第一話 〜ハワイでの小話〜
まずハワイ旅行に行ったは、あの忌まわしき911事件から2ヶ月しか経ってない頃で、しかもアフガン戦争の真っ只中。外務省からも海外渡航自粛勧告とか出たりしてた頃になぜハワイなのか?しかも往復のフライトもノースウェストのオマケつき。。。
それはあまりにも料金が安かったからです。「リスクが増えても安い方を選べ」という大阪人の商人魂を忠実に実践したまでです。逆にあの事件があって、空港のセキュリティとかはかなり厳しくなっていて安心できたような気がしますが、まさに戦場に向かう兵隊のように、気を引き締めて出発したのでした。行きの飛行機の中、食事を終えて睡眠体制に入ったところ、前の方の席で客とスチュワーデスが何かもめてる様子。もしかしてこの飛行機にもテロリストが紛れ込んでいたかと、よく見ると、英語も日本語も話せない中国人のおばあちゃんが必死にスチュワーデスに訴えかけている。ノースウェストのスチュワーデスもさすがに中国語は話せないとあって、困り果てた様子だったので、果敢にも台湾で覚えたカタコト中国語を引っさげて、通訳に入ることにしました。
以下そのときの会話(日本語訳)
おばあちゃん:この紙(イミグレの書類)の中国語版、ないの?
スチュワーデス:英語版、日本語版しかありません。
おばあちゃん:私、中国語しか読み書きできないある。
スチュワーデス:申し訳ありませんが、英語で記入してくださいっ。
そのときのおばあちゃんの顔があまりに悲しそうだったので、代わりに書いてあげることにしました。で、滞在先の欄での一コマ。
オレ :おばあちゃんはハワイでどこに泊まるの?
おばあちゃん:決めてない。向こうに着いたら探す。一緒に探してくれない?
オレ :。。。。。
今の会話は無かったことを装って、そそくさとパスポートに沿って記入を続けていると、おばあちゃんはもう一冊パスポートを持ってきて、これもお願い、みたいに頼まれました。どうやら旦那のおじいちゃんと一緒に来てたみたいです。
そちらも一通り書き終えて、感謝され、さて眠ろうと席に戻ったのもつかの間、また、おばあちゃんに肩をたたかれて起こされたのでした。
オレ :何?
おばあちゃん:うちのおじいちゃんは重い病を患っており、先がない。
ビジネスクラスで席が余っていれば変更して欲しいある。
どうやら冥土の土産のハワイ旅行らしい。
無理っぽいけど、とりあえずスチュワーデスに聞いてみたところ、案の定、答えはNO。
オレ :フライトの予約の時に、ちゃんとビジネスクラスを指定しないと途中で変更はできないよ。
おばあちゃん:それは知ってたけど、こんな狭い椅子で9時間もじっとしてるなんて思わなかったある。
海外旅行はおろか、飛行機も初めてらしい。(中国人の言うことなので、かなり怪しいが。。)飛行機で文字通り昇天されては、なんのための慰安旅行か分からないので、とりあえずエコノミークラス症候群ってのがあるから、あまりじっとしないで体を動かして寝るようにね(これはこれで難しい)と忠告したら、シブシブ引き下がりようやく収まりました。しばらくして、さっきのスチュワーデスさんから感謝の印にとシャンパンと小物入りポーチをいただきました。
まあそんなこんなでハワイに無事到着。さぞかし空港はガランと静まり返ってることやろなーとイミグレに行くと、なんと日本人の人だかり。。やはり、戦時中でもハワイは人気なのか?それともオレと同じく命知らずのハイリスク激安ツアー客なのか?そして出口を出てレンタカーカウンターへ。そこで、いかにも先月までムショに入ってましたって感じの悪そーな巨漢のおっさんにクーポンを渡し、案内されて出てきたクルマがポンティアック!実はあらかじめ旅行会社でマスタングの予約をしていたのに、どうやらマスタングの在庫がないため、変更になったらしいが、明らかに車格が2ランクくらい下のようなクルマに、さすがに怒りが込み上げてきました。が、ここで喧嘩して病院送りにされ、オレのハワイ旅行が1時間で終わってしまったというのではシャレにならないし、奴もムショに逆戻りである。「このインチキ・デブ!日本人なめとんかー?おまえみたいな奴は掛布団と敷布団を間違えて寝ちまえ!今日はこの位にしといたろー」と小声で吐き捨て、気を取り直し、いざドライブへ!気候もちょうどいい11月のハワイでのドライブは、まさにサラ金会社のCM通りハワイ、サイコー!!いろいろと観光をこなして、2日目の夜。アラモアナ・ショッピングセンターからの帰りに、赤信号でクルマを停止したら、あろうことか後続車にオカマを掘られてしまった!!!のでした。窓越しに後ろを見ると、鼻ピアスのいかにも大麻吸引パーティー帰りのヤンキ−姉ちゃんが顔を見せ、一瞬たじろぐ。
まさに逆真珠湾攻撃状態。。。窓越しに「Are you OK?」と聞いてきたので、オレはすかさず答えました。
Noooooooooooooooo!!
すると、「OK,Follow me」と、うちらのクルマを抜かして先導を始めたのでした。こいつらまさか逃げる気じゃねーだろーな?と後ろから車種とナンバーを必死で覚えました。あんなに真剣に数字を覚えたのは、中学時代の期末試験で歴史の年号を暗記して以来のこと。そして、ガソリンスタンド裏の薄暗い駐車場に連れてかれると、クルマからはさらに
鼻ピアス2号、3号、4号が勢いよく出てきて、またたじろぐ。。まさか、ぶつけておいてカツ上げまでする気か??
以下そのときの会話。
鼻ピアス1号:What's the matter with your car?
オレ :見たら分かるやろ?バンパーへこんどんねん!
鼻ピアス1号:Oh! shit!! I'm sorry.Can I have your lisence number?
オレ :まず、おのれのを見せんかい!
出てきた彼女の免許の写真が明らかに実物よりも美化されて写ってて、またまたたじろぐ。。まさか、こども公安委員会発行のなんちゃって運転免許証か。。?と一瞬疑ったが、どうやら本物らしい。お互いに番号を控えたあと、レンタカー会社を通して事故処理をする旨を伝えました。そして別れ際に鼻ピアス1号がオレに、こうのたまった。
Be careful 〜♪♪
。。。今までたじろいだ腰が完全に砕けてしまいました。。。
「気をつけなあかんのは、おのれの方じゃーーっ!!
しかも事故起こしといて、なんで鼻歌交じりやねん!!」
と心で叫んで、笑顔で別れました。次の日、レンタカー会社で事故連絡とクルマの交換をしたときにどんな小さな事故でも警察に通報しないとダメよーと忠告されました。
いろいろ珍道中もありましたが、観光ではダイヤモンドヘッド登山、ディナークルージング、美しいビーチでの海水浴、ショッピング等楽しい思い出も出来、オレにとって初めてのハワイは心に残る旅になりました。大阪で生まれ育ち、東京がナンボのもんじゃい!巨人しばく!TDLなんかオモロない,万博公園が一番じゃ!(今はUSJですが)的な反中央精神を叩き込まれたオレにとって、みんなが口を揃えてハワイハワイと騒ぐのを聞くにつけ、ハワイがナンボのもんじゃ
い!みたいなところがあって、今まで海外旅行は敢えてハワイを避けてましたが、実際に訪れてみて、
「何度も行きたくなる不思議」
の意味が分かったような気がします。おしまい。