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注連縄(しめなわ)。「神を祭る場所であることを示すために・(新年を祝うために家の入り口などに)張る縄」と三省堂・新明解国語辞典にあります。お正月の数日間、玄関を飾るモノ? いえいえ。天照大神が鎮座まします神都・伊勢や鳥羽では違います。
年の暮れに新しい物を玄関に飾るのは同じですが、お正月の数日間だけでなく、一年を通して飾りっぱなしなのでございます。『なんで!?』。まずはこちらの伝説から…。
昔々のことじゃった。貧しい身なりの旅の男が、「日が暮れてしまい、困っております。一晩泊めて下さい」と金持ちの巨且将来の家に行ったが、胡散くさげに断られた。それで巨且将来の弟の蘇民将来の家に行くと、快く泊めてくれたそうな。貧しい家ではあったが、優しい蘇民将来は、できる限りのもてなしをした。翌日その男が旅立つとき、「蘇民将来子孫」と書いた符を蘇民将来に渡し、家の門につるしておくように言った。やがてその村落には疫病が流行し、巨且将来の家は絶えてしまったが、蘇民将来の家だけは誰も病にかからず、無事だったという。旅の男は南海の女のもとへ行かれる途中の素戔嗚命(すさのをのみこと・天照大神の弟神)だったそうな…←常田富士男調でよろしく。
これは「注連縄って、なんで飾るの?」と尋ねる伊勢や鳥羽の子ども達に、親が教えてくれる伝説(民話)です。その村落が伊勢だった、というワケで、新年を寿ぐだけではなく、災難を逃れますように、という願いをこめて通年飾られるのだと思います。なので「笑門」「千客万来(商売屋が多い)」といった一般的な注連縄の符に混じって「蘇民将来子孫家」の文字を「門」という漢字で挟んだ符を飾る家率がけっこう多いです。伊勢・鳥羽を歩くときには、ぜひ民家の玄関先も覗いてみて下さいね。
ちなみに、鳥羽から伊勢への道すがらにある二見町松下には「蘇民森 松下社」があり、蘇民将来の宗祖とされています。そこでは毎年12月16日に頒布始祭が行われ、いわば「本場物」の「蘇民将来子孫家」の符がついた注連縄が売られます。またその隣には「民話の駅 蘇民」(二見町営)があり、現地のお百姓さんや漁師さん手作りの品々が売られています。観光客の方々もですが、実はけっこう鳥羽や近くの人も買い物に出かけます。車がないとちょっと不便な場所ではありますが、寄ってみると御利益あるかも、です(^^)。(03.3.2)