思い出行きの馬車      美璃



泣きながらいつしか眠りに落ちると

そこは誰もいない古びた駅

待っているのは不思議な馬車


「お乗りになりませんか?

思い出の場所にお連れいたします

そんな声が聞こえて私はその馬車に乗る


あの日のあの場所に向かって

ゆっくりと馬車が進んでいく

やがて目にするのは懐かしい光景


あなたが昔の姿のまま

「おかえり」って言って

微笑みながら手を差し伸べてくれる

きらきらした光と木陰の涼風

周りには一面のバーベナテネラ


優しく寄り添ってくれるあなた

やわらかな至福を感じる

このまま夜が私の息を

持ち去ったとしても

きっと私は後悔しなかったろうに…




Copyright(C)2004 Anne Milly All Rights Reserved