朱華園があります。休日の昼間なら行列ができていることが多いので、それも目印になるはずです。駅から歩いて15分ほどでしょうか。車の場合、お店の駐車場もあることはありますが、台数が少ないので、近くの市役所横の市営駐車場を利用するのが便利です。

この店は先払いシステム。中華そば(460円)、叉焼麺(710円)、焼そば(710円)、ワンタン(460円)、焼餃子(460円)というメニュー。中華そばの持ち帰りも可能、先に注文しておきましょう。

先に言っておきます。朱華園の中華そばは尾道ラーメンではないのです。鶏ガラベースの透き通った醤油スープ、大きめの背脂のインパクトが強い見た目からは、どこから見ても一般的尾道ラーメン。しかし、朱華園のラーメンには小魚が使われていないのです。小魚のダシを使うというアイデアは、尾道ラーメンを全国に売り出す計画の中で瀬戸内らしさを表現するために用いられたものなんだそうです。ということで、朱華園は厳密に言えば尾道ラーメンではないのです。しかし、尾道のラーメンに対する評価を高めた最大の功労者であることに間違いはありません。とにかく食べた瞬間に美味だと分かるラーメンなのです。その衝撃は計り知れません。見た目に背脂のインパクトが強いため、こってりしているように感じられますが、見た目よりあっさりしていて食べやすいのも、さすがと言うほかありません。スープを口に含む、飲む、後味を感じるという一連の動作の全てにおいて美味を楽しむことができる、超一流の美味スープなのです。麺は驚くほどスープを絡め取る平麺。ツルツルした食感は自家製麺ならではの美味です。チャーシューは朱華園では完全に脇役扱い。ここでの具の主役は背脂なのです。大きめで丸っこい背脂は、箸でつまんでも潰れることはありませんが、背脂を舌の上に乗せて口の上部に押しあててみると、素敵な美味を放出しながらプニッと潰れてしまうのです。背脂のおいしさとやわらかさでは、おそらく全国一だと思います。ちなみに、焼餃子もなかなか美味、焼き加減が絶妙でした。

さらに、地元の人に人気があるという焼そばも侮れない美味。朱華園が誇る平麺のスゴさを体感するには中華そばよりも焼そばでしょう。塩味が程良く効いており、チャーシューのブツ切りなど具も大満足。テーブルに焼そばソースも置いてありますが、私はデフォルトのほうが美味に思えました。こちらも必ず試してもらいたい一品です。

全てで「美味」と表現するしかないほど完成度の高い一杯です。もはやこの味は尾道の宝だと言えるでしょう。絶対的な強さは全盛期のカール・ルイスを髣髴とさせます。ただ唯一の弱点とも言えるのが、味のばらつきが大きく、昼の味と夜の味が若干違うこと。夜の方が味が薄いように感じます。それでも美味には違いないというのが朱華園のすごいところ。私の中では、尾道のラーメンは朱華園以外にあり得ないと考えています。当分の間、尾道のラーメン界の王者という地位は揺るぎそうにありません。幸せになれる一杯でした。


朱華園  しゅうかえん
 11時〜20時(麺の売り切れまで)  木曜、第3水曜定休
  行列率・・・高(2002.1)

美味美味 ☆☆☆☆☆