8月17日。



シンクロニシティ。

マス集団の集合的無意識の作用によって引き起こされるといわれる、確率的には「有意」としか思えないような、あり得ない偶然を指す言葉です。



本題。

最近までヘビースモーカーだったオレは、完全にスタバよりドトール派なんですが、ここにはひとつ厄介な問題があります。

マイ・ホームタウン池袋には、ドトールと福しんがやたらとたくさんあるため、ただ「じゃ、ドトールで待ってる」と言うだけでは、待ち合わせにもなんにもなりゃしねえ、というのがそれ。

しかたなく、それぞれに固有の名前を付けてやる必要に迫られ、「60ドトール」「ミスタードトール」「せまいドトール」「豪華ドトール」「(サンシャイン)シティドトール」なんて具合にイニシャライズしているワケなんですが、中でも最も使用頻度の高いあるドトールに、「だいすきドトール」という名誉に満ちた名前が付いています。

「だいすきドトール」にはもうマジで週3から4、場合によっては一日二回なんて相当エゲツない通い方をしているので、いい加減BGMも聞き飽きてきました。

そのBGMというのは、よくある歌謡曲のインストゥルメンタル集で、いわゆる「店内BGM用CD」の類と思われる例のアレ。「Runner」「Bridge」「剣の舞」「狼なんか怖くない」という、脈絡の全く感じられないラインナップがなかなかにオツだったりします。

オレのオキニはなんと言っても「Bridge」。周囲の視線を気にしながら口ずさみ、単語の境界線が怪しい大友康平の気分にひたるのは最早、オレの日課と言ってちょっと過言、ぐらいの日常茶飯事なのです。



というワケで、今日も今日とて「だいすきドトール」でMアイスラテを飲み干し、ちょうど差し掛かっていた「時は戻れないから」の「時は」の部分とともに颯爽と街に躍り出たオレの目の前を横切った小男。



それが大友康平。



シンクロニシティ。









8月20日。



オレの生活のいたるところで、「敵」が待ちかまえている。オレを見張っている。

「敵」はナニもしない。ただじっと、オレの行く手にたたずんで、虚ろにオレをみつめるばかりだ。目の前をオレが通り過ぎる瞬間でさえ、「敵」はみじろぎひとつしない。



それでも奴らは、圧倒的な「存在の力」でもってオレを威圧し、誘惑し、心の平静を失わせる。



「敵」をひとつやり過ごすたび、オレの背中や脇に冷たい汗が噴き出すのである。「敵」が自らアクティヴに、オレになにか仕掛けてくることが絶対にないことを知っていてなお、そうなのである。万が一「敵」が能動的な攻撃に転じた場合、オレの脆弱な精神などひとたまりもない、ということがわかっているからだ。



それほどに、「敵」は強い。



視認するはるか以前から、オレは「敵」の存在を感じ、戦慄する。角を曲がると、別段自分の姿を隠そうとするでもなく、「敵」はうっそりとたたずんでいる。光る目がオレを見据えている。

オレは、膝をふるわせ、懸命に目をそらしながら、早足にその前を通り過ぎる。念仏でも唱えたいような心境で。













自動販売機をひとつひとつやりすごすことが、一歩、一歩。

地べたを這いずる血まみれの匍匐前進の如く、オレの禁煙は続いています。一日が長え。









8月22日。



最近、毎日池袋にいる気がします。



池袋がもし100人の村だったら、15人はヤンキーで13人がギャルです。

19人はデブのオタクで、そのうち8人は同人誌を描いています。

7人は外国人で、黒人が3人、アジア人が2人、アラブ人と白人が1人ずつ、白人以外の6人が不法入国です。

キャッチは11人いて、化粧品のセールスが2人、絵画のセールスが3人、風俗とアダルトビデオのスカウトが5人、残りの1人は自衛隊のスカウトです。

4人は仕事が無く、そのうち2人は、家がありません。

3人は、山手線や西武池袋線で拾ってきた週刊誌を売って生計を立てています。

1人は、ドトールの店員です。

4人が風俗嬢で、1人は無届けの店で働いています。










8月23日。



近々また、友人の結婚式があります。またしても地元の友人の女の子で、やっぱオレらぐらいの年だと女の子の方が先になります。

おめでたい話なので、出席すること自体は決してやぶさかでないんですが、まあ今回これがまた、友人代表スピーチなんてものに大抜擢されでしまい、困り果てているという次第。

