No.1:雨男の系譜


私が物心ついた時、父方の祖父はかなり痴呆が進んでおり、脈絡の無い話しをしたりするばかりで、
会話などまるで成立しない状態であった。そんな祖父のことで私が唯一覚えてるのは、
父が雨男なのをボケているのにもかかわらず覚えていて、父が実家に帰って雨になるたびに、
「そら、丈治(父)が来ると雨が降る。」と決まり文句の様に言っていたことである。それを聞いて苦笑いしていた
父の横顔もなんだかおぼろげに記憶に残っている。

それから祖父は死に、10年以上のの年月が流れた。現在、私はバイクに乗っていろんなとこに行くようになった。
すると血は争えないというかやっぱり雨に降られるのである。天気予報で降水確率が低い時でも降られるから、
もう呪われているとしか思えない。バイクで横浜の中華街に行ったときも、帰りに晴れ渡っていた空は突然曇り
大粒の雨を全身に浴びることとなってしまった。全身びしょ濡れになりながら、
今はつぶれてしまった駄菓子屋を見つけ、その軒下で雨宿りをすることにした。
Tシャツを脱いで雑巾のように絞るとたくさんの水があふれ出てきた。
途方にくれながら、空を見ていたら、祖父のことをフッと思い出した。
祖父は今の俺を見て、きっとこう言っているに違いないと思った。
「そら見ろ、丈治の息子も雨男だ。」と