さようならの始まり
 2月14日バレンタインデー。大好きな彼につきあってから初めての手作りチョコを渡そうと前の晩から張り切っていた。つきあい始めて3年目。仕事に追われていたときは、チョコは買って渡していたけど、チョコ好きの彼に少しでも喜んでもらいたいために仕事のない今は時間をかけて愛情を示そうと思った。
 彼のバイトの帰りに彼の家で待合わせ。彼から『帰る』連絡を受けて、家を出た。ちょっと早く着いたので、飲み物を買いに言った。彼が帰っていた。
 私が作ったのは生チョコとチョコレートケーキ。彼はちらっと見ただけで、すぐには食べず、パソコンに向かった。それからしばらくして、食事に行った。焼肉屋で、彼のバイトの話をした。私がかつて勤めていた塾の講師をしているので、共通の話題と言える。彼は生徒から2個もらったんだそうだ。ふ〜ん。
 彼の家に戻って、彼はやっと私のチョコを食べてくれた。
 私は彼にカードを送っていた。『愛をこめて、そしてちょっとの希望を込めて。』ほめてもらいたかったのに、彼はほめてはくれなかった。彼の口から出た言葉は私をパニックに陥れた。
 「そろそろ潮時かな
 えっ?今なんて言ったの?別れるの?こんなに好きなのに?・・・。私の心は取り乱していた。一体私は彼にとってどういう存在なの?もう私のことを好きではないの? 
 私の問に彼は言った。
 「結婚しないから、別れたほうがいいと思う。」
 だって、それは以前私のほうから別れ話を持ち出したときにお互いに理解しあってそれでもいいからつきあおうということになったんじゃないの?結婚なんてもう、あきらめているのに。一緒にいることが私の幸せだったのに。好きという気持ちが私たちの別れない理由だったんじゃないのかな。
 一体何がなんだかわからなかった。彼は寝てしまった。私はかえるに帰れず、しばらくボーっとしていた。いくら起こしたところで彼は目をあけようともしなかった。私はどうすることのできず、これまでのことを考えていた。
 
 私が塾の専任講師として2年目の夏に、アルバイトの学生講師として彼が入ってきた。彼は大学1年生。私とは6歳離れている。最初から仲が良かったわけではないが良く働く人だった。私が塾長になってからも、いろいろ手伝ってくれた。そして、だんだんと講師間で友だち感覚で遊んだりするようになった。その頃の私は7年つきあっている彼がいたが今一歩結婚に踏み切れないでいた。だから彼と会うよりも講師の先生たちと会っているほうが多かったし、楽しかった。
 よく、彼の家へ遊びに行った。家も近いし、帰るときは車で送っていた。でも、たいていは他に誰かがいた。あの日もそうだった。彼の家で5,6人で雑魚寝をしていた時、ベットは他の人にとられた彼は私の隣でビデオを一緒に観ていた。
 「腕枕しましょうか?」
 私は大学時代にも別になんでもない人に腕枕をしてもらったことがあったので、そんな感覚で彼の腕を借りた。しばらくして、彼の息遣いがあやしくなって、(ヤバイかな?)と思ったけど、私もちょっと冒険したかったので、そのままの姿勢で。でも、なんとなく向かい合って、なんとなく顔を近づけて。彼の心臓がドクドクしているのを感じた。そして、なんとなくキスをしたくなった時、誰かが起きようとしたので慌てて離れたっけ。
 それからも、彼とは一緒に帰ることが多かったが、特に意識はしなかった。だって、私は塾長だし。仲間でいたいという気持ちのほうが強かったから。男と女と言う垣根を越えた付き合いを私は望んでいた。
 しかし、忘れもしない夏のある日、いつものように彼を家まで送ったとき、ついでにご飯を食べようということになって、近くのファミレスにウナギを食べに。塾長は気前良く、ビールを飲んでしまった。車は乗れない。よって、彼の家に泊まることにした。いつものように彼のベットを半分借りて、いつものように寝てしまった!
 朝、彼と私は抱き合っていた。
 (どうしよう?浮気しっちゃった。まっ、いっか。お姉さんだから、遊んであげたということで。)なんて考えていた。だからその日のうちに友だちにちょっと自慢げに話していた。  でも、彼はそうではなかった。次の週も私たちは一緒に夜をすごしていたのだ。
 「俺たち、つきあっていることになるのかな。」
 つきあうって?そういうことになるのかな?私は今の彼と別れなければいけないと思った。その、年下の彼はこれから私とつきあおうとしている。
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