しかたなくネットで検索をかけたところ、実際にされたスピーチの文面が投稿されたページを発見し、スミズミまで熟読しました。

もちろん、リアルならではの個人的なエピソードが語られているため、そのまま流用するわけにはいかないものばかりなんですが、最低限の文法や構成など、非常に参考になりました。

それを踏まえて、原稿を作ってみました。



坂口くん、京子さん、結婚おめでとうございます。

また、ご両家のみなさまにも、心よりお慶び申し上げます。

このような席にお招きいただいたばかりか、ご祝辞の大役まで仰せつかりまして、誠に光栄に存じておりますが、なにぶんこういったことは初めてですので、お聞き苦しい点など多々あるかと存じます。なにとぞご容赦下さい。

新婦の京子さんと私は、中学校の頃からのお付き合いです。おつき合いと申しましても、肉体関係はございませんので、新郎の坂口くんを始めご親族のみなさまはご安心下さい。

京子さんは当時から画に描いたように明朗闊達、クラスの女子の中でも目立つ存在でした。当時のトレードマークはべっこうブチのメガネ。メガネをかけていてなお、大きな瞳が印象的でした。京子さんの大きく美しい瞳を見ていると、なんだか吸い込まれそうな気持ちがしたのを覚えています。

ただ大きいだけではなく、いつもしっとりと潤んでいるような、ゆらゆらとゆらめいているような、不思議な瞳は今と全く変わっていない様に思われます。が、当時と今では、決定的に違っているのです。なぜなら、その瞳には既に「たった1人の人」即ち新郎の坂口くんしか映っていないからです。もちろんそれは、坂口くんの少し控えめな瞳にしても同じことであり、それはとても素晴らしいことです。

全く、羨ましいと言うほかに、言葉がみつかりません。

私自身はまだ、結婚など夢のまた夢といった、全くもって不甲斐ない立場の若輩者でございますので、甚だ僭越とは存じますけれども、諸先輩方のお話などを伺うにつけ私なりに感じて参りました、新婚生活に対する心構えなど少しお話しさせていただいて、ご祝辞に代えさせて頂きたいと存じます。

題して、結婚生活において必要な「ひとつのふくろ」。

もちろん、結婚生活において最も重要なのは、仲睦まじく若き2人の性欲であります。性欲とは煎じ詰めれば、子孫繁栄への飽くなき意志でありますから、結婚という制度の異図するところが、生殖行為を前提とした雌雄のカップリングである以上、これを最重要とすることに依存のある方はこの中にも居られないと存じます。

つきましては、結婚生活において最も憂うべき事態とはなんであるかと申しますと、それは、本来健康的に積極果敢であるべき新郎新婦の性欲が、徒に制限あるいは減退せしめられ、子づくりという偉大なプロジェクトがその推進力を失うことに他なりません。

そういった由々しき事態の原因としまして、親との同居によります夫婦のプライバシーの侵害、ゆきすぎた婚前交渉によりますプレイのマンネリ化、安アパートの構造上の脆弱さがもたらすピストン回数の制限などが挙げられましょう。

