2001年4月の書棚

今月は小説が少ないなあ(笑)

ホーム 応接室 図書室TOP 最新の日記 NEW!掲示板 どこでもドア おもちゃ箱 記念碑の部屋


『チーズはどこへ消えた?』

Spencer Johnson, M. D. 門田美鈴訳 扶桑社

世界のベストセラーと銘打った本書の主張は、ポジティブシンキングや、 発想の転換の重要性をうたった従来の自己啓発本となんら変わるところはないが、 しかし、寓話のような物語形式で書かれているので、読み物としては、比較的面白い。 しかも、30分もあれば、読めてしまうのが、ありがたい。
物語のエッセンスは、チーズ=「幸せ」がなにかわかっている人には、 それを手に入れるためのHOW TOになっているけれども、 チーズがなんだかわからない人にとっては、ちょっと飛躍しているように感じる。 それは、最低限生きていくのに必要なものと、至極の幸せを同レベルに扱っているからかもしれない。
私は、いま、動物として生きていくための要素については、満たされているけれども、 精神活動を行う人間としては、決して満たされているとは思えないのだが、 それを満たしてくれるチーズがなんなのかが、判らないから困っているわけで、 よいチーズとわるいチーズの区別の方法も知りたいところである。


『ヒロインは、なぜ殺されるのか』

田嶋陽子 講談社+α文庫

これは、田嶋センセのエッセイであり、映画評であり、フェミニズム論の本でもある。 著者があとがきで、「自分でこの本が大好き」と書いているが、 書くプロセスを楽しんでいる様子が、読者にも伝わってきて、 かなりボリュームがあるにも関わらず、一気に読んでしまった。 紹介されている映画は有名なものばかりらしいのだが、残念ながら、 私は10本のうち1本しか見たことがなかったが、それでも、十分に楽しめる一冊だ。
私が見たことがあった一本とは、「ベティーブルー」。
この映画は、凄惨な暴力シーン(目玉をえぐるとか)と、吐き気がするようなセックスシーン (ぼかしが多いっちゅーねん!)が多く、本来なら私が大の苦手系の映画なのだ。 しかし、どういうわけだか、妙に印象に残って、でもわけがわからなくて、繰り返して何回か観たのだが、 やっぱり、わけがわからない。
というわけで、この映画について、田嶋センセの見解が読んでみたくて買ったのだが、読んでみたら目からウロコ。 私が一番わけがわからないと感じたヒロインの暴力と自己破壊の過程については、 「女性」という性が、社会から運命づけられている抑圧によって、 表現できない才能という行き場のないエネルギーを爆発させただけと一刀両断。 細かい台詞や、象徴的なシーンについて、実に細かく分析してあり、それでいて、 今までに、私が読んだこの映画について書かれたどの評論よりも単純明快。うーん、なるほど。
女性であることに行き詰まった女性たちに読んで欲しいのはもちろん、 男性にも是非読んでもらいたいところだが、「理知的」な男性諸氏に、この世界を 「腹から感じる」ことができるかどうかは、保証しかねます。


『リクルートのナレッジマネジメント』

リクルート・ナレッジマネジメントグループ 日経BP社

  タイトルに『ナレッジマネジメント』と書かれている本には、ここのところかなり食傷気味の私でも、 楽しめた一冊。
リクルートといえば、大学4年のとき、リクルート本体も含め、いくつかのグループ会社から 内定をもらったのだが、当時はリクルート事件の余波で企業イメージが悪すぎて、 親から猛反対をくらって内定を蹴った。今となっては、このナレッジマネジメントの渦中に いられた可能性があるのかと思うと、ちょっと残念(笑)。
プロジェクトに携わった人々の話を中心とした事実の記述で進んで行く本書は、 ナレッジマネジメントの真骨頂ともいえるいくつかのエッセンスがそこらじゅうに ちりばめられており、感動させられる。どれくらい感動できるかは、読者の力量にかかっている ともいえる。
余談だが、最後の章を書いている野田さんの文章も興味深い。講演などの時と同じ軽快な口調が、 個人的にはかなりツボにはまったのだが・・・


