2001年8〜9月の書棚

乗り物酔い悪化中につき、趣味の読書が進まなかった2カ月・・・

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『ココにいていいの?』

関口 一之 郁朋社

勢いで就職を決めた著者の体験をもとにしたエッセイ。
いきなりのっけから、驚かされるのは、入社前に命じられた出向。そして、その出向先が、本書の舞台となるAVの販売会社というとんでもない展開。
その新入社員生活は、驚きの連続です。
それでなくても、新入社員時代というのは、真っ白なキャンバスのようなもので、仕事に対する吸収力は抜群の時期。どんなにまともな会社に就職した人だって、会社組織という今まで属した事のない集団で、戸惑ったり、違和感を感じるものですが、そこが自分が望んだわけでもない出向先で、しかも、AV販売会社というのですから、そら、たたごとじゃあありませんわな(笑)
文章が素人ちっくなのですが、それがまた、実体験を元に書かれている証拠でもあり、著者の身にふりかかる摩訶不思議な出来事が、ノンフィクションであると納得させられます。これを読むと、自分が今まで勤めてきた会社の体制や仕事の進め方に対する愚痴など、へでもないなあと思えます。
会社に対して、不満を持ってる方にお薦め。
ちなみに、前半部分は、ネットでも公開されてますので、当HPのリンク集(生活関連)からもとべます。まずはそちらをご覧あれ。


『男と女のスリリング』

戸田 奈津子 集英社文庫

戸田奈津子さんといえば、言わずと知れた映画の字幕屋さんとしては、日本でも第一人者の有名人。ときどき通訳としてTVにでてくると、なかなか個性の強い素っ頓狂なおばさんなので、いったいどういう人なのか、以前から興味を持っていました。そこで、なんとなく書店で手にとってしまった一冊。
本書は、戸田さんが字幕の仕事に就くまでの苦労話などもまじえつつ、メインは、有名な映画の台詞から、戸田さんの言う『イキイキ英語』が紹介されるスタイルのエッセイ。一話にひとつの映画という構成なので、細切れの時間にちょこちょこと英語のお勉強ができてしまう、ありがたい一冊です。
もちろん、戸田さんが接した多くの映画スターとの逸話や、字幕をつけるのに苦労した話など、英語以外にも、映画好きの人には、たまらない一冊なのかもしれません。映画は、私としてはあまり得意分野でないのですが、それでも、観たことがある映画が半分くらいあったということは、おそらく、超有名な、誰でも知っているような映画を扱っているのでしょう。読んでいると、観たことない映画は、観たくなるのは、言うまでもなく、観たことある映画も、戸田さんが取り上げた台詞に注意して耳を澄まして、もう一度観たくなること請け合いです。
しかし、週一ペースで新作映画の字幕を書くという戸田さん。日本公開前の、いや、場合によっては、世界同時公開前の映画の完成版を、いち早く観ることができるのは、役得以外のなにものでもない。字幕屋という仕事自体が、一番スリリングなのではないかしら・・・と思いました。


『鍵』

谷崎 潤一郎 新潮文庫

谷崎ファンの友人に薦められた一冊。友人曰く『高齢者恋愛小説』という新ジャンルだそうな(笑)
この作品は、公開された当時、国会でも取り上げられたという問題作。下品な言い方をするなら、『失楽園』などメじゃないほどの、エロ小説です。しかし、そこは文豪谷崎の作品(『失楽園』の渡辺淳一さんも、現代の文豪ですが・・・(^^ゞ)。壮年の夫婦の日記という語り口は、なかなかのアイデアだと思います。この日記は、お互い相手に知られないように書いているのですが、お互いに日記を盗み見されてることを前提に書くという、非常に屈折した夫婦の情愛のコミュニケーション。相手に見せるために、本音をちらつかせながら、ところどころに嘘がちりばめられた日記なわけです。それを読者が推量しなくてはならないわけですが、最後の最後に、あっ!と驚く結末が待っています。
いや〜〜〜〜〜〜、やられた。そこまでいってるのか・・・Σ( ̄∇ ̄|||
個人的には、後味のよくない作品でしたが、最近の若手の作家が書くような、文学作品という名のエロ小説なんかと比較すると、そこは谷崎。貫禄が違います。やはり、根底に流れるのは、人間の業。人間の悪魔の部分をえぐる作品といえます。谷崎の人間観や、恋愛観・結婚観が垣間見れる一冊かもしれません。
ただ、カタカナ交じりの文章は、非常に読みにくいぞ。覚悟して、お読みください。


『湖水祭』

平岩弓枝 文集文庫

とりあえず、今月読んだ平岩作品は、この作品。日本と北欧を舞台にしたミステリーです。上下巻2冊組みの大作で、読み応え充分。
ミステリーとしては、非常によくできています。平岩作品のミステリーにありがちな、最終章で一気に解決という手法ではなく、徐々に犯人に結びつくやり方なので、犯人の推測は、なんとかなる。しかし、その動機や、人間関係のからくりが、最後で、あっと言わせる作品です。こういうミステリーがあっても、いいよなぁと思います。
主人公にとっては、救いのない終わり方ですが、物語としては、一応ハッピーエンドなのかなあ。。。平岩弓枝は、勧善懲悪な作品が多い中で、必ずしもそうとは言えない終わり方でした。
ところで、平岩さんのミステリーは、短期間に大勢の死人がでます。多くの作品を読んでいる私は、だいたい、登場した時の感じで、「この人死ぬな」ってわかるものですが、今回は、だいぶはずされてしまいました。うーん、まだまだ修行が足りんな・・・



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