また、そういった様々な苦難を乗り越えてなお新郎新婦が生殖への意欲を失わず、首尾良く受精、着床が成就しました暁にも、新たな問題が待ちかまえているものであります。

言うまでもなくそれは、妊娠期間中の新郎の性欲処理の問題でございます。

あまりにも長い十月十日の禁欲生活。その間、いかに修練を積んだとしても、深い愛情に支えられたとしても、新妻のリップサーヴィスのみに依存していては限界があるかと存じます。ニンフォマニアの団地妻、産婦人科の看護婦、アイモード援助の女子高生、若きリビドーを滾らせる新郎に対する誘惑は限りを知りません。長期に及ぶ性的ラマダンに堪え忍ぶ新郎の心は、そういったインビテーションの前に、必ずしも拮抗し得るでしょうか。最大の幸福であるべき我が子の誕生が、家族という単位を崩壊させてしまう元凶となる皮肉な展開は、是非とも回避されねばなりません。

そう。

新米夫婦に否応なく襲いかかるであろうこれらの危機に打ち勝つためのアイテムこそ、先に述べましたひとつの「ふくろ」であるのです。

その「ふくろ」とはもちろん、「胃袋」でも「お袋」でも「堪忍袋」でもなく………「池袋」であります。そう、池袋には、初々しくも神聖なる秘め事のプライバシーを守護するラブホテルも、行き場のない新郎の性欲を受け止める風俗店も、全てがそなわって






………今日はここまで。









8月24日。



左鼻の穴に違和感を訴え登録抹消。故障者リスト入り。









8月25日。



手術の結果、左鼻の穴から特大のハナクソが摘出されました。

術後の経過も良好、チームドクターの許可がおり次第、再登録。









8月27日。



昼日中から、雀荘に肩まで浸かってズブズブの午後を過ごしている自分がちょっと、いや結構好き。

浸ってると言ってもフリーではなくセットなので、まだ救われています。そんな人間のクズが、オレの友達だけであと3人もいるってコトですから。大丈夫。オレは1人じゃない。






今日の隣卓は、雀荘が学生街のど真ん中と言うこともあってか、若いおにいちゃん達でした。


「いかにも」近代麻雀を毎週欠かさず買っていそうな、小太り、ハーフ・オタッキーなガリ男(註:ダンガリーシャツ愛用系)くん達の中に1人、サンバイザーも爽やかな今風モテ男くんが1人混じっていたりするのは、雀荘のメンツ構成特有の現象です。


麻雀というゲームが軽く特殊技能であるため、メンツを確保するために、普段ツルんでいるような「類友」連中とはちょっと違った人種にまで、交友関係を広げる必要がでてくるからです。


いかにも今っぽく、モテ男くんのリストバンドの右手は、こんな時でも携帯を耳にあてて離そうとしません。







モテ男「……いやだからさ、そんなコト言ったって、お前がオレとヤっちゃったのは消せない事実じゃん? 今更カレシに悪いとかって、そういう風に言ったってさ……うん。…うん。わかるよ、オレもそう思うよ。……だからさ、なんでそこでそうなるワケ? そりゃ、正しいか正しくないかってハナシをしたら、正直に言った方が正しいだろ。でも、そのこと知ったら、カレシは余計に傷つくんだぜ?……うん、そうだろうな、オレなら別れるね。速攻。……でしょ? だから、別れたくないんだったら……うん。いや、だって、もともと悪いのはオレとお前じゃん。違う?でしょ?その上で別れたくないんだったら、もう全部黙って、オレと、お前が、それぞれ1人で背負うしかないことでさ、それがツライとか言ったって、だったら最初から、なんでカレシがいるくせにオレとヤったのってハナシに……え、オレ? オレは遊びだって最初から言ってたじゃん。カノジョに? 何で言わなきゃいけないワケ? は? あごめんちょっと待って(送話口押さえて)それロン。インパチ」



ガリ男「!!」



モテ男「あもしもし? うん、ちょっと。でさ、なんでお前が、オレのカノジョがかわいそうとかさ…」



ガリ男「…………くっ……こんなヤツに………!!」





わかるぞガリ男。ガンバれガリ男。麻雀で負けたら、お前生きる意味なくなるぞ。











8月30日。



というワケで、明日からミーはちょっくらおフランスに行って来るザンス。














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