“Rolling Stone”
石は転がり続ける。
石は硬く、揺るがない。
それは転がり続け、同じ場所にはとどまらない。
この時期、学生達は就職活動の時期を迎える。 後輩達もみなセミナーに行ったり、自己分析をしてみたり、それぞれ活動し始めた。
自分の意識が、はっきりと形を成したのはやはり中学生だった頃だろう。あの頃と比べて、自分は変化し続けてきた。
二十代も半ばにさしかかる年齢になって、周りにいる人たちを見てみると、その歩みを止める人たちを多く見かける。中学、高校のあの時期に我々はその外見も、価値観も、行動も大きく変えてきた。その歩みは止まってしまうものなのか。
Rolling
Stones というバンドがある。「転がる石? 変な名前だな」と思った。
「俺達は、常に変わり続けて行きたい。新しいことを吸収し、前向きに何にでも取り組んでいきたい。だが、変わり続ける俺達自身は何も変わらない。守るべきは俺自身であることだ」
日本人には判りづらい表現であったし、日本語に訳してもその意味自体判りやすいわけではない。だが今、彼らが言いたかった事も、そう言った訳も理解できる。
恐れるべきは臆病だ。それはその流転を止めさせる
人を変えるのはその行動だ。新たな行動を起こすことが変化につながる。
それに手を伸ばせば、おそらく自分は変わる。その行動が、その対象が自分を変えてくれるだろう。その希望はそこにある。
だが。手を伸ばせない。その手は凍り付き、ただその動きを止める。
臆病と自信のなさと、なによりその奥底に潜む性向が、その手を凍り付かせる。 そして変化を望む意識はそこに留まり、ただ待つ。
臆病な心は言う。「もう見ないで、思い出させないで。私は変わりたくなんかない。このままそっとしておいて」と。
すべての人が、自分の力だけで変われるほど強いわけではない。多くの人は変わる方法さえ判らず、変えてくれる人にも出会わず、変われることすら知らずにその流転を止める。そこに留まったその石はもう動くことはなく、苔生し、やがて朽ち果てる。
人は人を助けることができる。ある人は、また別の人が必要としているものを与えることができる。変わりたい意識がまだ凍り付き、冷え切っていないのならば、その人がまた転がり出すのを手伝うことができる。
今の自分に別れを告げ、新たな色を身にまといたいと思うならば。それは必然的に変化を伴い、その人を変える。それは、条件でもある。
人は誰もが強いわけではない。だが、変わると誓うのならば、再び動き出すのを手伝ってくれる人もいるだろう。
石は転がり続ける。時として、大きな石はその振動で周りを巻き込み、影響する。 石は硬く、揺るがない。
だがその奥底に潜む性向は囁く。「変化なんかどうでもいい。ただ私は欲しいものを手に入れたいだけ」
written by Masa_Wada. 2001.3.2