『iモード事件』

松永真理 角川書店

修士の時の同級生が、ジェンダーの研究をしている私に、「松永真理本読んでみてよ〜」と 薦めてくれたのをふと思い出し、買ってみた (ってゆーか、言われたときすぐ読めよ、あたし(笑))。
ちなみに、私は今のところiモードユーザーではない。つまり、なにがそんなにすごくて、 世間で流行っているのか、純粋経験がないわけである。
そういう製品についての話ってのは、大概退屈するもんだが、これが、面白い。 一言で感想を言うなら、月並みだが、松永真理はすごい。 なにがすごいって、男性社会のその中でも、超保守的な「電電公社」で、 「女性らしさ」で男性と互角にわたりあっていくのがすごいのだ。
従来男性社会で出世する女性ってのは、「男性化」してると言われてきたが、 彼女は、まんま「女性」なのだ。例えば、物事を判断するときは、本人も言っているように『直感』。 判断した理由については、すべて後付け。それでも、周囲を説得して、ガンガン進む。 そして結果を出す。これ、簡単そうでいて、誰にでもできる芸当じゃない。 恐れ入りましたという感じ。結果がちゃんと出るのだから、彼女の言う『直感』は、やはり、 なんらかの経験やロジックと連動しているのだろうと思われるのだが、 それを感じさせないのが、女性のすごさなんだなあと、あらためて感心したりして。
とりあえず、iモード使ってみたくなりました(笑)


『iモードストラテジー』

夏野 剛 日経BP社

松永真理著の「iモード事件」を読んでいる最中に、本屋で見つけて衝動買い。
著者は、「iモード事件」の中で松永氏曰く「使えるやつ」として登場する人物で、 松永氏の『直感』から出てくる様々なコンセプトを、理論武装して、戦略という形に 翻訳していく役割を担っていたと考えられる。二冊を続けて読むと、 仕掛け人達のiモードのコンセプトと戦略がよくわかるというわけだ。 はじめから共著にしてくれればいいのに・・・ 私のような読者はふたりの印税収入に貢献することになるのね(笑)
iモードの戦略を複雑系と結びつけて解説しているところが、特徴なのだが、 ちと無理があるかなというところも散見される。とくに、将来の展望については、 かなり大風呂敷にも感じるが、でも、なんだかこの著者なら、実現してしまいそうと 思わせる説得力もある。
「iモード事件」を読んで、iモードを使ってみたくなった私は、この本を読んで、 とりあえず、503iシリーズ買ってみたくなりました(笑)


『キャバクラの経済学』

山本信幸 オーエス出版

東京へ来て、父親と飲みに行くことが増えたのだが、オヤジの行く店といえば、スナックとかパブ。
当然のことながら、キャバクラほどきわどくはないのだけど、基本的には、ホステスさんがいて、 飲みながらお話するスタイルは同じ。しかも、お客はオヤジ世代が圧倒的で、 それなりに繁盛している。私の目には、たいして美味い酒やツマミがあるわけでもなく、 居酒屋よりコストパフォーマンスが悪く、これといって特徴のない飲み屋にしか写らない これらの店が、なぜオジサマ方に人気なのか、それが知りたくて、読んでみた。
著者は、キャバクラを「話をする時間を売る」商売と位置付ける。 もっと言うと、「話を聞いてくれる人と空間」を提供するものらしい。 ホステスさんは、基本的に聞き上手で、オジサマ方をちやほやし、擬似恋愛を体験させてくれる だけの存在。擬似だから、はまって本気になってもしょうもないのだが、それでも、 男の本能とやらを刺激してくれるのがたまらなくて、客が通うそうな。う〜ん、恐るべし「恋愛場」?!
そういわれてみると、私が連れて行かれる店のホステスさんも、聞き上手かもしれない。 失礼ながら、あまり教養や知性があるような人たちとはお見受けしないのだが、 あいずちを打つのが上手く、誉め上手。時には母親のように、時には恋人のように、 誉めたり、なだめたり、気遣ったり。
それにしても、世のおじさんって、法外なお金払ってまで、 赤の他人にその場限りの癒しを求めるものなのね。 ちょっと寂しいかも・・・。この本を読んで余計に理解できなくなりました。




ホーム 応接室 図書室TOP 最新の日記 NEW!掲示板 どこでもドア おもちゃ箱 記念碑の部屋