康竜

10年前と比べて、ラーメン屋さんもずいぶんおしゃれな店構えなところが増えています。最近目立つのが「木」という素材感を全面に出したスタイル。これはもうラーメン屋の新定番となっていますね。他にもラー博のようなレトロ調も多いです。また、一見するとカフェのようなラーメン屋さんも都市部には目立ちます。ただ、赤や黄色のテントと赤提灯という王道スタイルの店の絶対数がダントツで多いことは間違いありません。これから紹介する店は、外観は王道スタイルですが、店内は全くオリジナルな構造になっているという、全国的にも珍しいお店、その名も「康竜」です。

渋谷の道玄坂に向かいましょう。109の横にある吉野家とEXCELSIOR CAFEの間の筋を入っていくと、ラーメンと書かれた看板に気付くはず。その看板の近くの細い路地を右に入っていくと、突き当たりにラーメンと書かれた赤提灯が目にはいるはずです。

店内にはいると、そこはラーメン屋と言うよりも、占い屋のような光景が広がっているのです。普通、テーブルがあってイスがならんでいるものなんですが、この店のテーブルには仕切り板がついています。つまり、個室とまではいかないまでも、ラーメンを食べるためには孤独にならざるを得ないのです。近所付き合いのない東京のマンションで一人暮らしをする時の雰囲気を体験しているような気になります。店内は店員さんの声が響き、決してシーンとはしていのですが、客の会話はほとんど聞こえません。私のように一人気ままにラーメン求めて旅をするラーメニストにとっては別に支障はないのですが、友達同士やカップルで行くには少しむかない造りなのかも知れません。この店内構造を「おもしろい」と捉えるか、それとも「常識はずれでダメだ」と捉えるか、それは人それぞれでしょうね。

その一人用の席に着くと、テーブルの上には注文票と鉛筆が置いてあります。この店では自分でオーダーを表に書き込んで注文するシステムになっています。基本はとんこつラーメン(700円、煮玉子付きは750円)です。注目すべきは、こってりかあっさりかはもちろんのこと、味の濃さ、辛子味噌の量、麺の硬さ、海苔やチャーシューの枚数まで、かなり細かく設定できます。その設定を注文票の該当欄にマル印をつけて注文するのです。しかも、どんな設定であっても料金は同じ。つまりチャーシューなしでもチャーシュー4枚でも料金は同じなのです。とりあえず初めてだった私は、すべて注文票の真ん中の数字、油量普通、濃さ普通、硬さ普通というように設定してみました。
味は本格的なとんこつラーメン。臭みはなくなっていますが、ここのスープ、相当な美味でした。思わずうなり声が出てしまうほど、旨味が凝縮されたスープの深みが非常にすばらしかったです。正統派とんこつなので麺は細麺をつかっているのですが、細麺自体を美味と感じることができたのは久々でした。またチャーシューも一つ一つは小さいのですが、これまた美味なのです。そして何よりもこの店自慢の辛子味噌が美味の陰の演出者になっていたのです。スープの味を一気に口いっぱい広がっていくようにパワーアップさせてくれるのです。スープ、麺、具、それぞれのパートで美味を作り出し、そのバランスも決して壊していない、これほど本格的なとんこつを東京で食らうことができるなんて、考えてもいませんでした。ちなみに私は煮玉子付きを注文していたのですが、この煮玉子は普通の固ゆで玉子でした。

細かい設定を自分ですると言うことに面倒臭さを感じる人もいるでしょうが、これも美味のためだと思って注文してください。ここは何度も行く内に自分の好みもわかってくるでしょうから、自分の好みをはっきり確認するチェック機関として行ってみるのも良いでしょうね。ただ普通でも十分すぎるほど高いレベルのラーメンを供給してくれました。あの店内構造はいいのか悪いのか迷うところですが、味は美味です。逆に言えば、美味なラーメンに自信があるからこそ、あのような店内構造にすることができたのかも。関東の醤油ラーメンに飽きた時は、ここをお勧めします。

ちなみに、渋谷以外にも新宿東口、中目黒にもお店があるそうです。公式ホームページはこちら。

 

康竜  こうりゅう
 11時〜24時  年中無休
  行列率・・・中低?

美味美味 ☆☆☆☆☆